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  • 2025/08/29

推し方も性格が出る?日本のアイドル好きとK-POP好きの意外な違い

まだまだ暑い日は続いていますが、だんだん日が落ちる時間が早くなり、秋の気配が近づくと、音楽や芸術など文化に触れたくなる人も多いのではないでしょうか。

その中でも、この10年で大きく変化したのが「アイドル文化」のあり方です。一口にアイドルファンといっても、日本のアイドルを応援する人と、K-POPを支持する人では、どこか印象が違う気がしませんか?あくまで筆者の観察に基づいた印象ではありますが、SNS上の投稿やライブ会場でのファッションを見ていると、日本のアイドルファンにはナチュラルで清楚系スタイル、K-POPファンにはトレンド感のあるカッコいい系スタイルを好む人が多いという印象を受けることがあります。

もしファン層の特徴が明らかになれば、CMや番組制作に役立つかも…という期待も込めつつ、今回はJNN生活DATAライブラリの全国調査(2024年11月実施)をもとに、「日本のアイドル好き」と「K-POP好き」にどのような違いがあるのかを探っていきます。

まずは「好きな音楽の種類は?」という設問で「日本のアイドル」「K-POP」と回答した人の属性について見ていきます。
※日本のアイドルと回答した人を「日本のアイドル好き」、K-POPと回答した人を「K-POP好き」と表記しています。

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グラフ①は性別、グラフ②は年代、グラフ③は回答者本人の月収です。日本のアイドル好きでは、K-POP好きに比べて男性の割合が約10ポイント高くなっています。いずれも6割以上が女性ですが、日本のアイドル好きのほうが男性の割合がやや高い傾向があるようです。

年代別では、両者とも調査全体に比べ、20代の割合が高いという特徴がありました。日本のアイドル好きは20代と同等程度の50代が注目され、K-POP好きには10代の割合が高く、より若年層の支持が見られます。

月収についてまとめたグラフ③では、K-POP好きは10代が多いこともあり、「収入なし」が約2割を占めていて、平均月収は日本のアイドル好きの方が高い結果となっています。とはいえ、日本のアイドル好きも全国平均と比較すると月収は約2万円ほど低く、どちらのファン層も自由に使えるお金には限りがあることがうかがえます。

年齢層や性別に違いがあることが見えてきた日本のアイドル好きとK-POP好きですが、それぞれのおこづかいの使い方にはどんな違いがあるのでしょうか。

ここからは女性の日本のアイドル好きとK-POP好きに焦点を当てて比較をしていきたいと思います。

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女性の回答者に限っておこづかいの使い方を見ると、一般的には日本のアイドル好きの方が、各項目でK-POP好きより支出額が多い傾向が見られました。コンテンツの供給量や年齢層の違いも影響している可能性はありますが、日本のアイドル好きのほうがK-POP好きよりも、趣味に対して積極的にお金を使っていることが示唆されているようです。一方、K-POP好きの方は、「化粧品やヘアケア用品」など自分磨きへの支出が日本のアイドル好きよりも5ポイント以上高い結果となりました。

そこで、回答者が認識している自分の性格や人柄について比較した結果がグラフ⑥⑦です。日本のアイドル好きのほうがK-POP好きよりも数値が高かったのは、主に以下の項目です。

グラフ⑥:自分の性格や人柄 (1).jpg
グラフ⑦:自分の性格や人柄(続).png

「わりとくよくよ心配するほう」
「何かするときには準備をして慎重にやるほう」
「しんぼう強いほう」
「人付き合いが苦手なほう」
「どちらかといえば引っ込み思案のほう」
「ときどき空想にふけることがあるほう」
「話をするよりもだまって考え込むほう」
「ものごとにけじめをつけるほう」

一方、K-POP好きでは以下の項目で数値が高くなりました。

「だれとでも気軽に付き合うほう」
「どちらかといえば友達は多いほう」
「あきらめのよいほう」
「人に言われたことをあまり長く気にかけないほう」

各項目の数値を見る限り、日本のアイドル好きな女性には、内向的で心配性、かつ真面目な傾向が見られるようです。一方でK-POP好きな女性は、比較的外交的でさっぱりとした気質を持つ人が多い可能性が示唆されました。もちろんこれはあくまで傾向であり、個人の性格は多様であることは言うまでもありません。

グラフ⑧:余暇の過ごし方.pdf

さらに余暇の過ごし方については、グラフ⑧を見ると、K-POP好きの方が「国内旅行よりも海外旅行」や「自然の中で過ごすレジャー」を好む傾向が高く、日本のアイドル好きは「休日は近場で過ごす」「テーマパークや名所を訪ねる」などの方が高い傾向が見られました。K-POP好きは10代・20代の比率が高いこともあり、ファン層の一部にアクティブな余暇の過ごし方を好む人が多い可能性が示唆されます。

もちろん、男性アイドル・女性アイドルの違いや、回答者の年齢構成なども結果に影響を与えていると考えられますが、今回の調査からは、日本のアイドルファンとK-POPファンとでは、いくつかの面で異なる傾向が見られることがわかりました。

これらの結果は、ファン層の特性を決めつけるためのものではなく、メディア戦略やマーケティング戦略を考える上での一つの参考指標として活用できるものです。同じアイドルファンでも、そのアイドルを好きになったきっかけや経験によって行動や思考は大きく異なることも忘れてはなりません。

株式会社トムス
出典:2024.11JNN生活DATAライブラリ全国調査(男女13~69歳 7400サンプル)

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