
オーストリアのキャンプを終え、日本へ戻ってすぐに臨んだトレーニングマッチの“静岡ダービー”で、ジュビロ磐田に合計スコア1-5の大敗を喫した。住吉自身、清水で3年目を迎えて「あんな負け方は初めて」と振り返る。コンディション調整や移動の難しさなど、敗因として挙げられる要素はいくつもあった。それでも「海外遠征や移動はACLを戦えば当たり前。そんなのは言い訳でしかない」と一蹴する。
ただ、開幕前に課題を突きつけられたことは、チームを見つめ直す機会になった。そこからの改善を証明するのは試合しかないが、練習から変えていかなければ試合でできないというのが住吉の考え。だからこそ、キャプテンの振る舞いが大事になってくる。ハーフシーズンは個人として良い時もあれば、悪い時もあったことを住吉は自覚している。
それでも「監督が使い続けてくれて、今後はキャプテンまで任せてくれた」と住吉。その信頼を結果で返さなければいけないと責任感を口にする。「吉田監督と一緒に、新しい清水でタイトルを取りたい」。そう語る住吉はクラブ、地域の期待を感じ取っている。夏のインターハイでは静岡学園と藤枝順心がアベック優勝を飾り、久々にサッカー王国・静岡を印象付けるニュースが飛び込んだ。しかし、静岡県を代表するプロクラブの1つである清水が、長らくタイトルから遠ざかっている現実がある。
J1に復帰した2025年シーズンには中位でフィニッシュできたが、そこに甘んじているわけにはいかない。百年構想リーグから神戸でリーグ2連覇を経験した吉田監督が率い、このオフはサンフレッチェ広島からFWジャーメイン良、京都サンガからDF須貝英大を獲得するなど、クラブとしても大きな補強を行った。「会社を含めてもう一回という気持ちがある。その思いを結果で示せるのは自分たちしかいない」と住吉。その言葉にはクラブ全体の空気を代弁するような重みがある。
一方で、住吉はハーフシーズンの反省も忘れない。百年構想リーグでは終盤に追いつかれて、PK戦へ持ち込まれる試合が相次いだ。当初は新監督のもとで全員が高い緊張感を持っていたが、「少しずつ緩くなっていた部分もあった」と率直に振り返る。だからこそ今季は、キャプテンとして練習から厳しく要求していく姿勢を明確にしている。
「練習で改善できないことは試合では出ない」と住吉。その考えのもと、お互いに遠慮なく言い合える集団づくりを最優先に掲げる。負けた時こそ自分たちで雰囲気を変える。キャプテン一人で変えることはできないが、その先頭に立つ覚悟はできている。住吉自身、もともと前に出てチームを引っ張るタイプではなかったという。「キャプテンも正直『いやー』と思いました」と笑うほどだ。しかしクラブ首脳や吉田監督から「もっと発信してほしい」と求められ、自らも少しずつ変わってきた。
キャプテンの理想像として挙げるのは元スペイン代表のセルヒオ・ラモス、そして浦和レッズやヴィッセル神戸で活躍し、現在は藤枝MYFCを率いる槙野智章監督。闘志を前面に押し出し、チームを鼓舞する存在に憧れを抱く。「自分にはまだそこまでの強さはない」と現状を認めるが、言葉の発信力を高めるためにも、まずは練習で示し、試合で示す。その積み重ねによって、自分らしいキャプテン像を築こうとしている。
シーズン開幕の相手は名古屋グランパスだ。優勝候補と言えば2025年王者の鹿島アントラーズや百年構想リーグで優勝したヴィッセル神戸、住吉も在籍した広島、前回ACL準優勝のFC町田ゼルビアなどの名前があがるが、名古屋の期待値も高い。清水としては“シーズンダブル”を食らった因縁の相手でもあり、その名古屋をアウェーの地で叩くことができれば勢いに乗れることは間違いない。
ただ、仮に結果が伴わなかったとしても、シーズンは続く。「切り替えて次へ向かうメンタリティも必要」。42試合近くの長い戦いを見据えた冷静さも、新キャプテンらしい視点と言える。もちろん全て勝てれば理想だが、長いシーズンなかなかそういう訳には行かない。目の前の試合を勝ちにはいくが、負けた時に跳ね返す力こそ、今の清水に一番足りないメンタリティだと住吉は考えているのだ。
期待の若手としては嶋本悠大の名前を挙げた。攻守に器用でありながら、自分でゴールまで持っていく力がある大型MFを「将来は世界へ羽ばたく選手」と高く評価する。一方で、そうした若手の台頭はベテランや中堅への刺激でもある。「上の選手たちも、若手に負けないという気持ちがなければチームは強くならない」と住吉。世代間競争こそがクラブ全体を押し上げる原動力になるという考えだ。そしてチームの顔となるべく、個人の目標を語った。
最後に「J1ベスト11に選ばれるくらいやらなければいけない。そして『エスパルスと言えば住吉』と言われる存在になりたい」と住吉。個人の成長とクラブの飛躍。その二つは決して別々ではない。住吉ジェラニレショーンの挑戦は、清水が飛躍するための挑戦でもある。





































































