社会部 河村英之
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子ども脱マスク 近づく夏、議論活発化 静岡県、考え方提示へ
新型コロナウイルス対策の屋外のマスク着用を巡り、見直し議論が静岡県内で活発化している。暑い時期を控え、熱中症予防の観点から「子どもは外すべき」とする声がある。県は新型コロナ対策専門家会議の合意を前提に、低年齢児を中心とした屋外マスクの考え方を示す構えだ。 「未就学児の屋外での着用はやめようという意見が多く出た」 県健康福祉部の後藤幹生参事は12日の記者会見で、感染対策の緩和を初協議した4月下旬の専門家会議を振り返った。 オミクロン株は子どもが感染しても軽症や無症状で済み、他世代への感染拡大の起点にもなっていない。一方でマスクを着け続けると熱中症の重症化リスクが高まる。会議ではこの視点に
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コロナ後遺症「受診先分からない」の声 静岡県、診療体制拡充へ
静岡県は2日、新型コロナウイルスの後遺症治療について、かかりつけ医での診療体制を拡充する方針を明らかにした。後遺症があっても医療機関を受診する人は引き続き少ないことが分かり、診療所を対象に講義や研修を実施して対応力の底上げを図る。 県が同日公表した後遺症調査によると、オミクロン株に感染して後遺症があったと回答した103人のうち、医療機関にかかった人は2割にとどまった。受診先が分からない、市販薬で対応した-などの理由が多く、この傾向は2月に公表したデルタ株以前の調査結果とおおむね同様だった。 受診後も症状が変わらなかったとした回答も目立ち、県は後遺症の専門外来を構える医師の診療ノウハウをか
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まん延防止措置と協力金 実効性、財政負担総括を【「第7波」への備え㊤】
「協力金がなければ、店はたたむしかなかった」 新型コロナウイルス「第6波」を受け3月21日まで54日間、静岡県内の飲食店に営業時間の短縮が要請されたまん延防止等重点措置。静岡市葵区の繁華街で居酒屋を構える斎藤祐史さん(43)が、支援のありがたみを語った。 酒の提供が許されたのは夜8時まで。客の来ない日があり、売り上げは激減した。コロナ禍で繰り返される営業制限で経営体力は疲弊。第6波の協力金約130万円は家賃や従業員の給料に消え、それでも足りないが、今は店を続けられる喜びをかみしめる日々という。その上で「多くの税金が使われたはず」と申し訳なさも口にする。 斎藤さんが指摘するように、第6
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オミクロン猛威 感染者2千人越えの日も 静岡県内「第6波」検証【新型コロナ】
静岡県内は年明け直後から新型コロナウイルス流行「第6波」に見舞われた。感染力の強いオミクロン株の影響で1日当たりの最多感染者は2000人を超え、1月27日から54日間にわたりまん延防止等重点措置が適用された。県は感染状況が再び悪化に転じた今月8日、「第7波に入った」との認識を表明。新興感染症との戦いは続く。第6波では重症化する人は少なかったほか、国産経口薬の開発が進むなど、新たな傾向や展開も見られた。 ■保育、高齢者施設で拡大 若い世代のワクチン接種課題 静岡県内の1日当たりの新規感染者は2021年9月に第5波が収束して以降、数人またはゼロが続いたが、22年に入って急激に増加。2月
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ワクチン 3回目職場接種上向き 静岡県内、昨年末比1.6倍 長引くコロナ「第6波」楽観一変
新型コロナウイルスワクチンの3回目の職場接種で、直近の静岡県内の実施申請数が105件となり、受け付けが始まった昨年末時点の65件から1.6倍に伸びたことが25日までに、県への取材で分かった。自治体接種の体制が整ってきていることから、1、2回目接種の139件よりは少ないものの、オミクロン株による「第6波」が長引き、停滞していた企業単位の接種への機運が上向いてきた。 県新型コロナ対策推進課によると、昨年末に行った意向調査で89の企業団体が「実施予定」または「実施を検討中」と回答した。現時点の申請数105件は、これより2割近く多い。ワクチンの供給希望は計20万人分だという。担当者は年明けに始ま
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コロナ飲み薬足りる?間に合う? 高齢者施設クラスター、静岡県内も頻発 迅速供給が課題
頻発する高齢者施設の新型コロナウイルスクラスター(感染者集団)対策として、県は感染した入所者に飲み薬「モルヌピラビル」を速やかに投与する新方針を打ち出した。早期対応で症状悪化を防ぎ、入院回避につなげる狙い。ただ、同薬は配分が認められた医療機関や薬局、施設でも取り扱いに制約があり、現行の枠組みでは感染者の急増に供給が追い付かないとの懸念が強い。関係者は政府に運用上の改善を訴える。 「絵に描いた餅だ」 静岡県内にある複数の特別養護老人ホームの幹部は、飲み薬活用の現況について口をそろえる。施設でクラスターが発生した場合、嘱託医に処方箋を出してもらうことになるが、登録薬局1カ所当たりに認められた
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医療崩壊「一歩手前」 静岡県病院協会長、感染対策呼び掛け
静岡県病院協会の毛利博会長は24日、県庁で記者会見を開き、新型コロナウイルス感染「第6波」で続く病床逼迫(ひっぱく)について、「助けられる命を助けられなくなる一歩手前だ」と医療崩壊の可能性に言及し、県民に感染対策を呼び掛けた。 毛利会長はクラスター(感染者集団)が相次ぐ高齢者施設からの入院患者が相次いでいると指摘。認知症で介助の必要な人が多く、看護に重い負荷が掛かっている現状に理解を求めた。24日時点の県内の病床使用率は62・6%。 オミクロン株の派生型「BA・2」の拡大にも懸念を示した。派生型は県内で2月中旬までに感染者の1%で確認された。毛利会長は「新しい株は広がる傾向がある。毒性が
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エッセンシャルワーカー 接種券なくても予約可能 静岡県、コロナワクチン新方針発表 ウェブ受け付け開始
静岡県の川勝平太知事は14日、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種について、教員や保育士らの予約を接種券の有無にかかわらず静岡市の大規模接種会場で受け付け、接種する新方針を発表した。同日夜にウェブ予約を開始した。16日から接種を始める。 対象者は教員、保育士のほか、福祉施設職員や警察官、消防士などの「エッセンシャルワーカー」。予約した上で、2回目接種から6カ月以上が経過したことを示す接種済証などを会場の静岡市葵区のもくせい会館に持参する。実施期間は3月11日まで。 県内ではオミクロン株による「第6波」に入って学校・保育現場、高齢者施設でクラスター(感染者集団)が多発し、実効性の高い抑制
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医療維持へ感染対策拡充 コロナ収束見通せず、関係者「限界」【静岡県2022年度予算案】
新型コロナウイルス「第6波」の収束が見通せない中、県は10日発表した2022年度当初予算案で感染予防やワクチン接種推進の関連費について、前年度当初比で2倍超の685億円を計上した。オミクロン株は弱毒性や早期沈静化の見方から楽観論もあったが、感染者の激増で地域医療は限界に近づきつつある。関係者は「社会機能を揺るがすウイルスだと認識してほしい」と訴える。 「搬送先が見つからず亡くなる人が出る恐れがある」 9日、浜松市中区の浜松医療センターで感染症内科の田島靖久医師(43)が強い懸念を示した。 同病院は一般病床の約6%に当たる35床をコロナ用に確保している。冬場の病床稼働率は例年95%前後に
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まん延 静岡県の延長判断「来週早々にも」 川勝知事が方針
川勝平太知事は8日の定例記者会見で、20日を期限とする本県の新型コロナウイルスまん延防止等重点措置について、延長すべきかの判断を来週早々にも表明する方針を示した。 政府は首都圏や愛知県など本県に隣接する地域の重点措置期限を13日から3週間延長する方向で調整している。川勝知事は「県内の病床も逼迫(ひっぱく)している」と指摘した上で、週内に県専門家会議を開いて意見を参考にする姿勢を見せた。 1月27日の適用開始から2週間近くになる重点措置の効果に関しては、人流が4割程度まで減ったと説明し、「やっていなければもう少し感染者が多かったと思っている」と述べた。 県内のコロナ病床については、現在の
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「レベル2」据え置き 静岡県、感染状況指標【新型コロナ】
静岡県は3日までに、新型コロナウイルスの県内の感染状況について、国の指標で現在の「レベル2」(警戒強化)に据え置く方針を固めた。県新型コロナ対策専門家会議は1日に「レベル3が妥当」とする提言をまとめたが、重症病床使用率を重視する国との協議を踏まえ、総合的に判断したとみられる。関係者への取材で分かった。 ただ、一般診療や救急を含め地域医療は逼迫(ひっぱく)の度合いを高めている。県は4日にも、県民に医療を取り巻く現状を訴えるとともに、改めて感染対策の徹底を求める方針。 1日の専門家会議は、県内のコロナ病床は現状の500床台から増やすことは困難で、病床使用率は国がレベル3の目安の一つとする50
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抗体薬で症状安定の軽症者 「速やかな退院案」了承 静岡県新型コロナ専門家会議
静岡県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は1日のオンライン会合で、軽症の入院患者は中和抗体薬を投与後、症状が落ち着いていれば退院とする新たな対応方針を了承した。協議では感染状況を示す国の指標は「レベル3」が妥当と判断。入退院の基準を厳格化することで病床の回転率を高めるべきとする認識でまとまった。 入院は最短で1泊程度とし、医師の判断で自宅か宿泊療養施設に移ってもらう。入院する軽症者の多くは重症化リスクのある人だが、オミクロン株は大半がそのまま軽快する傾向が分かっている。一方で県内の受け入れ病院では経過観察を理由に入院を継続するケースがあり、病床が空きにくい状況が生じていた。退院後、症状
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症状安定で退院 中和抗体療法実施の軽症患者 静岡県、病床逼迫回避へ新方針
新型コロナウイルス感染者による病床逼迫(ひっぱく)を防ぐため、静岡県は31日までに、中和抗体療法を実施した軽症の入院患者について、症状が落ち着いていれば退院とする新たな方針を固めた。オミクロン株は重症化リスクがあっても大半が治癒する傾向が分かってきたが、受け入れ病院では経過観察のため入院を継続するケースがあり、病床使用率を押し上げる要因になっていた。1日の県新型コロナ感染症対策専門家会議に諮る構え。 県によると、31日正午時点の県内の病床使用率は52%。1週間前の37%からさらに上昇した。入院患者267人のうち、酸素投与の必要はないものの肺炎の所見がある中等症1以上は約半数。残り半数は軽症
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コロナ 診察に検査に…小児科医奔走「感染経路、第5波と違う」
新変異株「オミクロン株」による「第6波」で子どもの感染が急増する中、小児科の現場は診察や検査の対応に奔走する。 静岡市駿河区のかわはら医院は市内で1日の新規感染者が100人を超えた頃から外来患者が増加。検査での陽性確認は今年に入り1人もいなかったが、17日以降は続出して計20人以上になった。河原秀俊医師(市静岡医師会理事=感染症対策主務=)によると、感染者の症状は発熱や咽頭痛など風邪と似ていて見極めが付きにくい。全員が軽症で、解熱剤や風邪薬を処方。河原医師がその後、直接電話で行っている健康観察でも症状が悪化したケースはない。 同医院で陽性が分かった子どもは学校や保育施設以外にスポーツ少年
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新型コロナワクチン 高齢者3回目 “争奪戦”一変、静岡県内予約低調 「軽症」「交互接種」で様子見?
新型コロナウイルスワクチンの一般高齢者の3回目接種を開始した静岡県内の一部自治体で、予約が低調に推移している。接種枠の“争奪戦”が起きた2回目までとは状況が一変。新変異株「オミクロン株」の症状は比較的軽いとの見方や、種類の異なるワクチンの交互接種に対する抵抗感を要因に「様子見が生じている」との指摘がある。県外でも同様の傾向が見られる。「第6波」が拡大の一途をたどる中、自治体は積極的な接種を呼び掛ける。 「もう少し埋まると思ったが」 14日から接種を始めた下田市の担当者は戸惑いの様子を見せた。接種券を送った約2400人のうち、予約を済ませた人は7割未満。特に集団接種
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自宅療養支援 市町も参画 人数把握できず課題も【新型コロナ】
静岡県内の市町が、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者への食料支援などに奔走している。「第5波」までの経験から、保健所が担っていた業務に市町も加わる枠組みになった。オミクロン株が猛威を振るう中、現場は対応に追われる。自治体ごとに自宅療養者が何人いるか把握できないことには困惑の声も聞かれる。 ■「ピークが見えない」 市内の新規感染者の合計が直近5日間で200人を超えた菊川市。食料支援の申請は20、21日だけで20世帯39人に上り、担当者に緊張感がにじんだ。 県内の24日時点の自宅療養者数は6千人を超え、過去最多を更新した。一方で市町単位の自宅療養者数は自治体に伝わる仕組みになっていない
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ICTで「救急」円滑に 静岡県医師会、4月にも新システム 持病や服薬情報を事前登録、いざという時に有効活用
静岡県医師会は4月にも、運営する情報通信技術(ICT)システムを活用した新たな救急ネットワークを稼働させる。県民に持病や服用薬の情報を事前登録してもらい、急な傷病で救急を利用する際、救急隊が通報段階で患者情報を把握できるようにし、円滑な処置と治療につなげる。救急隊が現場到着後に症状を撮影し、搬送先病院が受け入れ前から情報共有する態勢の構築も視野に入れる。 ネットワークを導入するかは市町単位で判断となる。現時点で複数の自治体が4月からの運用開始に向けて動いているという。 同会によると、事前登録するのは名前、住所、生年月日のほか、緊急連絡先、かかりつけ医、病名、常用薬、アレルギーの有無など。
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行動制限 週内に判断 静岡県コロナ専門家会議、感染急増で「何らか必要」一致【新型コロナ】
静岡県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は17日のオンライン会合で、オミクロン株による感染者が県内で急増している状況を受け、「何らかの行動制限を取るべき」とする意見で一致した。県はまん延防止等重点措置の国への要望、または県として独自の行動制限発出のいずれかを検討し、実施を週内にも判断する方針。 会議は非公開。10代から30代の若い世代の感染が目立ち、学校施設や会食の場などで感染が拡大しているとの認識を共有した。県はこうした場の感染抑制や人流を減らすのに有効な手だてを精査する。 県健康福祉部の後藤幹生参事は会議後の取材に、まん延防止等重点措置は第5波で人流を抑えるのに効果的だったと説
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子どもの感染増加傾向 年明け以降、未成年割合24% 保育・学校関連でクラスター
静岡県内で子どもの新型コロナウイルス感染が増えている。今月1日以降、未成年の感染割合は24%を占め、保育施設や学校関連で集団感染が続発している。置き換わりが進むオミクロン株は軽症化の傾向がみられるが、12歳未満のワクチン未接種世代への影響は不明な点が多い。県は基本的な感染対策の実践を改めて求める。 「(接種対象外の)子どもがかかって本当に大丈夫か心配している。軽症で済むのか、注視したい」 小児科医でもある県健康福祉部の後藤幹生参事は12日の記者会見で、子どもやその周辺でオミクロン株感染が急拡大する現状にそう強調した。 県内では今月1日から13日までの感染事例1201件のうち、未成年は
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濃厚接触者でも「陰性」で勤務 市立静岡病院、2021年春から先行実践 ワクチン効果など総合判断
静岡市立静岡病院(同市葵区)が、院内の医療従事者が新型コロナウイルスの濃厚接触者になっても、陰性であることを確認した上で勤務する体制を昨春から独自に取り入れていたことが、13日までの同病院への取材で分かった。オミクロン株対策で政府が自治体に通知した内容を先行して実践していた格好だ。病院幹部は「感染爆発が予想される『第6波』はさらに柔軟な対応が必要になる。社会活動の影響を考えれば、対象を医療以外にも広げるよう検討すべきでは」と提言する。 同病院によると、濃厚接触者の条件付き勤務を採用したのは、ワクチンの医療従事者向け2回接種が終了した昨年4月ごろ。ワクチン効果で感染抑制や重症化予防が期待でき