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  • 2025/11/28

静岡のXユーザーは『推し活』と『ソロ活』を極める!?全年齢データで判明したSNSごとの行動格差とは?

9月初旬に、静岡の10・20代のSNS利用者を対象とした調査結果を分析し、X(旧Twitter)ユーザーはInstagramユーザー・TikTokユーザーを比較すると「自分なりの価値観を持つ慎重派」という傾向が浮き彫りになりました。

しかし、この特性が若年層特有のものか、それともXというプラットフォームに依存する普遍的な特性なのかを検証するため、今回は静岡市全年齢版のXユーザー行動特性について深堀りします。

全年齢でみた際、前回導き出された「自分なりの価値観を持つ慎重派」という定義に変化があるのか。SBS生活DATAライブラリ静岡市調査の結果から検証していきましょう。

まずは、静岡市民の間でのXの利用状況から確認します。

11月データバンクコラム_グラフ①|年代別男性のX利用頻度.png

11月データバンクコラム_グラフ②|年代別女性のX利用頻度.png

静岡市調査全体では、「よく利用している」(18.5%)と「ときどき利用することがある」(13.3%)を合わせ、約31.8%の人がXを利用している結果となりました。本コラムでは、この「よく利用/ときどき利用」と回答した約3割の層を「Xユーザー」と定義し、以降のデータ分析の母集団とします。

Xユーザーの性年代別構成比を見ると、突出しているのが女性20代で、「よく利用している」が52.9%と、半数以上の20代女性がXを利用しています。また、男女ともに20代の利用率が最も高いことが分かります。

一方、男女ともに40代以上では「登録していないが名前を知っている」が5割以上となっており、情報接触はあるものの、利用は30代以下と比較して限定的であることが示されています。

Xユーザーの具体的な特性を理解するため、続いて、InstagramユーザーとTikTokユーザーとの性年代比率をご紹介します。

11月データバンクコラム_グラフ③|各SNS利用者の性年代構成比.png

X利用者の男女比が比較的均衡しているのに対し、InstagramとTikTokでは女性ユーザーの割合が男性を上回る構成となっています。特にInstagramでは、他SNSと比べて「女性30~50代」の層が厚いのが特徴的です。一方、TikTokユーザーでは、男女ともに「10代」の割合が最も多く、「女性20代」の割合も多いことから、若年層のトレンド発信基地としての側面が強いことが分かります。

では、この性年代構成を踏まえ、各SNSユーザーの行動にどのような「違い」が現れているのかを分析します。次のグラフは、各SNSユーザーが3か月以内に行った特徴的な行動についてまとめたものです。

11月データバンクコラム_グラフ④|3か月以内に行ったこと.png

Xユーザーの特徴的な点として、「スマホ・携帯電話でゲーム」「TV・PCゲーム」「携帯型ゲーム機」などのゲームに関する項目が他SNSユーザーよりも高い点が挙げられます。

また、「コンサートに行く」「音楽鑑賞」「推し活」の数値も高く、これは、Xユーザーがゲームや音楽など、特定のコンテンツに対して熱狂的であり、購買やイベント参加といった行動へ結びつく意欲が他SNSよりも強いことを示唆しています。

一方で、「写真撮影・加工・投稿など」の項目については他SNSユーザーよりも数値が低くなっています。これは、Xが「記録・表現の場」というより、「情報交換・共感の場」として使われていることの表れであり、写真に対する意識が他SNSユーザーとは異なっていることが分かります。

Xユーザーが、推しへの強い行動意欲を持つ一方で、行動自体は「ソロ活」や「自己完結型」に偏る傾向がないかを検証するため、続いて、余暇に対する考えについても比較してみました。

11月データバンクコラム_グラフ⑤|余暇に対する考え.png

Xユーザーの行動特性を一言で定義するならば、「自己完結型で主体的なソロ・プロデュース志向」を持つ消費者です。

特に目立つ点として、「自分でコースやスケジュールを決められる旅行がよい」「ひとりで楽しめる旅行やレジャーがしたい」といったソロ活動志向の数値が他SNSユーザーよりも高い傾向にあります。また、「趣味の道具やツールをそろえるのが好きなほう」というデータは、自分の満足度を高める投資に積極的であることを示唆しています。さらに、「国内の旅行は公共交通機関を利用することが多い」というデータは、計画性と効率性を重視する行動様式を裏付けます。

一方、「新しい施設やイベントに行きたいと思わない」の数値も他SNSユーザーよりも高い傾向にあります。これは、Xユーザーが新規性そのものよりも、自分の深い興味・価値観に合致しているかを最優先する、極めて選別的な消費者であることを示しています。

このような主体的な行動志向が、消費や購買行動においてどのように現れるのかを分析するため、続いて買い物行動についても比較検証します。

11月データバンクコラム_グラフ⑥|買い物に対する意識・行動.png

Xユーザーは、「ネットショッピングに不安はない」「通信販売を信用するほう」と回答した人が他のSNSよりも多く、これはオンライン購入への心理的な障壁が極めて低いことを示しています。

また、「気に入れば中古品でも買う」「多少高くても有名メーカーのものを買う」といったデータは、価格や新品・中古に囚われず、自分の価値基準とブランドへの信頼で購買を決定する、選別的な消費者であることを裏付けています。

さらに、「無理をしてでも欲しいものを買う」という項目も他SNSよりも高いのが特徴的です。これは、Xユーザーが持つ特定のコンテンツやブランドへの熱狂的な愛着が、消費行動における「自己投資」や「ロイヤリティ」として現れていると分析できます。

本コラムで分析したデータは、Xユーザーが趣味や買い物に対し、「自己の価値観」と「行動力」が極めて明確な消費者層であることを示しています。

したがって、SNSを使ったマーケティング戦略を成功させるためには、単にリーチ数や利用率を見るだけでなく、各SNSのユーザー特性に合わせたアプローチを検討することが、今後の広告効果を左右する必須の戦略となるでしょう。

出典:2024.11SBS生活DATAライブラリ静岡市調査 男女13~69歳 563サンプル

株式会社トムス

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