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10月16日 編集長セレクト

 きょうから浜松市では、ジャズ・ウィークが始まりますね。2年ぶりということで、楽しみにしてた方も多いかもしれません。せっかくの土曜日ですが、きょうは雲の広がりやすいお天気。お出掛けの際は、折りたたみ傘があると安心です。
 さて、知る・見る・学ぶ記事まとめ〈知っとこ〉は今日も4回更新を予定しています。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・村松響子〉

舘山寺ホテル九重 10月末で営業終了 建物解体、跡地利用未定

 遠州鉄道は15日の取締役会で、グループの遠鉄観光開発が運営する浜松市西区舘山寺町の高級旅館「ホテル九重」の営業を10月で終了することを決めた。1987年の開業以来、団体客を中心に全国から集客し、浜名湖エリアの観光をけん引した。老朽化した建物は11月から約2年をかけて解体するが、跡地利用策は未定。コロナ禍からの巻き返しを図る舘山寺地区の観光関係者にとって、象徴とも言える施設の閉鎖は大きな痛手となる。

10月末の営業終了が決まった「ホテル九重」(写真中央)=15日午後、浜松市西区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から、写真部・坂本豊)
10月末の営業終了が決まった「ホテル九重」(写真中央)=15日午後、浜松市西区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から、写真部・坂本豊)
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年4月から約1年半にわたり休業していた。同日の記者会見で遠鉄の丸山晃司専務はコロナの影響に加え、顧客ニーズの変化、休業期間中の施設の急速な老朽化を閉鎖の要因に挙げた。「舘山寺地区にとっても、遠鉄グループにとっても非常に重要な場所。跡地は売却しない。コロナ後の社会の変化を見据え、地域のために有効な活用策を考える」と述べる一方、具体的な再生計画は決まっていないと説明した。
 コロナ禍前の従業員約150人はグループ内で配置転換済みという。
 浜名湖畔にある同ホテルは10階建て86室で、総工費約100億円。高級和風旅館のコンセプトで高い知名度を誇り、開業以来、約255万人が宿泊した。売上高40億円を達成した1991年度をピークに、団体旅行から個人旅行へのシフトに伴って来客数は徐々に減少した。2006年度に20億円規模の館内改修で挽回を図ったが、19年度は売上高18億円と開業初年度を除いて最も落ち込んだ。
 遠鉄観光開発の河合正志社長は「施設が大規模で個人向けには一気に切り替えられなかった」と述べた。
 舘山寺温泉観光協会によると、平成に入った1989年以降、舘山寺温泉街で大型宿泊施設の閉鎖は初めて。

衆院選静岡5区 4氏が持論、公開討論会 コロナ対策、外交・安全保障…

 衆院選(19日公示、31日投開票)静岡5区の立候補予定者公開討論会(裾野青年会議所主催)が15日、裾野市内で開かれた。立候補を予定している4氏が新型コロナウイルス感染症対策や外交・安全保障、トヨタ自動車が同市で建設中の実証実験都市「ウーブン・シティ」をテーマに持論を展開した。相互に質問をぶつける場面はなく、4氏の主張に大きな違いは見られなかった。

公開討論で舌戦を交わした(左から)吉川赳氏、細野豪志氏、千田光氏、小野範和氏=15日午後、裾野市内
公開討論で舌戦を交わした(左から)吉川赳氏、細野豪志氏、千田光氏、小野範和氏=15日午後、裾野市内
 自民前職吉川赳(39)、立民新人小野範和(48)、諸派新人千田光(43)、無所属前職細野豪志(50)の4氏は初めて一堂に会した。
 新型コロナ対策で細野氏は、医療体制に問題があったと指摘し、「今の体制を縮小せずに拡充し、第6波に備えるべきだ」と述べた。千田氏は「なぜコロナだけを厳しく扱うのか分からない。過剰反応はやめるべきだ」と国の政策を批判した。小野氏は「地域観光を取り戻すため、検査体制を拡充する。パンデミックに強い国を作るべきだ」と主張。吉川氏も「PCR検査体制の拡充と無料化をすべき」とし、病床区分の見直しの必要性などを指摘した。
 最も独自色が出たのは、討論会最後の決意表明だった。吉川氏は「一貫して自民党としての姿勢を貫いてきた。自公政権か、立民・共産かの選択の選挙になる」と政党色を強調。細野氏は「運と縁に恵まれ、さまざまな仕事をしてきた。政治家としてやり残したことがある。無所属の戦いを乗り越えないと価値はない」と背水の陣を誓った。千田氏は「自分には雑草魂がある。エリートの政治家には任せていられない。国民が国民のためにするのが政治」と訴えた。小野氏は「政治の信頼を取り戻す。与党はうやむやにしていることを明らかにしなければならない。野党は前向きな政策提言をする」と二大政党制の実現を訴えた。
 討論会の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」で16日午後6時までに配信を始める。

熱海土石流 2003年県の処分は前所有者の関連会社 盛り土造成経緯解明の可能性

 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土が造成される前、その北側を無許可で開発し、2003年に県から工事停止命令を受けていた業者(A社)が、不適切な盛り土を造成したとされる神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算=B社)の関連会社だったことが15日までの関係者への取材で分かった。

2006年9月に撮影された熱海市伊豆山の土石流起点周辺の航空写真(静岡新聞社が県の資料に加筆)
2006年9月に撮影された熱海市伊豆山の土石流起点周辺の航空写真(静岡新聞社が県の資料に加筆)
 工事停止命令で開発が中断された土地はA社が所有していたが、その後、B社が取得しており、盛り土が造成された経緯の解明につながる可能性がある。
 A社は神奈川県小田原市の不動産業者(清算)。県は03年2月、A社が都市計画法の開発許可を受けずに開発行為を行ったとして、同法に基づく工事停止命令を出していた。さらに、その1週間後、東側に隣接する宅地でもA社が許可条件に違反して造成していたとして同法に基づく工事停止命令を発した。
 A社は、B社と同じ神奈川県小田原市の住所を所在地とした時期もあり、B社の幹部がA社の役員を兼任してA社の清算にも関わっていた。
 関係者などによると無許可開発で行政処分の対象になった土地は工事が止まったまま放置され、06年にB社が取得。「A社とB社は事実上、一体だった」(関係者)とする見方があり、県や熱海市も当時、A社とB社は関連会社だったと認識していたとみられる。
 これまで公表された県などの資料では、命令対象になった土地の南側の谷を埋める形で、建設残土が09年から10年ごろにかけて搬入された。必要な排水設備は確認されず届け出の3倍を超える高さの盛り土が造成されていた。B社は06年9月から11年2月まで崩落した盛り土を造成した土地を所有していた。

静活複合施設の名称「ARTIE(アルティエ)」 2022年2月開業

 シネマコンプレックス運営などの静活(静岡市葵区、江崎和明代表)は15日、同区七間町の静活プラザボウルの跡地に建設中の複合型エンターテインメント施設の名称を「ARTIE(アルティエ)」とし、2022年2月に開業すると発表した。

公開されたアルティエのロゴやアート=15日午後、静岡市葵区
公開されたアルティエのロゴやアート=15日午後、静岡市葵区
 立体的な映像を鑑賞するホログラムシアターなどの「LIVLIV(リブリブ)」や、ボウリングをプレイしながら飲食を楽しむことができる「Bolo(ボーロ)」を運営する。
 同日はアルティエのロゴデザインや、施設のイメージを表現したアートも披露した。江崎亮介取締役は「静岡市街地の盛り上げにつなげていきたい」と話す。
地域再生大賞