6つのテーマで「江戸文化」に迫る
本企画展は、江戸東京博物館所蔵の浮世絵や生活道具などのべ83点を6つのテーマに分けて紹介し、多角的に江戸文化の実情に迫る。家康を描いた肖像画「徳川家康像」は前期と後期で異なる作品が展示される予定で、その違いも注目ポイントの一つだ。

1867(慶応3)年に政権を朝廷に返上するまで、15代、265年にわたって徳川家により継承されてきた江戸幕府。最後の将軍・慶喜が使っていたとされる「黒塗銀立涌葵紋散蒔絵陣笠(くろぬりぎんたてわくあおいもんちらしまきえじんがさ)」は、静岡会場で特別に展示される。

人口などの増加に合わせ、江戸では上水道の整備や町火消の編成、治安の維持や住民による自治といった体制づくりが進み、庶民は季節に合わせた年中行事などを生活に取り入れていた。本展では、当時の町づくりや暮らしを追い掛けながら、貨幣や商売にもスポットを当てる。後期に展示される菊川英山「岩城舛屋前の賑い」が描くのは、日本橋呉服問屋の店前。行き交う人々の装いや店内に広げられた色とりどりの反物が、当時の江戸の華やかな一面を想像させる。

江戸東京博物館が所蔵する江戸時代の出版物は、当時の文化がうかがえる貴重な資料だ。人々の生活を描いた浮世絵の流行をきっかけに木版画の技術が開発され、「吾妻錦絵(江戸絵)」誕生につながったとされる。前期に展示される歌川広重(2代)の錦絵「江戸名所 はんじもの」は、江戸の地名を絵や文字で表したクイズのようなもので、当時の人々の娯楽の一つだったとされる。

※写真の展示物はすべて江戸東京博物館蔵
江戸時代の「駿府」と明治時代以後の「静岡」を知る
会場などで入手できるチラシでは、6つのテーマについて、市内に残る歴史スポットを紹介しており、まち歩きをしながら江戸時代の「駿府」を感じることができる。本展とともに、ガイドツアー(10月20日、要事前申し込み)や、江戸時代や駿府について学芸員らが解説するイベント(申し込み不要)にも参加すれば、歴史がぐっと身近に感じられること請け合いだ。

また同館は、特別展示「江戸から近代へ~静岡の明治維新~」も同時開催する。徳川慶喜の謹慎により徳川宗家を継いだ徳川家達が静岡藩主になると、多くの幕臣が静岡に移住し、この頃設立された静岡学問所などから、最先端の知識や技術が静岡にもたらされたとされる。明治維新から静岡県・静岡市の成立までをたどりながら、静岡の人々にとっての江戸から明治への時代の移り変わりを知ることができる。
学習・体験イベントなど多彩に
館内には江戸時代に使われた道具などの模型を展示したコーナーもあり、大名駕籠(かご)に乗ったり、当時の人々が行商に使った「棒手振り」を担いだりでき、写真撮影も可能だ。

会期中、周辺で江戸の歴史を学び・体験できるイベントが多数開催される。11月17日に静岡市民文化会館で開催される本展の関連イベント「QuizKnock伊沢拓司とまなぶ江戸の歴史」は、伊沢さんと静岡市歴史博物館の大石学館長、SBSラジオパーソナリティーの鉄崎幹人さんとのトークやクイズコーナーなどを予定。子どもから大人まで気軽に楽しむことができる。
◆QuizKnock伊沢拓司とまなぶ江戸の歴史
日時:11月17日(日)15:00〜16:30(開場14:00)
会場:静岡市民文化会館 中ホール(静岡市葵区駿府町2-90)
料金:全席指定 大人1,200円、高校生・大学生800円、中学生以下300円
申し込み:チケットぴあ<10月5日(土)発売、[Pコード:654−294]>、
静岡市歴史博物館インフォメーション<10月19日(土)発売> ※発売はいずれも10:00から、申込順
10月14日には、静岡市民文化会館で駿府と江戸、二つの都市の暮らしと文化の違いや共通点を静岡市歴史博物館の大石学館長と青木祐一学芸員が掘り下げる講演会「家康のまち駿府・江戸〜“都市”の暮らしと文化〜」も開催される。
◆家康のまち駿府・江戸〜“都市”の暮らしと文化〜
日時:10月14日(月・祝)13:30〜16:30(開場12:30)
会場:静岡市民文化会館 中ホール(静岡市葵区駿府町2-90)
料金:無料(定員800人)
申し込み:静岡市歴史博物館ホームページまたは電話で受け付け中(☎054-204-1005)
展示や講演会などで江戸時代に理解を深めた後は、着物の着付けやお菓子づくりを通して、当時の生活を体感してみるのもオススメだ。
◆着物着付けワークショップ 小粋に巡る駿府城
着物を着て、静岡市歴史博物館や駿府城公園を散策できる。 ※着付けの時間は30分、貸し出しは着付け終了後から2時間半まで
日時:11月9日(土)、10日(日)、30日(土)、12月1日(日)10:00〜11:30、13:00〜14:00 ※受付時間(30分ごと)
会場:静岡市歴史博物館 1階講座室(着付け会場)
対象:3歳以上、各回最大4人
料金:大人1,000円、子ども(3歳〜中学生)500円
申し込み:静岡市歴史博物館に電話<10月19日(土)10:00から受け付け> ※空き状況により当日参加可
◆江戸時代のお菓子づくり 駿府の和菓子をつくってみよう
江戸時代に駿府の中心地札之辻にあった和菓子屋「扇子屋」の資料を元に、当時のお菓子を再現する。
日時:11月23日(土・祝)①9:30〜12:30(小学生と保護者向け)、②14:00〜17:00(中学生以上向け)
会場:アイセル21 食工房(静岡市葵区東草深町3−18)
対象:①小学生と保護者10組20人、②中学生以上20人
料金:①小学生と保護者1,500円(1組)、②中学生以上1,000円
申し込み:静岡市歴史博物館に電話<10月26日(土)10:00〜受け付け>
QuizKnockと巡る江戸東京博物館展
会期:10月5日(土)〜12月15日(日)
※前期10月5日(土)〜11月10日(日)、後期11月12日(火)〜12月15日(日)
開館時間:9:00〜18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜(国民の祝日・休日は開館、翌平日休館)
※10月7日(月)、15日(火)、11月5日(火)、25日(月)、12月2日(月)、9日(月)は臨時開館
会場:静岡市歴史博物館(静岡市葵区追手町4−16)
料金:一般1,300円、高校生・大学生・静岡市内居住の70歳以上910円、小中学生320円(静岡市内居住・通学者は無料)、未就学児無料。
※団体(20名以上)料金あり。障害者手帳提示で介助者1人まで無料。「一般」以外は身分証などの提示が必要
問い合わせ:☎054-204-1005(静岡市歴史博物館)