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  • 2025/05/09

“安い方でいいか”が増えた理由 静岡市民のリアルな買物事情

米の値上がりに続き、2025年5月にはハムやソーセージなどの「加工食品」、香辛料を中心とした「調味料」など約480品目が値上げ予定という記事を見ました。2021年以降、消費者物価指数は上昇を続けており、今後も上昇傾向は続くと予想されています。年々食料品の値上げが続いており、家計の見直しをしている方も多いのではないでしょうか。そこで、今回はSBS生活DATAライブラリ静岡市調査の結果から、2014年~2024年の10年間にわたる静岡市民の買物意識変化について分析しました。

物価上昇が続く中で、静岡市民の買物意識・行動にどのような変化が生じているのでしょうか。まずは買物時の意識・行動として「多少高くても有名メーカーを買う」と「安ければメーカーにこだわらない」と回答した人の割合を比較してみました。

グラフ①.png

「買物意識・行動について①」をみると、「安ければメーカーにこだわらない」の割合は2017年から2022年にかけて減少し、「多少高くても有名メーカーのものを買う」は2019年ごろから2022年にかけて上昇を続け、差が小さくなっていました。

しかし、2022年以降は再び「安ければメーカーにこだわらない」が上昇を続け、「多少高くても有名メーカー」の割合は2022年から2023年で急降下しています。この結果から、直近2年では「有名メーカー」のものよりも「値段の安さ」を重視する人が増えていることがうかがえます。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどでもプライベートブランド商品の扱いが増えているため、近年の物価高の影響を受けて安いものを購入する人が増えているのかもしれません。

続いて、日用雑貨・食料品を買うときに意識することとして「価格の手ごろさ」と「品質の良さ」と回答した人の割合を比較してみました。

グラフ②「価格の手ごろさ」と「品質の良さ」.jpg

「日用雑貨・食料品を買うときに意識すること」についてみてみると、2023年調査から「価格の手ごろさ」が2022年から2023年に急増し、「品質の良さ」を上回りました。「価格の手ごろさ」はそのまま高水準を維持し、約7割の人が価格を意識しているようです。

「品質の良さ」は10年前と比較すると微減傾向にありますが、それでも6割以上の人が意識をしているという結果となりました。この結果から、近年の買物意識は価格>品質になっていると考えることができそうです。

では、商品の「実質(中身)」と「みかけ」ではどちらが意識されているのでしょうか。その結果をグラフにまとめました。

グラフ③「実質(中身)」と「みかけ」.jpg
「買物意識・行動について②」は、買物時の意見・行動として「みかけより実質(中身)を重視する」と「実質も大事だがみかけも重視する」と回答した人の割合の推移を比較したグラフです。

2014年から2021年までは「みかけより実質を重視する」「実質も大事だがみかけも重視する」ともに多少の増減はあるものの、おおむね一定の水準を保っていました。しかし、2021年以降は「みかけより実質を重視する」が上昇を続け、「みかけも重視する」は減少傾向にあります。2021年以降は商品の「みかけ」よりも「中身・実質」を意識している人が増えているようです。

グラフ①~③をみると、2023年以降は安さを意識している人が急増、さらにみかけよりも実質・中身を重視する人も増加傾向と考えることができそうです。金額>品質・中身>みかけ の優先順位でお買い物をしている人が増加している可能性が非常に高いと考えられます。

みなさんの日頃のお買い物はいかがでしょうか。2023年は主要食品メーカーが年間3万品目以上の飲食料品を値上げしたほか、卵の高騰など家計の食料品への打撃が大きい年だったため、2023年以降に価格への意識が高まったと考えられそうです。また、スーパーやドラッグストアのプライベートブランド商品を購入するようになった、という人も少なくないのではないでしょうか。私も一消費者として価格を意識することが増えていましたが、みなさん価格への意識が高まっているんだなあと複雑な気持ちになりました。

最後に、おまけとして買物行動・意識で「価格の手ごろさを重視する」「品質の良さを重視する」と回答した人の年代別経年比較のグラフを作ってみました。

おまけグラフ① (1).jpg
おまけグラフ② (1).jpg

「価格の手ごろさを重視」する人を年代別に経年比較すると、2022年以降は30代以上の年代で上昇傾向にあり、特に40代で「価格を重視」する人が他の年代よりも多いようです。40代は子育て世帯が多い年代のため、家計を意識する人も多いのではないでしょうか。また、「品質の良さを重視する」人を年代別に経年比較すると、2022年ごろから20代・30代で減少傾向にあり、品質への意識が低くなっているようです。一方、60代は以前として「品質の良さを重視する」人が多く、世代間に差が生じています。

いずれの年代も価格の安さへの意識が高まっていますが、世代によっては変わらず「品質の良さ」も重視されているようです。小売店やメーカー企業ではターゲット世代となりそうな方の買物行動・意識にあったマーケティング施策が今後さらに求められそうですね。


出典:
2014年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2015年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2016年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2017年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 564サンプル)
2018年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 564サンプル)
2019年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2020年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2021年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 563サンプル)
2022年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2023年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 562サンプル)
2024年度SBS生活DATAライブラリ静岡市調査(男女13~69歳 563サンプル)

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