
静岡県内のモノづくりを支える企業や人にフォーカスする「しずおかモノ語り」。
静岡県島田市に、幼稚園の椅子や机など木の保育家具を手掛けるメーカーがあります。
子どもたちの体に合うよう独自の基準で作られた家具の裏側には、国の規格に疑問を投げかけ試行錯誤を重ねてきた職人の情熱がありました。
■「落ち着きがないんじゃなくて、この椅子に長く腰かけていられない」

子どもたちが毎日使う、幼稚園の机や椅子。体にフィットするよう緻密な計算で作られています。
全国の園で愛用されている木の保育家具は島田市から誕生しました。
家具メーカーの「ナガサワ」です。代表の長澤壽雄さん(78)は子どもの家具を作り続けて半世紀。
大手家具メーカーに勤務した後、1988年に島田市で独立しました。当時、長澤代表は日本の保育家具は変わるべきだという志を持っていました。
<ナガサワ 長澤壽雄代表>
「子どもがもう椅子にかけて足が床についてないっていうぶらぶらの状態だとかね。(保育士が)この子たち、落ち着きがないんですよねって言われるんです。いや、落ち着きがないんじゃなくて、この椅子に長く腰かけていられないんですよって」
■人間工学・材料力学に基づく独自の保育家具の基準を考案

当時の国の標準規格には幼児を対象にした家具のサイズの決まりがなく、保育施設では必要以上に大きいものが使われるケースも。
<長澤代表>
「基本的に足と座面とありますが、足が床にしっかりとついた状態でなきゃいけない」
長澤代表は、約60の保育施設を回って1歳から5歳の子どもたちの身体を測定し、人間工学や材料力学に基づく独自の保育家具の基準を考案しました。
しかし、国の規格から外れた家具は周囲の理解を得ることが難しかったと振り返ります。
<長澤代表>
「我々一般家具屋がこんなことを言うとやっぱり受け入れてもらえないっていうのありましたけどね。せっかく受注もらったのに断られちゃう」
■現場の声から生まれた独自技術の保育家具
それでも信じた道を行く。長澤代表は子どものことを第一に考えた家具づくりを進めました。組み立ては、釘などを使わず木材を凹凸に加工して噛み合わせる伝統的な技法に。
<長澤代表>
「はめ込んで落とすと抜けないんです。簡単に変えられるんだけど、入れてしまうと、これ上から足かかりますんで、前にも後ろにも抜けない。この構造をとってるのはうちだけですから、世界中でうちだけです」
■数字で説明できるモノづくり

成長に合わせて高さや奥行きを変えられる乳児用の椅子は、現場の保育士の声を聞き改良を重ねた集大成です。
今では、ナガサワの家具は2000点を超えます。園の要望に合わせてオーダーメイドでつくり部屋全体の環境の提案も行っています。
<静岡聖母幼稚園 木林薫子園長>
「普段の生活の中により寄り添ってもらえてるのがやっぱり家具だなっていうのを、ナガサワさんと出会ったことですごく感じました」
<長澤代表>
「現場主義なんですよ。最初からこんなもんだっていう意識をしないことですよね」
数字で説明できるモノづくりを。長澤代表が生み出した「優しさのカタチ」は、子どもたちの成長を温かく支え続けています。













































































