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- 2019/08/23
遠いようで近い、選挙とスマートフォンの関係
7月の参議院選挙、皆さん投票に行きましたか。選挙権が18歳以上に引き下げられ、若い頃から政治や社会問題への興味関心を高く持ちたいところです。若者は選挙に行かない、政治に関心がないと叫ばれる昨今ですが、本当にそうでしょうか。SBSデータバンクから、政治問題への関心を2018年と08年で年代別に比較してみました(図1)。

すると、確かに若者(10代・20代)の数値は10年前より減少していますが、それよりも注目すべきは全世代で一様に減少している点です。08年の20代と18年の50代の数値はほぼ変わりません。全体で比較すると、16.4ポイントも減少しています。
では、興味関心が低下したのは政治だけでしょうか。社会全般のことで関心があることの上位7項目をピックアップし、同じく18年と08年で比較してみました(図2)。

すると、自然災害以外の項目が、軒並み08年よりも減少していることがわかります。
この10年で私たちのライフスタイルを大きく変化させたものの一つが、スマートフォンです。18年にはスマートフォンの保有率は74.6%に上り(図3)、誰でもインターネットにつながることができるようになりました。

インターネットを介して配信されるニュースではキュレーション技術(興味のある情報を選択し、集めて整理すること)が発達し、個人ごとに、興味関心の高いニュースが提供されるようになりました。しかも、多くのニュースは手軽に、無料で入手できます(データ通信費は除く)。その一方で、関心の低いニュースに触れる機会は自然と減少しています。新聞や雑誌を開いたときに目に飛び込んでくる、意外な発見や、興味が低い分野のニュースもとりあえず一読する、という習慣が減少したことも、社会問題への意識低下の要因の一つではないかと考えます。1人1台スマホを持つ時代に、1人1票ずつ与えられた選挙権を有効に活用するため、「思わぬ出会い」のある紙媒体などで、情報収集の幅を広げておくことが大切です。