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- シニア
- 2019/10/03
老後のための貯金・保険にお金を回したいと思う人が減少
近頃、金融庁が示した「老後に2000万円不足」との試算が大きな話題を呼びました。誰にとっても他人ごとではなく、改めて老後の備えを考えた人も多かったのではないでしょうか。
さて、リタイア後の生活について、どのようにイメージしていますか。SBSデータバンク静岡市調査では、老後についての意識や意向を尋ねています。2008年と18年の結果を比較してみました。

この10年間で意識の変化がみられたのは
・老後のために貯金や保険加入をしておきたいと思う人の割合が減少し、
国の社会保険制度に頼りたいと思う人が増加
・老後の住まいについて、郊外派が減少し街中派が増加
・一戸建て派が減少し、マンション派が増加
・老人ホームなどの施設受容派がやや増加し、非受容派が減少
年金への不安が高まっているいる中で、老後のための貯金や保険加入への意欲を持つ人の割合の減少は意外に感じられます。年代別で詳しく見てみると、特に40代以下の世代でこの10年間で大きくポイントを落としています。不安は抱えつつ、まだ先のことと捉える人が多いのかもしれません。30代、40代は住宅購入や子育て、子どもの進学などへの関心がより高く、またお金もかかるので、老後の備えとして貯金や保険に回す余裕がないのが実情ではないでしょうか。「30 代・40 代の金銭感覚についての意識調査(SMBC コンシューマーファイナンス調べ)」でも、この世代で貯金ができない人の割合が17.1%(2018年)から23.1%(2019年)と6ポイント増え、貯蓄できない人が増加傾向にあることがうかがえます。
老後の備えのみならず、住まいや施設の利用などについての意識・ニーズも変化しています。街中派、マンション派が増加傾向にあったり、老人ホームなどの施設の利用意向者が増えていたり。このような人々の意識・ニーズの変化にともない、街の様子も変わってくると見込まれます。
「老後に2000万円不足」という言葉に振り回されないためにも、老後の生活の理想像を描き、実現に向けて「何が、どれだけ」必要かを、具体的に考えてみることが大切です。