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  • 2025/06/30

あなたのお家は大丈夫?地震に備えよ!みんなの防災意識

「2025年7月に大災害が起こる」という予知の話はご存知でしょうか。1999年に出版された漫画『私が見た未来』にて著者のたつき諒さんが予知したことがきっかけとなり、香港の有名な風水師やYouTuberも言及したことから国内外問わず話題となっています。すでに香港では日本行きの飛行機の運休・減便や訪日旅行を控える動きが相次いでいるとのことです。

今回の予知は科学的根拠に基づくものではありませんが、地震に対する不安や関心が高まっているのは事実。いつ地震や災害が起こっても安全に避難ができるよう、この機会に防災対策の見直しをしてみるのはいかがでしょうか。そこで今回は自然災害への関心についてみていきたいと思います。

グラフ①はストレスの原因として「地震・異常気象などの自然災害」と回答した人の割合を経年で比較したものです。

【グラフ①】ストレスの原因:地震・異常気象などの自然災害.png

いずれの年も静岡市調査のほうが全国調査よりも数値が高くなっていますが、特に高いのは2021年と2022年、2024年です。2021年と2022年については豪雨による熱海市の土砂災害や静岡市清水区の浸水害が起きたことによる影響が大きいと考えられます。

2024年については静岡市調査のみならず全国調査の数値も高くなっており、1月に起きた能登半島地震と8月に発令された南海トラフ地震臨時情報が要因と考えられます。

このような不安の高まりが表れているのが、地震保険の加入率です。グラフ②をご覧ください。

【グラフ②】地震保険の加入率.png

静岡市調査では2021年に地震保険の加入率が29.0%と3割弱の方が加入しています。前年の2020年は23.8%のため、1年間で5ポイント以上上昇しています。その後2022年以降も26%以上で横ばいとなっており、地震に備えている方が多いことがうかがえます。2021年の加入率が増加した背景として、熱海市伊豆山土石流災害をきっかけに、地震を含む各種災害についてご家庭での備えを見直した方が多かったのかもしれません。

また、東日本大震災から10年ということで様々なメディアで特集が組まれていたというのも少なからず影響を与えていそうです。

では具体的な家庭での防災対策はどうでしょうか。全国と静岡を経年で比較してみたのがグラフ③です。

【グラフ③】家庭での防災対策 (1).png

家庭での防災対策の意識についても全国よりも静岡の意識が高いという結果が表れています。とくに特徴的なのが2024年の「非常用持ち出し品の準備」と「非常用の食料・飲料の常備」です。いずれの項目も2020年から2023年で比較すると全国調査はほぼ横ばい、静岡市調査はやや右肩上がりという変化をしていましたが、全国・静岡ともに2024年に数値が急増しています。これは南海トラフ地震臨時情報の影響と考えられます。

一方、「ガス漏れ警報器の設置」に関しては年々減少していますが、こちらはIHコンロの普及が要因として挙げられそうです。

少し気になるのは「家具など転倒防止のための固定」です。全国調査ではおおむね横ばいで推移していますが、静岡市調査では2023年まで右肩下がりの傾向となっていました。2024年では南海トラフ地震臨時情報の影響からか29.8%まで回復していますが、2023年までは家具等の転倒対策をする人が減っていたようです。

非常用持ち出し品や食料・飲料は災害全般に備えるためのものですが、家具などの転倒防止対策は主に地震を想定したもの。近年は静岡県を含む大きな地震が発生していなかったことから、こうした対策がおろそかになってしまったのでは、と考えられます。

また、災害時に備えた行動についてまとめたのがグラフ④です。

【グラフ④】災害時に備えた行動について (1).png

こちらも静岡の数値のほうが全国と比べて高い傾向です。特に「地域の防災訓練に参加している」は全国調査を20ポイント近く上回っているのが特徴です。

一方で、この「地域の防災訓練に参加している」は直近5年で右下がりとなっており、年々減少しているのが課題です。「災害時の避難方法や連絡方法などを家族で話し合っている」については2024年に静岡調査・全国調査ともに数値が高くなっています。こちらも南海トラフ地震臨時情報の影響と考えられます。今後も引き続き防災対策への行動・意識を高めていきたいところです。

全体的に2024年調査では能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報による影響により数値が一時的に高くなる結果となりました。自然災害が起きた直後や、公的機関から災害への備えに関する情報が入ったときは防災意識が高まっているものの、時間とともに危機感が薄れてしまうのが現実でしょう。科学的根拠のない予言や噂話に対して過度なストレスや不安を感じる必要はありませんが、地震や自然災害はいつか必ず起きてしまうもの。「いつ地震がおきてもおかしくない」ということを前提に備えをしておくことが重要です。

今回の話題をきっかけに、まずは地域の防災訓練への参加や避難場所の確認、ご家庭での備えを見直してみてはいかがでしょうか。

株式会社トムス
出典;2020年11月TBS生活DATAライブラリ全国調査(男女13~69歳 n=7400)
2021年11月TBS生活DATAライブラリ全国調査(男女13~69歳 n=7401)
2022年11月TBS生活DATAライブラリ全国調査(男女13~69歳 n=7400)
2023年11月TBS生活DATAライブラリ全国調査(男女13~69歳 n=7400)
2024年11月TBS生活DATAライブラリ全国調査(男女13~69歳 n=7400)
2020年11月SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 n=562)
2021年11月SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 n=563)
2022年11月SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 n=562)
2023年11月SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 n=562)
2024年11月SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 n=563)

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