
静岡選挙区 8氏の争い
参院選 Webオリジナル特集
静岡県内ニュース
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参院選静岡終盤情勢 若林、平山氏優位保つ 山崎氏が追う
静岡新聞社は2~5日、10日投開票の参院選静岡選挙区(改選数2)の有権者を対象に電話世論調査を行い、静岡県内各地の取材を加味して終盤情勢を探った。自民党新人の若林洋平氏(50)=公明推薦=が優位に戦いを進め、無所属現職の平山佐知子氏(51)が2議席目をうかがう。無所属現職の山崎真之輔氏(40)=国民推薦=が2人を懸命に追う。共産党新人の鈴木千佳氏(51)は厳しい戦い。諸派新人の山本貴史氏(52)、NHK党新人の舟橋夢人氏(56)と堀川圭輔氏(48)、無所属新人の船川淳志氏(65)は支持が広がっていない。投票先を決めていない人が3割ほどいて、最終盤に情勢が変わる可能性がある。 若林氏は自民支持層、公明支持層ともに6割を固め、手堅い戦いを展開する。100以上の団体から推薦を受け、公明党の比例候補とも連動し、組織力を見せる。全県から満遍なく支持を集め、年代別でも他候補を引き離す。特に60代からの支持が高い。 再選を目指す平山氏は立憲民主党支持層の4割を固めた。街頭演説ではなく、ミニ集会に注力する戦略を展開し、無党派層からは最も支持を集める。日本維新の会にも3割浸透した。中東遠地区、県中部など終盤にかけて勢いが出てきた。 山崎氏は推薦を受ける国民民主党の玉木雄一郎代表が2度県内入りするなど全面支援を受けるが、同党の3割しか固め切れていない。昨年10月の補選で推薦を受けた立民は2割にとどまり、無党派層への支持も広がっていない。地元の浜松市では勢いを見せる。 鈴木氏は共産の7割を固めたが、それ以外への広がりに欠く。立民の一部を取り込むものの、無党派層への浸透は薄い。 山本氏は街頭演説では動員力を見せるが、支持は限定的。舟橋、堀川両氏はN党支持層以外への広がりがない。船川氏は知名度不足を解消できていない。 静岡選挙区立候補者 届け出順敬称略 舟橋夢人(56)N新(IT会社社員) 鈴木千佳(51)共新(党県女性・子育て部長) 山本貴史(52)諸新(元県議) 山崎真之輔(40)無現①[国](元県議) 若林洋平(50)自新[公](元御殿場市長) 平山佐知子(51)無現①(フリーアナウンサー) 堀川圭輔(48)N新(食品販売会社社員) 船川淳志(65)無新経営コンサルタント会社社長 ※四角囲みの政党は推薦
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水資源不安、消えぬ流域 リニア問題「科学的解決を」【参院選しずおか】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題は、参院選公示を前後して国、県がそれぞれ動きを見せた。国土交通省は南アルプスの生態系を議論する専門家会議初会合を開き、県は沿線自治体でつくる建設促進期成同盟会に加入することが決まった。ただ、大井川流域からは「不安が残る状況は何も変わっていない」との声が聞こえる。住民は事態をどう見つめ、国や国会議員にどのような役割を求めているのか。選挙期間中、流域に暮らす人たちを訪ねた。=関連記事4、28面へ 「本当に水は減らないのか。根拠に基づいた説明を聞きたい」。6月下旬、島田市の農業池ケ谷明生さん(73)は青々と稲が丈を伸ばす水田で手入れをしながら話した。米と茶を栽培し、冬場は水田でレタスを育てる。育苗は大井川の地下水を使い、水田は大井川用水から水を引く。水問題は生活と直結する。 国交省の専門家会議は水資源を巡る問題を先行して議論し、昨年12月に中間報告を公表した。「トンネル湧水の全量戻し」を実現すれば水資源への影響をほぼ排除できるとしながら具体的な手法は提示せず、池ケ谷さんは失望した。「安定した水の供給は農業の根幹。JR東海と国は分かっているのか」。納得できる説明を聞くまでリニア工事に賛同する気になれない。 同社は、4月に再開した県の専門部会で「全量戻し」の代替案として東京電力田代ダムの取水抑制案を提案した。大井川土地改良区理事長の内田幸男さん(87)は6月中旬、流域のほかの利水団体とともに同社から案の説明を受けたが、「とても納得のできる内容ではなかった」。加えて「1年8カ月も議論して最終的な案がこれなのか」と落胆し、「JRはもっと知恵を絞り、国は指導力の発揮を」と求める。 一方、生態系について議論する同省の会議は、結論を出す期限を設けず、腰を据えて取り組む姿勢を打ち出す。ただ、川勝平太知事はリニア建設促進期成同盟会に加入するために「現行ルートでの整備が前提」との立場を明言した。森林組合おおいがわ組合長の杉山嘉英さん(67)は「着工ありきの議論になるのか。流域住民が求めるのは科学的な解決だ」と、政治決着を目指すような動きが前面に出ることにくぎを刺す。 大井川の地下水を使い、世界が評する日本酒を醸す初亀醸造(藤枝市)社長の橋本謹嗣さん(69)は「願いは一つ。孫の代まできれいな水をつなげたい」。政治家には市民との対話を大切にし、思いをくみ取る姿勢を求める。
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リニア・ダム取水抑制案 5氏評価 実効性に疑問の声も 8候補アンケート【参院選しずおか】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海は4月、工事期間に県外流出するトンネル湧水に代わり、東京電力田代ダムの取水抑制で大井川の水量を維持する案を示した。参院選静岡選挙区(改選数2)に立候補した8氏にこの案の評価を聞くと、課題解決への期待を示す候補者がいた一方、実効性に懐疑的な候補者もいた。 一定の評価を示したのは5氏。JRが新たな案を出したことを歓迎しながらも今後の議論を注視するとの回答や、渇水期の水量確保に疑問を呈する回答もあった。JRの案にかかわらず、リニア事業自体の中止を主張する候補者もいた。 南アルプストンネルの県内区間は県境付近を山梨、長野側から掘り進める計画で、トンネルの貫通までに湧水が県外に流出することが問題となっている。国土交通省が設置した専門家会議が2021年12月にまとめた中下流域の水利用に関する中間報告は、JRの解析結果に基づけば大井川中下流域の河川流量は維持されると確認した一方、解析に不確実性が伴うことを指摘し、同社に流域関係者の納得を得られる具体的方策を協議するよう要請した。 これに対し、JRは22年4月に開かれた県の有識者会議で、トンネル貫通後に湧水をポンプアップして大井川流域に戻す従来の案に加え、トンネル工事中に田代ダムの取水抑制を行い、県外流出量と同量の水を大井川に流す案を示した。 JR東海が示した田代ダムの取水を抑制し、大井川の水量を維持する案を評価しますか。 ※届け出順 舟橋夢人氏 N党新 評価しない。電力が逼迫(ひっぱく)しているから取水制限は行わない、となる。相殺ということは、水が足りない時に回ってこず、水が余っているときに戻される、だ。まったく渇水対策になっていない。このインチキなやり方は霞が関の常とう手段。さらに渇水時に田代ダムに戻すだけの水量が確保できるか疑問だ。 鈴木千佳氏 共産新 「命の水」を守ることは当然だが、水枯れ問題にとどまらず、自然・生活環境破壊、大深度地下トンネル工事陥没事故、盛り土の安全性、膨張する工事費など、重大な問題点が次々と明らかになっている。新幹線の4倍もの電力消費で気候危機対策に逆行し、コロナ禍で高速移動手段の必要性も揺らいでいる。事業の中止が必要。 山本貴史氏 諸派新 あまり評価していない。大井川の水量確保のために田代ダムを活用するのは良いと思うが、JRがJRとして実施する水量対策を示すべき。 山崎真之輔氏 無所属現①国民推薦 科学的、工学的根拠に基づいた対話を尽くすことが大前提であり、予算委員会でも静岡県の置かれている状況を政府に訴えた。現在は、昨年末に国の有識者会議で出された中間報告を受け、トンネル工事で流出する水をどのように戻すかが焦点だが、田代ダム取水制限案を出したこと自体は評価する。大切なのは今後の詳細な議論。 若林洋平氏 自民新公明推薦 ある程度評価する。代替え案を出したことは評価できると思うが、今の時点で田代ダムを管轄する東京電力側の了承および田代ダムの渇水期にはどうするのかという大前提の問題まで、ある程度踏み込んでの代替え案であってほしいと考える。 平山佐知子氏 無所属現① ある程度評価する。ただ、渇水期には田代ダムの水量は少なく、これだけで工事における県外流出分を賄えるとは思えない。何より心配なのは、目に見えて流れている水より、地下に浸透して大井川流域の産業・文化を育んできた地下水の水道(みずみち)に影響が出ないかということである。 堀川圭輔氏 N党新 知事が検討に値すると言っているわけで一定の評価はあるのでは。 船川淳志氏 無所属新 評価する。ただし、この問題も当初からの議論がどこまでできていたのか? どのような経緯で結論が出たのか? その辺りを明らかにすべきであっただろう。
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関心度は?支持政党は? 静岡新聞社世論調査分析【参院選しずおか】
静岡新聞社の電話調査によると、参院選に関心があると72.6%が回答し、3年前の前回選から8.5㌽増えた。18、19歳が最も高い関心を示し、40代以上の各年代も関心がある層が7割を超えた。20代は6割弱にとどまった。普段の支持政党は自民がトップ。約4割が比例代表の投票先を決めていなかった。 ■比例投票先 自民36.7% 立民8.9% 維新5.8% 比例代表で投票先を「決めている」と答えたのは38.7%、「だいたい決めている」は18.4%で、計57.1%と半数を占めた。「まだ決めていない」と答えた人は38.7%いて、最終盤に向け情勢が変化する可能性がある。 「投票する政党」と「いま投票するとしたらの政党」を合わせると、自民が36.7%で最も多い。立民8.9%、公明8.0%、維新5.8%、共産4.3%と続いた。3年前の前回選で11.4%だった立民は1割を切り、厳しい様相。 支持政党別では、自民が党支持層の77.8%を固め、無党派層の26.4%を取り込んだ。立民は無党派層で5.4%と浸透していない。公明、共産が党支持層の9割弱を固める一方、維新は54.1%にとどまった。 男女別では、自民が男性38.0%、女性35.5%に支持される。立民、維新は男性の支持が女性を上回り、公明、共産は女性が多数を占めた。 ■関心度 前回比8.5ポイント増 投票率回復期待 参院選の関心度は「大いに関心がある」17.4%、「ある程度関心がある」55.2%。前回の静岡選挙区の投票率は前々回から5.3㌽減の50.46%と過去3番目の低さだった。投票率の回復が期待される。 男女別では男性の76.0%、女性の69.3%が「関心がある」と答えた。年代別の割合では18、19歳がトップ。回答数は少ないものの、100%関心があった。70歳以上の77.8%、40代の74.8%が続いた一方、20代は唯一60%を下回った。 「関心がある」と答えた割合を職業別で見ると、学生の90.8%を筆頭に自営・自由業が80.0%、専業主婦(夫)が75.4%と続いた。農林水産業は60.4%、契約社員、アルバイトなどは62.0%と低調だった。支持政党別ではNHK党、国民、共産の支持層の9割超が「関心がある」と回答。立民は88.6%、公明86.1%、自民75.1%だった。 ■支持政党 「無党派」30代46.4% 20代34.3% 普段支持している政党は自民が35.2%と群を抜き、立民7.5%、公明5.9%、維新3.4%、共産3.0%と続いた。支持政党なしは27.2%だった。 自民は全世代で最も支持が厚く、特に20代42.4%、70歳以上42.0%と浸透を見せる。40、50、60代も30%を超えた。30代は20.2%と他の年代と比べて低かった。 立民は50代で11.8%、70歳以上で10.0%の支持を得るが、若年層からの支持は薄い。公明は50代で8.6%、維新は30代で6.3%、共産は20代で7.1%と一定の支持を得た。支持政党なしの「無党派」は30代の46.4%を筆頭に、20代が34.3%、40代が29.4%を占めた。 ■重視する政策 社会保障36.5% 経済、子育ても 重要視する政策や課題の中で「大いに関心がある」のは「社会保障・医療・福祉・年金」が最多の36.5%を占めた。次いで「経済・雇用」の22.2%となり、「子育て・教育」の10.8%、「財政再建」の8.2%と続いた。 年代別では、18、19歳と40代、50代、60代、70代以上で「社会保障・医療・福祉・年金」の回答がトップだった。20代と30代は「経済・雇用」に最も高い関心を寄せた。職業別では、自営・自由業を除く全職業で「社会保障・医療・福祉・年金」が最多。学生は「ジェンダーや多様性の尊重」「新型コロナウイルス感染防止策」に対する関心が他の職業に比べて高かった。 憲法改正の考えを尋ねる質問で改正する必要があると回答したのは、18、19歳で62.9%に上った。このほかは20~60代の各年代がいずれも50~60%台で推移した一方で、戦中、戦後の厳しい時代を知る人が多い70代以上は49.4%だった。 主な質問と回答(単位は%) ■参院選にどの程度関心がありますか 大いに関心がある 17.4 ある程度関心がある 55.2 あまり関心がない 22.6 全く関心がない 4.2 分からない・無回答 0.5 ■静岡選挙区で投票する人を決めましたか 決めている 36.9 だいたい決めている 28.4 まだ決めていない 33.0 分からない・無回答 1.7 ■比例代表でどの政党またはどの政党の候補者に投票するか決めましたか 決めている 38.7 だいたい決めている 18.4 まだ決めていない 38.7 分からない・無回答 4.2 ■比例代表でどの政党またはどの政党の候補者に投票しますか(「決めている」「だいたい決めている」と答えた人を対象) 自民党 39.5 公明党 12.8 立憲民主党 12.7 日本維新の会 6.7 共産党 5.6 国民民主党 2.7 れいわ新選組 1.3 社民党 1.1 NHK党 0.7 その他の政党・政治団体 1.9 分からない・無回答 15.0 ■いま比例代表で投票するとしたらどの政党またはどの政党の候補者ですか(「まだ決めていない」と答えた人を対象) 自民党 33.0 日本維新の会 4.5 れいわ新選組 4.4 立憲民主党 3.8 共産党 2.4 国民民主党 2.0 公明党 1.6 社民党 0.8 NHK党 0.8 その他の政党・政治団体 0.1 分からない・無回答 46.6 ■普段どの政党を支持していますか 自民党 35.2 立憲民主党 7.5 公明党 5.9 日本維新の会 3.4 共産党 3.0 れいわ新選組 1.6 国民民主党 0.6 社民党 0.4 NHK党 0.1 その他の政党・政治団体 1.0 支持政党なし 27.2 分からない・無回答 14.0 ■投票の際に重要視する政策や課題はどれですか 社会保障、医療、福祉、年金 36.5 経済・雇用 22.2 子育て・教育 10.8 財政再建 8.2 外交・安全保障 4.4 憲法改正 3.6 新型コロナウイルスの感染防止策 2.5 環境・エネルギー 2.2 政治とカネ 1.3 ジェンダーや多様性の尊重 1.0 災害対策 0.8 その他 2.0 分からない・無回答 4.5 ■憲法改正についてどう考えますか 改正する必要がある 20.3 どちらかといえば改正する必要がある 38.6 どちらかといえば改正する必要はない 18.5 改正する必要はない 12.0 分からない・無回答 10.6
全国ニュース
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自公、改選過半数へ堅調 立民苦戦、維新勢い
共同通信社は第26回参院選について2~5日、電話世論調査を実施し、全国の有権者4万3千人以上から回答を得た。取材も加味し終盤情勢を探ったところ、自民、公明両党は改選124議席の過半数63を上回る勢いを維持し、堅調な選挙戦を展開する。自民は60議席台を狙う。立憲民主党は改選23議席を割り込む恐れがあり苦戦している。改選6議席の日本維新の会は選挙区、比例代表ともに伸ばし、大幅な議席増をうかがう。 自公など憲法改正に前向きな「改憲勢力」は、国会発議に必要な3分の2以上の議席維持が視野に入る。投票先を未定とした人は選挙区で39・6%。 回答は4万3766人。
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「キッザニア東京」で模擬選挙 どこに投票しようかな
参院選の投開票を前に、子ども向け職業体験施設「キッザニア東京」(東京都江東区)で5日、子どもたちが実在する政党に一票を投じる模擬選挙が始まった。10日まで。実際に使われる投票箱や記載台を江東区が提供し、本番さながらの環境を用意した。 最初に訪れた子どもたちは入り口で投票用紙を受け取った後、投票箱が空であることを確認。壁に貼られた各党のポスターと公約をじっくり見比べて党名を用紙に記入し、緊張した様子で投票箱に入れた。選挙結果は集計せず発表しない。 参加した小6児童は「どんな意見の政党を選ぶのか難しかったけど、本格的でどきどきした」と笑顔で話した。
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首相、観光業の再生訴え 野党、政権幹部発言を批判
与野党幹部は5日、参院選の終盤情勢を踏まえ、各地の街頭で支持を求めた。岸田文雄首相(自民党総裁)は新型コロナウイルス禍で打撃を受けた観光業の再生に取り組むと表明。野党は、「政府は野党の話を聞かない」とした山際大志郎経済再生担当相や、ロシアのウクライナ侵攻を例に「弱い子がいじめられる」とした麻生太郎副総裁の発言を不適切だと批判した。 首相は長崎市で、新型コロナを巡り「一歩一歩、平時を取り戻す。感染状況に注意しながら全国で観光業の需要喚起策を展開する」と強調した。 公明党の山口那津男代表は神奈川県藤沢市で「高校生まで医療費無料化を段階的に実現する」と訴えた。
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参院選は消費税、物価高が話題に ツイッター分析
参院選の公示日から1週間に、選挙を取り上げたツイッターでつぶやかれた政策や課題を調べたところ、「消費税」が約13万1千件と最も多かったことが5日、東大大学院の鳥海不二夫教授(計算社会科学)の分析で分かった。2位は「物価高、値上げ、賃上げ」(約9万6千件)、3位は「経済」(約5万9千件)となり、経済や税の話題が上位を占めた。「コロナ」(約5万6千件)は4位に後退した。 選挙戦のキーワードとなりそうな22の言葉を選び、公示日の6月22日から28日までに「選挙」「参院選」「参院」などと一緒に投稿された約54万件のつぶやきを集計した。