静岡県立大発 まんが しずおかのDNA(12)トップクラスの長寿県

(2020/2/24 11:00)
漫画・かとうひな

 全国トップクラスである静岡県の平均寿命は、男性が81・21歳に対して女性が87・32歳と大幅に長く、この男女差は他の哺乳類にも共通した傾向である。
 次に、寿命と心臓の働きの関係について考えてみよう。哺乳類の心臓はポンプとして全身に血液を送り出すたびにドキンと脈打ち、母親のおなかにいるときから一生の間一定のリズムで脈を刻む。「ゾウの時間 ネズミの時間-サイズの生物学」(中公新書)によれば、いろんな動物の脈の周期である脈拍や寿命は体重の4分の1乗に比例するそうだ。つまり、体のサイズが小さいネズミの脈は速く寿命も短いが、体のサイズが大きいゾウの脈拍は遅く寿命も長い。
 実際、人間の場合でも、一般に女性は男性より脈拍が速いので、体格の差で説明はつくが、女性の方が長生きであることの説明はつかない。実は、寿命の男女差は体格の違いだけでなく、生殖以外のからだのしくみや病気の成り立ちの違いを考えなければならない。特に、女性ではエストロゲンの好ましい作用により、男性に比べて高血圧や動脈硬化などになりにくく、長寿となる。
 また、高齢で発症する「心房細動」という不整脈は高齢男性でかかりやすいことが知られ、80代では10人に1人がかかる。心房細動では、心臓の中の心房という場所が非常に速く興奮して、けいれん状態になり、血液が心房の中でよどんでしまい血の塊(血栓)ができやすくなる。できた血栓が脳に飛ぶと脳梗塞になり、一命を取り留めても寝たきりになることも多い。
 しかし、平均寿命と健康寿命の差が示すいわゆる「健康ではない期間」は、男性8~9年、女性12~13年と女性の方が長く、更年期以降の女性は心不全などが要注意である。このように、健康寿命を決める要因が男女で異なることから、今後、男女差を考慮したアプローチによる予防法や治療薬の開発から健康寿命延伸の手掛かりが得られる可能性がある。 (黒川洵子 薬学部教授、薬理学)
 静岡県立大の執筆陣が文理の枠を超え、漫画を使って静岡のDNA(文化・風土)を科学的に解き明かす(静岡新聞月曜朝刊「科学面」掲載)。

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