
シリーズ企画でお伝えしている「熱海土石流5年」。
2026年7月3日、大規模土石流から5年となる熱海市伊豆山では、復旧復興が進む一方、多くの命と財産を奪った責任論はうやむやの状態です。
崩落した盛り土があった土地の現・旧所有者と行政対応に当たった熱海市と静岡県、そして遺族ー。「責任の所在」をめぐる関係者の今を追いました。
■遺族「悪徳業者と無能な行政のマッチング」

被害者の会の代表、瀬下雄史さんです。瀬下さんは、伊豆山を終の棲家にしていた母、陽子さん(享年77歳)を土石流で亡くしました。
<瀬下雄史さん>
「本当明るい人でしたよね、父もそうですけど家族が最優先という人だった。あの時、そんな難を逃れられたんじゃないかとか、たらればみたいなものすごいぐるぐる頭の中にありますよね」
怒りと自責の念が瀬下さんを責任追及へと突き動かしています。
<瀬下さん>
「悪徳業者と無能の行政のマッチング。これによってやっぱりそういう悲惨な事件が起きてしまう」
■前土地所有者「別の業者に貸しただけ」

28人が犠牲になった熱海土石流の発生後、明らかになったのが起点部分に造られた違法な盛り土の存在でした。
盛り土があった土地の前の所有者「新幹線ビルディング」の天野二三男代表は一貫して関与を否定し、「別の業者に土地を貸しただけ」と振り返ります。
<天野二三男氏>
「実際にうちの会社はスコップ1杯入れてないから。(盛り土したのは)天野だって言いたい、みんな。だけど俺、盛ってないよ。貸したんだよ。しかもそこには責任者名が入ってるよ」
土地は、土石流が起きる前の2011年、現在の所有者に売却されました。
■現土地所有者の代理人弁護士「もし知ってたら絶対に買っていない」

<現土地所有者の代理人 河合弘之弁護士>
「新幹線ビルディングの方から買ってくれと言われたから、買ったというだけのこと。恐ろしい土地だなんてことは(買う前から)全く知らない。もし知っていたら絶対に買わないと思います」
こう話すのは、現在の土地所有者の代理人弁護士です。
<現土地所有者の代理人 河合弁護士>
「新幹線ビルディングがああいう土砂を積むということをしなければ防げたんです。それからそれを市や県が阻止したら、あの事故は起きなかった」
■「法的に責任があるとは思っていない」
2026年3月の民事裁判で証言台に立った現在の土地所有者。
多くの犠牲者が出たことについて「責任がないとは思っていない」「反省しています」などと言及しましたが、弁護士は発言の趣旨をこう代弁します。
<現土地所有者の代理人 河合弁護士>
「自分の土地が原因で損害が発生したということについては、道義的に"かっこつき"の責任は感じていると思いますけど、法的に彼は自分が悪いことをしたから責任があるんだとは思っていない」
■熱海市長「司法の場で判断されること」
一方、盛り土の崩落を防ぐ最後の砦だったはずの熱海市と静岡県。危険性を認識しながら指導・対策を怠ったとして遺族や被災者から法的責任を問われています。
<熱海市 斉藤栄市長>
「自分の任期中に起こった災害であります。多くの人命、財産が失われたことについては、大変申し訳なく考えております」
熱海市の斉藤栄市長は、道義的な責任を語りつつも、法的責任については明言を避けました。
<熱海市 斉藤市長>
「あくまでそれは我々が判断することではありませんので、司法の場で法的責任については判断されることだという風に考えております」
■遺族「人間として多少の良心が残っているなら...」
熱海市とともに指導する立場だった静岡県はー。
<静岡県 鈴木康友知事>
「今もまだ各種係争を行っているところでございまして、私どもとしてはそれに真摯に対応していくいう姿勢で臨んで参りたいと思います」
<瀬下さん>
「やっぱり私たちがこういう理不尽に奪われた立場というところも逆に想像してみてほしいなというふうに思うんですよね。であればどういう対応をしていくべきか。まだ人間として多少の良心が残っているのであればそこに従っていただきたい」
「責任の押し付け合い」とも指摘される現・旧の土地所有者と熱海市、静岡県。
この4者を相手取り、遺族らが損害賠償を求めた民事裁判では、7月中旬にも責任論が取りまとめられる予定です。













































































