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⚽平岡監督交代 どうなる清水エスパルス

 サッカーJ1清水エスパルスは、平岡宏章監督の契約を解除したことを発表しました。昨季のリーグ途中で指揮官に就任し、チームをJ1残留に導きましたが、今期は成績が低迷しています。監督交代はチームに良い影響を与えるのでしょうか。エスパルスの現状をまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・石岡美来〉

交代理由は成績不振 リーグ戦わずか2勝

 サッカーJリーグ1部(J1)清水エスパルスは30日、平岡宏章監督(52)との契約を双方合意の上、解除したと発表した。成績不振による交代。新体制となるまで篠田善之ヘッドコーチ(50)が暫定的に指揮を執る。清水のシーズン途中での監督交代は4年連続。

平岡宏章監督
平岡宏章監督
 昨季、残り4試合の時点で指揮を託された平岡監督は低迷していたチームを3勝1分けと立て直し、J1残留に導いた。続投する形で今季を迎えたが、リーグ戦16試合を終えて2勝7分け7敗の16位と低迷。29日の柏戦で今季ワーストの3連敗を喫していた。
 平岡監督はクラブを通じて「エスパルスをもう一度強く誇り高いチームに変革したいと精進してきたが、結果を出せず大変申し訳ない」とコメントした。
 クラブはJ1での指揮経験者などを候補に新体制の調整を進めている。
〈2022.5.31 あなたの静岡新聞〉

大熊GM「2勝の現実を直視」 指揮官の途中交代は4年連続

 J1清水はリーグ戦で16位と低迷が続く中、30日に平岡宏章監督の交代に踏み切った。同日、取材に応じた大熊清ゼネラルマネジャー(GM)は「リーグで2試合しか勝てていないという現実を直視しながら総合的に判断した」と述べた。

29日の柏戦で指揮を執る清水・平岡監督(手前)=三協F柏
29日の柏戦で指揮を執る清水・平岡監督(手前)=三協F柏
 2020、21年とシーズン途中に就任していた平岡監督は、今季初めて開幕から指揮を執った。カップ戦を含めて4試合負けなしと出だしはまずまずだったが、3月からリーグ戦8試合未勝利。直近5試合も1分け4敗と停滞し、16試合で勝ち点13はJ2降格圏の17位湘南と並んでいる。
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近年のJ1清水の監督交代

 平岡監督は最後の指揮となった29日の柏戦に先立ち、「良い守備とカウンター攻撃という段階から、ボールを動かして崩す段階に移る中でなかなか勝ち点を積み重ねることができていない」と現在地を見つめていた。大熊GMは平岡監督の下でチームが目指す「攻守で主導権を握るサッカー」に前進したとしつつ、相手の変化への対応や試合の締め方などの「試合での修正力」を監督交代の決め手の一つとして強調した。
 クラブはタイトル獲得を目指して今季に臨んだが、リーグ戦が折り返しに近づく中でJ1残留が現実的な目標となっている。大熊GMは「自分たちのやるサッカーを整理し、自信をつけることが近道」と新体制に求める役割を口にした。
〈2022.5.31 あなたの静岡新聞〉

直近の清水の戦績は? 最下位との勝ち点差は2

 明治安田J1リーグは29日、各地で第16節の残り7試合が行われ、磐田は横浜Mに0―2で敗れた。横浜Mは2連勝で勝ち点を31に伸ばし、首位に浮上した。清水は4位の柏に1―3で屈した。

柏―清水 後半13分、清水は柏・大南(右から2人目)に3点目のゴールを許す=三協F柏
柏―清水 後半13分、清水は柏・大南(右から2人目)に3点目のゴールを許す=三協F柏

 ■早々失点 また3点献上
 前節の完敗から中3日で敵地のピッチに立った清水イレブンは、悪い流れを引きずっているかのようだった。2戦連続の3失点を喫し、反撃も1点止まり。攻守に精彩を欠き、今季初の3連敗となった。
 立ち上がりから相手のパスワークに球の奪いどころを見いだせず、自陣に押し込まれた。前半13分、ペナルティーエリア手前まで進入され、最後は巧みにゴール隅に決められた。平岡監督が「大事になる」と前日に語っていた先制点を早々に相手に与え、白星へのプランは狂った。
 指揮官は正念場の一戦でMF西沢、DF岸本を起用。今季リーグ初先発となった2人にサイドでの連係や前線への配球を期待したが、全体の連動性は高まらず。逆に組み立てのミスが目立ったこの日は、相手の鋭いカウンターを何度も食らい、前半39分に2点目を失った。
 狙いとしていた相手の背後を突く攻めが機能したのは、3点のリードを許した後。選手交代が攻撃の活性化につながらない試合が続いていた中、途中投入されたDF片山の得点が数少ない光明だった。
 17位湘南も敗れたため降格圏転落は免れたが、神戸の勝利で最下位との勝ち点差は2に詰められた。苦境が深まるばかりのリーグ戦の次節は3週間後。指揮官は「連係や攻守の一体感をすり合わせたい」と気丈に語った。
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J1リーグ勝敗表(29日現在)
〈2022.5.30 あなたの静岡新聞〉

当面の指揮官 篠田氏はどんな人

 ※2018年1月26日 静岡新聞朝刊「この人」より(年齢、肩書は当時のまま)

篠田善之さん
篠田善之さん
 J2アビスパ福岡、J1FC東京で監督とコーチを務めた。今季から清水で指揮を執るヤン・ヨンソン監督(57)とともに名門クラブの復活を託された。山梨県出身。46歳。

  ―エスパルスのコーチ就任を要請されたときはどんな思いだったか。
  「伝統あるクラブの一員になれることに感謝の気持ちでいっぱいだった。静岡県の一員になれることがうれしい。高校時代は清水商高が憧れだった」

  ―指導者としての心掛けは。
  「監督でもコーチでも、選手にサッカーを楽しませることが大事だと思っている。人を指導することの難しさは分かっているし、何度も壁にぶち当たったが、それだけはどの年代でも共通している」

  ―クラブ幹部からは熱血漢で静岡に少ないタイプだと思われているようだが、自身の性格は。
  「少し違っている。声が大きいことや、第一印象でそう思う人も多いが。監督と選手の間に立つコーチとして役目を果たしたい」
      ◇
 サッカースクールに通う子どもと休日に遊ぶことが楽しみ。
地域再生大賞