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  • 2021/09/06

世帯所有率の推移

家電は世につれ、世は家電につれ~家電の世帯所有率の推移
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 当コラムでおなじみの「SBSデータバンク静岡市調査」ですが、いつから始まったかご存じでしょうか。初回は1971年の11月。当時の調査票の現物が残っていますが、紙質(劣化具合)、フォント、デザインなど、なかなかの歴史を感じさせます。当時はデータの分析をしたくても素人では操作できず、「こういう分析をしてほしい」と依頼して計算してもらっていたとか。古いデータはすでに動かせる人もシステムもなく、手書きの数字が貴重な資料となっています。
 さて、その貴重なデータの一部を、2015年まで時系列でまとめていたものがあります。この中では「持っているもの」「欲しいと思うもの」なども調査しており、その結果からは時代の流れを感じることができます。今回は世帯で所有している商品の中から「ルームエアコン」「電子レンジ」「食器洗い乾燥機」をピックアップしました。
 「ルームエアコン」は1971年では11.7%の所有率でした(※当初は「ルームクーラー」として調査)。1990年を過ぎると下降し、1993年で57.3%と底を打った後は上昇に転じています。1991年から1993年はちょうどバブル崩壊の時期で、高額家電の普及に影響した可能性があります。ただ、一般的に冷房のみを意味する「ルームクーラー」から、暖房機能も包含する「ルームエアコン」に表記を変えた時期が1995年です。「うちは『エアコン』であって『クーラー』じゃないから」と○を付けなかった回答者がいた可能性もあります。調査項目の表記とは、些末なように思えて実はデリケートな問題なのです。
 「電子レンジ」も1971年から調査していて、所有率が50%を超えるのは1988年です。その頃の私は、学校の給食か調理実習だったか、加熱不良のハンバーグがあったら電子レンジで再加熱するよう先生から指示され、便利なものがあるのだなと感動した覚えがあります。なお、2000年から2010年までは「オーブンレンジは含まない」という注釈がついており、2011年からは「オーブンレンジを含む」という注釈に変わりました。この注釈の変化から、電子レンジの多機能化とその一般化が読み取れます。
 「食器洗い乾燥機」は2003年まで「全自動食器洗い機」として調査していました。継続データは1975年からになりますが、1972年にすでに調査していること、しかも0.8%のお宅が持っていらっしゃることが驚きです!
 ここまで古いデータを見ることは普段ないのですが、たまに見てみると時代の移り変わりが感じられて興味深いものです。


トムス 櫻井亜希子
(出典:1971~2015年SBSデータバンク静岡市調査/男女13~59歳※1993年から調査対象を69歳まで拡大しているが、本時系列データでは59歳までの結果を使用)

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