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  • 2026/01/06

「2018年」が分岐点!10代に根強く残る需要!意外な年賀状市場のデジタル事情

20年で83%減:費用対効果を迫る市場の現実

日本における新年のあいさつの代名詞であった年賀状は、市場の構造的な縮小が明確に進行しています。日本郵便によると、年賀状の発行枚数は年々減少し、ピークであった2004年の44億5,000万枚と比較して、2026年用は約7億5,000万枚と、約83%の縮小となっています。

この縮小の背景には、スマートフォンの普及に伴うあいさつのSNS移行、および複数回の郵便料金改定といった外部環境の変化が複合的に作用しています。年賀状離れという構造変化の『要因』と『加速の分岐点』を、TBS生活DATAライブラリの全国調査から分析します。

グラフ①|【全国調査】今年出した年賀状の枚数.png

「年賀状離れ」の分岐点は⋯2018年以降の急加速

TBS生活DATAライブラリの全国調査から、「年賀状離れ」の速度は2018年以降に明確に加速していることが分析されます。
「今年出した年賀状の枚数」のうち、「年賀状は出していない」と回答した人の割合は2013年に20%を超えてから増加傾向となり、2013年から2016年にかけては緩やかに「年賀状は出していない」の割合が増加していましたが、2018年以降は約4ポイントずつ年々増加し、2024年には半数以上の人が「年賀状は出していない」と回答しました。

この時期に、費用対効果(ROI)の観点から年賀状という慣習的活動の継続が困難になった層が増加したことが示唆されます。また、2019年に年賀はがきが値上げされたことも、この急加速の要因の一つと考えられます。

年賀状離れの主役は“ミドルレンジ送付層”

一方、意外にも「1〜20枚」と回答した層は25%前後で安定して推移しています。縮小の主要因は、「21〜50枚」「51〜100枚」「101〜200枚」といったミドルレンジの送付層にあり、特に「51~100枚」「21~50枚」の層は、2009年以降、10ポイント以上の減少を見せています。
このデータは、年賀状の送付量が多かった層、すなわち企業や個人事業主を含むビジネス関係性の維持にコストをかけていた層が、年賀状を「手間や費用に見合う効果が得られなくなった」と感じ始め、デジタルでの連絡への移行または慣習の停止を選択した構造的変化を示唆しています。

では、年賀状をメールやLINEで済ます人はどの程度増加しているのでしょうか。2006年から2024年までの調査結果を比較したのが次のグラフです。全体で2018年以降増加を続け、2023年には2割を超えました。

グラフ②|【全国調査】年賀状は電子メールやLINEで済ますほう.png

年代別で見ていくと、20代では、2024年に37%がデジタルで代替しており、最もデジタルシフトが進んでいることが明らかです。他の年代においても2018年以降「電子メールやLINEで済ますほう」の割合が増加し、60代においても2024年には1割を超えるという結果となっています。

想像と逆の年賀状事情⋯意外とデジタル化していないのは10代?

一方で、意外にも「電子メールやLINEで済ますほう」の割合が低いのが10代。2019年以降微増を続けているものの、2割を超えた年は数えるほどしかありません。2024年には40代のほうが「電子メールやLINEで済ますほう」の割合が高くなっています。この特異な動向を検証するため、10代に絞った送付枚数の経年比較を実施しました(グラフ③)。

グラフ③|全国調査10代:今年出した年賀状の枚数.png

2023年まで10代の3割以上が「1~20枚」年賀状を出したと回答していました。この数値は全国調査全体(グラフ①)と比較しても非常に高くなっています。これは、学生というライフステージにおいて、友人や教師など限定されたコミュニティ内でのアナログなコミュニケーションツールとして機能していた可能性を示しています。

電子メールやLINE以外のコミュニケーション領域も

「年賀状は出していない」の割合は全国調査同様に増加を続けており、2020年に5割を超え、2024年には7割まで増加しました。2019年までは年賀状を出す人、出さない人が同程度でしたが、現在では年賀状を出さない人のほうが多数派になっています。

10代において、グラフ②「電子メールやLINEで済ます」(2割)とグラフ③「紙の年賀状を出している」(2〜3割)の合計を引いた残りの約5割が、年賀状でもメール・LINEでもなく、従来の年賀状文化から離脱している点です。

この未開拓領域は、単にあいさつの文化が廃れてきているだけでなく、電子メールやLINE以外にもInstagramやX(旧Twitter)、TikTokといった短尺動画・画像SNSが新年のあいさつのプラットフォームとして機能している可能性を示唆します。

年賀状の変化は、私たちの関係の変化

年賀状市場の構造的な縮小は、単に紙の文化が廃れるという文化論に留まりません。この変化の根底にあるのは、「人が誰かを思い、言葉を届けたいという本質的な欲求は変わらない」という事実です。
紙のあいさつ状から、SNSの短いメッセージへと手段は変われど、その一通(ひと言)が、相手との関係資本を維持・強化する「小さな橋渡し」として機能している点に変わりはありません。

ビジネス戦略としては、このアナログな価値観とデジタルな効率性を両立させることが重要です。単なるコスト削減ではなく、個を思う気持ちを最大限に高めた方法を選択し、費用対効果を考慮した上で、持続可能な関係の構築を目指すべきです。年賀状のデータは、私たちに「コミュニケーションの目的」と「手段の最適化」という、極めて重要な課題を突きつけていると言えるでしょう。

"出典:
2006年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7429サンプル
2007年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7411サンプル
2008年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7415サンプル
2009年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7422サンプル
2010年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7417サンプル
2011年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7420サンプル
2012年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7404サンプル
2013年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7407サンプル
2014年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7408サンプル
2015年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7408サンプル
2016年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7410サンプル
2017年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7397サンプル
2018年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7397サンプル
2019年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7389サンプル
2020年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7400サンプル
2021年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7401サンプル
2022年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7400サンプル
2023年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7400サンプル
2024年TBS生活DATAライブラリ全国調査 男女13~69歳7400サンプル"

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