ロボットに歓声
ウーブン・シティを訪問したのは飯塚真優さん(3年)、山﨑乙都(おと)さん(2年)、芹澤未生(みぶ)さん(1年)、芹沢紗菜さん(1年)の4人。ウェルカムセンターでウーブン・シティ誕生までの経緯を聞いた後、いよいよ街へ。独特な形状の建物に4人は「わぁ、思っていた以上にかっこいい!」「スタイリッシュ!」「日本とは思えない!」と歓声を上げました。
4人は自動車の自動搬送サービス「Summon Share(サモンシェア)」の仕組みを開発チームの畑建正さんから説明を受けました。「Guide Mobi(ガイドモビ)」というロボットが車を追従させるシステムで、ガイドモビのころんとしたフォルムと、目のような2つのライトが特徴的です。未生さんは「なぜロボットなのに、表情のように見せているのですか」と尋ねると、畑さんは「運転する人と歩行者、または運転する人同士は目配せをしてコミュニケーションを取っています。将来、自動運転の普及が進むと意思疎通が難しくなる可能性があります。横断歩道でずっと立っている人がいたら、ライトをパチパチさせてお先にどうぞという気持ちを表したり、急に人が飛び出してきたら赤いライトを光らせたりしてコンタクトを取ることで事故を防げるかもしれません。ウーブン・シティに住む人たちの意見を取り入れながら、より皆さんが快適に使えるようにしていきます」と説明してくれました。
続いて3輪の特定小型原動機付自転車「Swake(スウェイク)」が紹介されました。3輪のため転倒しにくく、左右に大きく傾けることが可能でコーナーを曲がりやすいなどの特徴があります。山﨑さんは「静岡は車社会で、車を持っていないと移動が難しい。このサービスが普及したら自分でも乗れるのでぜひ実現してほしい」と目を輝かせました。実際に足を載せてみた飯塚さんは「乗るためにはコツが必要そう。いつか実際に乗って走ってみたい」と声を弾ませました。
白い自動販売機に可能性
ウーブン・シティ内にあるUCCの喫茶店では設置されているタブレットでメニューを選び、顔認証によって決済するシステムに続いて、4人が楽しみにしていたダイドーの「白い自販機」を見学しました。自販機前面の二次元コードをスマートフォンで読み取ると、スマホ画面に商品一覧が現れます。商品を選んで、ウーブン・シティ内で使える専用の支払いアプリで購入するシステムを目の当たりにしました。
4人は「白」「空間に溶け込む」というコンセプトに関心を示しつつ、「スマホで操作できるからこそ文字を大きくしたり、音声案内したり、多様なニーズに寄り添うことができそう」(山﨑さん)、「陶器のような質感や木材などバリエーションが増えると置かれる場所とより調和しそう」(紗菜さん)と活用方法をイメージ。「選ぶ楽しさがなくなってしまうのでは」と感じたのは未生さんと飯塚さん。未生さんは「人が近づいたら商品イメージが浮かび上がったりしたらいいな」、飯塚さんは「街灯のない暗い場所で自販機の明かりは防犯の役に立っていると思うので、夜は光るようにしてほしい」などと未来の街で使われている姿に思いを馳せました。企業の試みにフィードバックすることが、ウィーバーズ(住民・来訪者)の役割であることも4人は教わりました。
暮らしやすい社会に
インベンターズ(開発者)とウィーバーズが交流し、開発品を展示している施設「カケザンインベンションハブ」でイベントが行われている様子を見学しました。ウーブン・シティ内を移動する手段である、さまざまなサービスに活用できる電気自動車「e-Palette(イーパレット)」は移動に使うほか、飲食販売などのサービスにも利用可能です。「移動カラオケ」「移動コンビニ」としての利用可能性を探るなど「インベンターズのアイデアを試しています」と企画開発を進める武島健太さん。「中身を変えれば病院にもなります。ウーブン・シティで試して、利用できる見通しがたてば、実際の社会に出せます」。紗菜さんはカラオケ以外の使い道を質問し、ロボットがドリンクを作って提供する「移動するバー」の実験をしていることが分かりました。山﨑さんは「沼津で観光アクティビティに使えそう」とアイデアを披露しました。飯塚さんは「車内をカスタマイズできるという点が素敵ですね。近所の公民館に移動スーパーがたびたび来てお年寄りの方が買っている様子を目にしたことがあるので、将来イーパレットが移動スーパーなど身近になることを考えるとワクワクします」と話しました。
イーパレット外装のLEDには「不二聖心女子学院 ようこそWoven City(ウーブン・シティ)へ」との表示が。サイネージ担当の山中遼太さんは「AIで作っているんですよ。試しに作ってみましょう」と同校の学校行事を周知するアニメーションをAIを利用して即興で作成しました。飯塚さんは「側面にデジタルで映し出せることによって、バスに貼ってあるような広告を映し出せるようになるので、広告の作成が簡単になるのかな」と話しました。
見学を終えて4人が感じたことは、知識や技術、ロボットなどを結集させてより良い暮らしを目指す「人が中心の温かな街」であることでした。「自分以外の誰かのために、というウーブン・シティの理念を体現する思いがひしひしと伝わってきました。自分も何ができるのか改めて考えてみたい」と山﨑さんが言えば、紗菜さんは「モビリティを囲み、ロボットを手に笑い合う私たちの姿は、未来の共生社会を思わせるとても温かい光景であり、人が技術の中心にいることを実感できた良い経験となりました」と話し、4人ともウーブン・シティを通して未来の社会への期待を膨らませました。
ウーブン・シティとは
トヨタ自動車が2020年末に閉鎖したトヨタ自動車東日本の東富士工場跡地で建設を進めている実証都市。異業種も含むトヨタグループ内外の企業などが参画し、住民の協力を得ながら実証実験を進めます。2021年から建設を開始し、今年9月25日から第1区画での実証実験が始まりました。最終的には総面積が東京ドーム6個分の約29万4000平方メートルになり、約2000人が生活する見通しです。
<生徒の感想>
飯塚真優さん
信号と3本の道など実際に見てみて、本当に街だ、と感動しました。いろいろな実証をしたりアイデアを集めながらも、買い物ができるお店があったり、カフェがあったり、イーパレットやパーソナルモビリティなど、ヒトの本来の生活に密着しながら一緒に技術の面でもブラッシュアップしていくように作られている街なのだなと感じました。技術と生活の両方を豊かにしていくことのできるウーブンシティでは、まさにたくさんの幸せが生まれている場所であるなと思いました。
山﨑乙都さん
漠然と「最先端の街」という印象を抱いていましたが、実際に訪れてインベンターの方々が生活をよりよくするために真摯に研究へ取り組んでいる姿に触れ、「人間中心の街」なのだと改めて実感しました。ウーブン・シティは決して「最新技術が集まった街」だけでなく、「人が中心の街」であり、街そのものが未来をつくるためのテストコースとして息づいています。この価値や魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたいです。
芹沢紗菜さん
AIやロボットの技術が進むと人間の活動が奪われてしまうのではないか、という不安を感じていました。ですが、自動運転のモビリティなどは、決して人間を置き換える存在ではなく、暮らしの中に優しく溶け込み、人を支えてくれる存在だと感じられました。技術がどこまで生活に寄り添い、どんな場面で人を支えているのか住民の方々にお話を伺いたいと思っています。
芹澤未生さん
行く前はロボットや見慣れないボビリティがたくさんあり、かなり遠い存在だと思っていましたが、実際に行ってみると普段暮らしている街に最先端技術が丁度良く織り込まれていて親しみやすさがありました。ウーブン・シティで働いている人や犬を散歩している人を見て親近感が湧きました。インベンターの方々がイベントで真剣に話し合いをしているのを間近で拝見して、ウーブン・シティに懸ける思いがすごいと思いました。