DATA静岡のマーケットデータ
- 静岡のマーケット
- 2025/12/19
💖「男性は焦り、女性は推し活」データが示す、コロナ禍で逆転!?静岡の恋愛意識
街はクリスマス一色。明るく彩られた街並みを歩くと、自然と恋愛を歌ったクリスマスソングのメロディが流れてくる気がします。しかし、晩婚化や恋愛離れが叫ばれる現代、データは恋愛観のリアルな「現在地」を静かに示していました。
SBS生活DATAライブラリの調査から、若者の「恋愛・結婚」への関心推移を読み解きます。

コロナ禍が変えた「意識の逆転現象」
こちらのグラフは日常生活の関心事として「恋愛・結婚」と回答した人の割合推移です。おそらく皆さんが推察された通り、10代、女性20~34歳、男性20~34歳と若い世代の数値が高くなっています。このデータの中で最も興味深いのが、2019年から2022年にかけての新型コロナウイルスによるパンデミックがもたらした男女の意識の逆転です。
2020年まで、最も「恋愛・結婚」に関心が高いのは女性20~34歳でしたが、コロナ禍という不確実性の高まった時期に、男性20~34歳の関心が急上昇し、2021年には女性を上回りました。この時期は、先の見えない社会情勢の中で、男性が家庭やパートナーの存在をリスクヘッジや心理的安全の確保の観点から強く意識し始めた可能性が推察されます。
一方、同時期に女性20~34歳の数値は減少しています。これは、2021年に新語・流行語大賞にノミネートされた「推し活」という言葉に表されるように、時間的・空間的な制限の中で、恋愛・結婚といった対人関係のコストよりも、「推し活」など、自己完結型で確実な充足をもたらす活動に資源(時間・感情)を再配分した結果と解釈できます。
この意識の逆転は、外部環境の変化が、男女間の「心理的なニーズ」の優先順位を短期的に大きく変動させることを示唆しています。
また、女性20〜34歳は2018年をピークに「恋愛・結婚」への関心が低下傾向にあり、2022年・2023年はいずれも20%を下回る水準で推移しています。男性20〜34歳も、コロナ禍の期間を除くと20%を超える年はなく、長期的な下降傾向が見られます。
静岡市におけるデータからは、男女ともに「恋愛・結婚」への関心度が低水準で推移しており、若年層における「恋愛離れ」の構造的な進行が示唆されます。
ちなみに、男性独身と女性独身の「恋愛・結婚」への関心推移をみると次のようなグラフとなりました。

📉 独身者のリアル:恋愛関心の「急降下」と潜在的な願望
男性独身者はグラフ①同様に2021年に数値が高くなったものの、2023年には11.5%まで落ち込みました。この変動は、特定の社会状況下で関心が短期的に浮上したものの、その後の冷え込みが顕著であることを示しています。
女性独身者では2018年に30.1%が「恋愛・結婚」に関心があると回答したものの、2021年にかけて減少。その後、20%前後まで回復したものの、長期的には約10ポイントの興味関心の低下が見られます。
男女ともに「恋愛・結婚」への関心は下降傾向にありますが、独身女性のほうが独身男性と比べると日常生活における「恋愛・結婚」へのアンテナを高く維持している構造が浮き彫りになりました。
ここまで日常生活の関心事で「恋愛・結婚」と答えた人の推移を見てみましたが、SBS生活DATAライブラリの調査の中に「これから充実させたいこと」という質問があったのでその推移についても見てみました。

■ “これから充実させたいこと”としての「恋人」──ここでも逆転が
「これから充実させたいこと」として「恋人」と回答した人の推移がこちらのグラフです。こちらのグラフも若年層の数値が高い結果となりました。
特徴的なのは、先ほどのグラフ①②では女性の数値が男性よりも高かったのに対してこちらのグラフでは20~34歳男女の差が小さくなっている点です。
特に注目いただきたのは2021年以降。2020年までは女性20~34歳のほうが男性20~34歳よりも「恋人」に対する意識が高かったのに対して、2021年以降は男性のほうが数値が高いまま推移しています。日常の中での興味関心としての「恋愛」の割合は女性のほうが高いものの、将来における恋愛への意識は男性のほうが高いようです。
女性は「恋愛に縛られず、今を充実させる」という自立した姿勢を見せる一方で、男性は「人生の設計図」の中にパートナーの存在を不可欠なものとして強く組み込んでいる⋯この「日常のクールダウン」と「未来への切実な願望」のギャップこそが、静岡のデータが示す、現代の男女の恋愛観と言えます。

独身の男女を比較すると、2019年まで男性独身者と女性独身者の数値はほぼ同程度でした。しかし、2020年以降男性のほうが数値が高くなっており、男性のほうが「恋人」に対する意識が高くなっていることがわかります。
また、男性は2019年から2021年にかけて、女性は2019年から2022年にかけて数値が上昇していましたが、その後は再び下降傾向に戻っています。
グラフ①③にて、2023〜2024年にかけて、10代の数値が大きく上昇しているのも特徴的です。。
全国の高校生男女100名を対象に毎年行われている株式会社アイ・エヌ・シーの「渋谷トレンドリサーチ」(https://shibuya-trendresearch.jp)によると、「2023年春の最新トレンド」の流行っている言葉ランキングで「蛙化現象」が、「2023年夏の最新トレンド」では「蛙化現象」に加えて「蛇化現象」もランクインしており、2023年ごろから恋愛に関するワードがトレンドに上がっていたようです。
さらに、複数の調査期間において、好きな番組の中に恋愛リアリティ番組「今日、好きになりました。シリーズ」も上がっていて、これらの全国的なトレンドは、10代が「恋愛」をエンターテイメントとして消費しつつ、実生活における関心も同時に高めていることを示しており、若年層の恋愛市場が再活性化している可能性を示唆しています。
選択肢が最大化された時代の幸福論
ご紹介した4つのデータは、静岡市の若年層において「恋愛離れ」という社会的な傾向を裏付ける結果となりました。
しかし、これはネガティブな終焉を意味するものではありません。むしろ、現代は「人生の選択肢が最大化された時代」に入ったと言えるでしょう。
恋愛や結婚だけが唯一の幸せの形という旧来の価値観から解放され、個人の多様な生き方や充足が尊重されています。生涯を一人で謳歌する道も、従来の家庭を築く道も、あるいは新しい形のパートナーシップを選ぶ道も、すべてが等しく価値ある選択肢となりました。
データが示す「恋愛市場の冷え込み」は、義務感からではなく、自己の価値観と向き合い、納得できる人生を主体的にデザインするフェーズに入った証拠です。だからこそ、外部の期待や社会の常識に縛られることなく、ご自身の「人生の羅針盤」を見つめ直し、後悔のない豊かな人生を歩むことが、今、最も求められているのではないでしょうか。
"出典:2015.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2016.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2017.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 564サンプル)
2018.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 564サンプル)
2019.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2020.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2021.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 563サンプル)
2022.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2023.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2024.11 SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 563サンプル)
「渋谷トレンドリサーチ」(https://shibuya-trendresearch.jp)
2023年春のトレンド調査 (高校生男女15~18歳 100サンプル)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000026876.html
2023年夏のトレンド調査 (高校生男女15~18歳 100サンプル)https://shibuya-trendresearch.jp/monthlytrendsurvey/1153/
2023年秋のトレンド調査 (高校生男女15~18歳 100サンプル)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000026876.html
2024年春のトレンド調査 (高校生男女15~18歳 100サンプル)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000026876.html
2024年夏のトレンド調査 (高校生男女15~18歳 100サンプル)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000026876.html
2024年秋のトレンド調査 (高校生男女15~18歳 100サンプル)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000026876.html
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