
静岡市立清水病院をめぐっては、指定管理者制度への移行を前に市と職員側の溝が埋まらない状況が続いています。
病院の運営を民間に委ねることで何が変わるのか。2010年に指定管理者制度へ移行した静岡県牧之原市の総合病院を取材しました。
<静岡市 難波喬司市長>
「仮に閉院をするというようなことになれば、そこでより大きな問題が発生することになります。いかに市立病院を残すかということを考えると、このやり方しかない」
2026年4月、静岡市の難波市長が発表した市立清水病院の民間運営への移行。
清水病院の2024年度の赤字額は22億5000万円、2025年度は29億円に拡大する見込みです。
市は経営改善を図るため、2027年4月から清水厚生病院を運営するJA静岡厚生連を指定管理者とし、一体的に運営する方針を示しました。
■4割を超える職員が意向を示す事態

<清水病院の職員>
「現場の意見を聞く機会すら設けられずに行われた今回の通告には、非常に大きな衝撃を受けるとともに、大変残念な思いを抱えています」
民間運営に移行すれば、清水病院の職員は公務員の身分を失うことになるうえ、今後の処遇について十分な説明がないとして反発。
労働組合のアンケートでは、4割を超える職員が退職の意向を示す事態となりました。
指定管理者制度への移行で病院は本当に再生できるのでしょうか。
■「皆様方の4か月後の給料はございません」榛原総合病院の職員「びっくり仰天」

牧之原市の榛原総合病院です。牧之原市と吉田町で構成する組合で開設された病院ですが、医師不足や病院の建て替え費用などから経営難に陥り、2010年に大手医療法人・徳洲会を指定管理者として民間運営に舵を切りました。
<榛原総合病院 森田信敏院長>
「当時の牧之原市長に突然『皆様方の4か月後の給料はございません』と言われて、普通に考えてびっくり仰天ですよね。青天の霹靂っていう状態」
職員に説明があったのは、指定管理者制度移行のわずか7か月前。自身の生活を考えた職員の退職が相次ぎ、医師は41人から10人に、看護師も半数以上が職場を去りました。
450床あった病床は50床も埋まらない状態になったといいます。
<榛原総合病院 八木千乃看護部長>
「救急車も受け入れられないような状況になっていた。見てくださる先生がいないのでお断りしなきゃいけなかったのでとてもつらい思いはしました。そこを何とかしていきたいなって」
■榛原総合病院 職員数249人→542人に回復、黒字経営に
徳洲会は、全国のグループ病院から医師や看護師を派遣。
249人まで落ち込んだ職員数は、現在542人となりました。
1年間休診していた循環器内科も、指定管理者制度への移行後、わずか1か月で再開しました。
<榛原総合病院 森田院長>
「24時間体制で先生に頑張っていただいて、緊急の心筋梗塞、動脈乖離などを我々の病院で対応させていただいております」
病床稼働率は78%まで回復し、救急車の受け入れも年間約2000台を維持していて制度移行後から、黒字経営を続けています。
■「指定管理にならなかったらあの時つぶれていた」病院再生と生き残りをかけた道筋
<榛原総合病院 森田院長>
「指定管理にならなかったらあの時つぶれていましたからね。予算が削られて自分たちのやりたい医療ができずに機器も更新されずに、自分の働く職場の展望が全く見えない状態よりは、長期展望を示していただいて納得できれば、それも一つの道だと思います」
清水病院も今、大きな転換点に立っています。榛原総合病院の歩みは、清水病院の未来を考える一つのヒントとなりそうです。
■「人が病院を立て直す」必要性
榛原総合病院は指定管理者制度への移行後黒字経営を続けているということで清水病院に関しても期待できる部分はあるのでしょうか。
<植田麻瑚記者>
はい。清水病院の指定管理者となる見込みのJA静岡厚生連は県内で4つの病院を運営しています。
静岡市は民間のノウハウを生かした柔軟で効率的な病院運営やグループ病院からの医師や看護師の派遣に期待を寄せていますが、まだ制度移行後の具体的な体制が見えず、職員の配置も現時点では未知数です。
榛原総合病院の森田院長は当時の状況について『グループを挙げた応援で支えられたが多くの職員が退職したため、診療体制が安定するまでは長い時間がかかった』と話していました。
制度を導入すれば病院が再生するわけではありません。
地域、職員、運営主体が同じ方向を向いて病院作りを進め『人が病院を立て直す』ことが何より重要だと感じました。












































































