最後の噴火から300年の富士山 登山者の備えは? 避難するシェルターをめぐり静岡側と山梨側で異なる対応【わたしの防災】

夏山シーズンを迎えた富士山。毎年、多くの登山者が訪れますが、忘れてはいけないのは噴火に対する備えです。

静岡県と山梨県で対応や考え方に違いが見られる中、専門家はシェルターの必要性を指摘します。

世界遺産に登録されている富士山。7月、静岡県側に3つある登山ルートがすべて開通し、夏山シーズンに入りました。

例年通りにいけば、20万人以上の登山者が山頂を目指す見込みです。

■噴火が起きると...

富士山は最後の噴火から300年以上が経過し、専門家の間では「いつ噴火してもおかしくない」と指摘されています。

噴火が起きた場合、火口付近では巨大な噴石が飛び交い、さらに火砕流や溶岩流など、大きな危険が迫ります。

富士山の山頂から五合目までは最短でも歩いて3時間ほどかかり、安全に下山するのは難しい状況です。

■「シェルターに留まっている時間を考えるとそれ自体が危ない」 

こうした中、山梨県側の吉田ルートには2026年、登山者が一時避難できるシェルターが設置されました。

幅2.5メートル、奥行き5.4メートルの鉄筋コンクリート製で、1つのシェルターに135人程度が避難できます。吉田ルートでは、今後5年間で13基設置する方針です。

一方の静岡県側は「シェルターを置く考えはない」といいます。

<静岡県危機情報課 芦川典久課長>
「シェルターに留まっている時間を考えると、それ自体が危なくなってしまう。いち早く富士山から離れていただくということが防災の基本になっている」

■「全ての登山者にシェルターは非現実的」

富士山には国や自治体などが噴火対策の観測機器を周辺に40か所以上設置。

静岡側の3つの登山ルートでは、異常を観測すると気象庁から「火山の状況に関する解説情報」が発表され、山小屋や個人のスマホアプリを通じて下山の指示が出されます。

<静岡県危機情報課 芦川課長>
「登山道も3つありますので、そこで登山をやっている方全てにシェルターというのも少し非現実的な話なので」

■避難誘導を行う現場の不安 専門家の指摘は

<富士山表富士宮口六合目雲海荘 渡辺尚俊代表>
「『避難指示が出ましたので、急いで下山するように』という呼びかけをする」

富士宮ルート六合目にある山小屋では、噴火の際の避難誘導に備え、ヘルメットや拡声器を準備していますが、いざという時の行動に不安を感じています。

<渡辺代表>
「富士山も広い。本当に広範囲に情報を行き渡るようにするのは、難しいかな」

2014年には、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山で噴火が発生し、登山客を中心に58人が死亡、5人が行方不明になりました。

富士山は何の前触れもなく大規模噴火する可能性は低いとみられますが、専門家は予兆がいつあるかはその時にしか分からないと話します。

<静岡大学防災総合センター 岩田孝仁客員教授>
「多くの人がその登山ルートを使っているのであれば、やっぱり緊急退避をするための施設は何らかの形で用意しておくというのが、一般的な対策だと思う」

ご来光の時間帯や悪天候の時は登山者で混雑する富士山。

噴火の予兆があった場合、登山者の命をどう守るのか、シェルターの整備を含め関係機関が対策を講じる必要があります。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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