知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

3時のアフタヌーンクリップ

 こんにちは。6月13日(日)午後3時を回りました。きょうはすっきりしないお天気ですね。この時間の〈知っとこ〉は定番の「アフタヌーンクリップ」をお届けします。きょうよくお読みいただいている記事、編集部で話題に上った記事を4本ご紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

静大開発の超小型衛星、宇宙実験順調 ケーブル伸展初成功 続いた苦難にようやく“光”

 静岡大工学部が開発した超小型人工衛星「三光(さんこう、STARS―EC)」による地上から宇宙へ人や物資を運ぶ宇宙エレベーターや、漂うデブリ(宇宙ごみ)除去に向けた実験が順調だ。5月には「三光」内蔵のデブリを捕獲するテザー(ひも状の道具)の伸展に初めて成功。初号機のときから苦難続きだったが、ついに“光”が見えてきた。

三光のイメージ図(静岡大・能見研究室提供)
三光のイメージ図(静岡大・能見研究室提供)

 三光は10センチ角の三つの立方体が連なり22メートルのテザーが収納されている。5月3日に伸展を確認、10日には巻き取りも確かめることができた。テザーはこの間に10メートルほど伸び、約1メートルを巻き取った。
 従来の静大衛星は通信に不具合が起き、宇宙空間でテザーを着実に伸展させるまでには至らなかった。初号機の「はごろも」は2機体をバネの力で分離してテザーを伸ばす計画だったが軌道周回中は確かめられず、大気圏再突入時に米戦略軍が発した公式メッセージから落下速度などを計算して確認するにとどまった。
 三光はアンテナ技術をアマチュア無線家が担当。テザー伸展はモーターを使う。通信については、同大浜松キャンパスで指令を出し、データの受信を開発主導者の能見公博教授の前任地である香川大で行っている。伸展と巻き取りはテザーを巻くリールの計測データで確かめた。
 今後、テザー上で衛星を動かす実験や搭載カメラによる映像確認、地上からの光学観測といった課題にも挑む。能見教授は「これまでは伸展に焦点を当ててきたが、テザーを伸ばすだけでなく巻き取りが繰り返しできるようになったことは大きい」と手応えを語る。

 ■技術さまざま 各国で開発急ぐ
 宇宙デブリ(ごみ)は人工衛星などへの衝突で致命的な被害を出す恐れがある大きさ1センチ以上の物だけで50万個以上ある。除去は世界的な課題で、近年は各国の研究機関や企業が技術開発を急ぐ。
 除去技術には、静岡大の超小型衛星が実証しようとしているようなテザー(ひも)を用いるやり方以外にもさまざまな方法が検討されている。ベンチャー企業「アストロスケール」(東京都墨田区)は、人工衛星が磁力を利用してデブリにくっつき、そのまま大気圏に再突入するという技術を開発している。3月に打ち上げた衛星で今夏にも実証実験を行う予定という。
 同社の担当者は、デブリ除去にさまざまな手段が検討されている理由に「回りながら軌道上を動く物と同じスピードで動き、確実にキャッチするというのは非常に難易度が高い」と指摘する。
 

要介護者のドライブスルー接種実施 三島市が独自に 新型コロナワクチン

 三島市は12日、自力での移動が困難なために新型コロナウイルスワクチンの集団接種を受けられない65歳以上の要介護者を対象にした「ドライブスルー接種」を同市東町の東小で実施した。助手席や後部座席で待機する高齢者に医師がワクチンを投与し、経過観察までを車内で行う。市独自の手法で、7月までに市内の小学校3カ所で計12回のドライブスルー接種を予定している。

車内で待機する要介護者にワクチンを打つドライブスルー接種=12日午後、三島市立東小
車内で待機する要介護者にワクチンを打つドライブスルー接種=12日午後、三島市立東小
 東小では体育館で一般高齢者の集団接種が終わった午後3時過ぎ、計18人の要介護者を乗せた車両16台が駐車場に並んだ。医師2人とスタッフが順番に回り、ドアを開けて体調や予診票などを確認しながらワクチンを打った。妻の敏子さん(87)と一緒の車で訪れた森田哲之助さん(89)は「足が悪いので歩くのはつらい。車の中で全てスムーズに終わり、すごく楽で助かった」と話した。
 市は事前に39カ所の居宅介護事業所で接種方法に関するアンケートを行い、ドライブスルー、バリアフリー会場、訪問接種のいずれかについて要介護者の希望を確認した。120人がドライブスルーを選択し、7月29日までに2回ずつ接種を受ける予定。医師の関俊夫さん(70)は「求められている接種の形だと思う。受ける人の状態に合わせ、ケース・バイ・ケースで対応できれば」と語る。

日本4得点でジャマイカに快勝 旗手(静岡学園高出)が存在感 サッカーUー24国際親善試合

 サッカー男子で東京五輪世代のU-24(24歳以下)日本代表は12日、愛知・豊田スタジアムでジャマイカのフル代表と国際親善試合を行い、4-0で快勝した。メンバー選考前最後の一戦を終え、五輪代表18人が今月下旬に発表される。

U―24日本―ジャマイカ 後半、左サイドを攻め上がる旗手=豊田スタジアム
U―24日本―ジャマイカ 後半、左サイドを攻め上がる旗手=豊田スタジアム
 日本は前半32分に久保建(ヘタフェ)が左足で先制し、遠藤航(シュツットガルト)が加点。後半はほぼ一方的に攻め、上田(鹿島)と堂安(ビーレフェルト)が決めた。後半途中からは3バックの布陣も試した。

U―24日本 4(2―0 2―0)0 ジャマイカ
▽得点者【日】久保建(前32分)遠藤航(前42分)上田(後12分)堂安(後19分)
▽観衆 4029人

 【戦評】
 日本が攻守で圧倒した。
 序盤から攻勢で、前半32分に久保建が右から切り込んで左足シュートで先制。10分後に遠藤航のミドルシュートで加点した。後半も攻め手を緩めず、12分に上田、19分に堂安が決めた。前線からの守備が機能し、ほとんど好機を与えなかった。
 ジャマイカは中盤で球を失う場面が多く前線で起点をつくれず、球際の守備も甘かった。

 ■旗手(静岡学園高出) 攻守に存在感 久保建へ絶妙パス
 ゴールを決めたのは主役たちだったが、東京五輪出場へ生き残りを懸けたDF旗手(川崎、静岡学園高出)も存在感を示した。左サイドバックで先発出場し「やりたいことがピッチで表現できて良かった」。攻守にわたり見せ場をつくり最後のアピールに成功した。
 立ち上がりから左サイドを駆け上がり積極的に攻撃参加した。最大の見せ場は前半20分。前線でフリーになっていた久保建(ヘタフェ)に鮮やかなスルーパスを通した。久保建の強烈なシュートは惜しくもポストをたたいたが、決定機を演出し会場がどよめいた。
 守りでも身体能力の高いジャマイカの突破を止めた。左サイドを組んだMF田中、三笘の川崎の同僚と複数で相手を囲んで追い込んだ。ライン際でも大きな相手に当たり負けしなかった。後半15分に三笘とともに退いたが、持ち味は出せた。
 吉田(サンプドリア)ら主力組と最終ラインを組み「緊張はあったが、楽しく試合ができた」と無失点に貢献。横内監督代行も「ゼロで抑えたのは収穫」と評価した。
 左サイドバックやトップ下など、最終ラインから前線まで器用にこなす。「どこで出場しても自分らしいプレーをしたい」。3、6月の強化試合5試合に出場、3試合で先発しアピールを続けた。生き残りに向け旗手は「みんなギラギラしている。残りたい気持ちが強い」と語る。
 「(この日は)ゴールやアシストできなかったのが悔しいが、試合を重ねるごとにやりたいことができた」と手応えを感じた。代表選出に向け、やり残したことはない。

 ■久保建、堂安は2戦連続ゴール
 久保建、堂安の二枚看板は5日のU-24ガーナ戦に続き、そろってゴールを挙げた。久保建は前半32分、飲水タイムの直後のスローインから隙を突いて右から中央へ。左足をコンパクトに振ると、相手選手の股を次々と抜いて先制ゴールが吸い込まれた。「リスタートで相手の裏を突こうと話をしていた。狙い通り」と胸を張った。
 堂安は後半19分、左の相馬からパスを受けて冷静に仕留めた。本番へ弾みのつく結果に「勝ち癖を付けて大会に向かっていきたい。金メダルしか狙っていない」と豪語した。
 
 横内昭展・U-24日本代表監督代行の話 どのような相手でも先に点を取って(失点)ゼロで終わるのは収穫。(五輪メンバーの)骨格はある程度、見えてきたと思っているが、スタッフ、監督も含めて見直して考えたい。

 ウェート・ジャマイカ代表コーチの話 日本はとてもいいチームだった。強く、速く、落ち着きがあった。良くまとまっていたし、五輪でも善戦するポテンシャルがある。

静岡県知事選情勢 川勝氏優勢、岩井氏追う 自民票割れる

 静岡新聞社は10日から12日までの3日間、任期満了に伴う知事選(20日投開票)の電話世論調査を実施し、総支局の取材を加味して情勢を探った。4選を目指す無所属現職の川勝平太氏(72)が優勢で、前参院議員の無所属新人岩井茂樹氏(53)=自民推薦=が追い掛ける展開となっている。

川勝平太氏/岩井茂樹氏
川勝平太氏/岩井茂樹氏

 投票先を「まだ決めていない」とした人が3割いて、情勢は変化する可能性がある。投票先を決めていない人の割合を年代別でみると、10代で84・2%と高く、30代と40代がそれぞれ40・3%。20代も38・5%あった。一方、70歳以上は14・7%と少なく、50代と60代は20%台だった。

 ■川勝陣営
 川勝氏は支援を受ける野党各党の支持層を着実に固めている。立憲民主、国民民主それぞれの支持層の7割以上をまとめた。加えて自民支持層にも食い込み、自主投票とした公明の支持層へは5割以上に浸透する。無党派層の支持も4割と岩井氏に比べて厚い。現職としての高い知名度や発信力を生かした戦術が奏功している。
 最も力を入れてほしい政策や課題として「リニア中央新幹線の水問題」を挙げる層の6割以上の支持を集めている。地域別でも県内全域でまんべんなく支持を広げる。男女別では、女性の支持が男性を上回っている。
 川勝氏は当初、公務に専念と主張していたが、日を追うごとに選挙活動に軸足を転換。選対本部を仕切る県議の引率で企業・団体を訪ねて支援を訴え、各地で街頭演説やネット集会も重ねている。
 選対幹部は「相手候補は自民党推薦で、組織力を駆使した巻き返しが予想される。最後まで気を緩めず戦い抜く」と力を込める。

 ■岩井陣営
 知事選で12年ぶりの自民推薦候補となった岩井氏は、自民支持層の5割しか固め切れていない。国政で連立を組む公明の支持層の取り込みは3割にとどまり、無党派層への支持の広がりも欠く。
 知事に必要な資質として「国政や市町とのパイプ役」を重視する層の6割から支持を受ける。政策面では「経済対策・産業振興」を期待する層の支持が川勝氏を上回っている。
 地域別では静岡市で川勝氏に迫る一方、大井川流域を含む志太・榛原や岳南・北駿でリードを許す。年代別は30代で一定の支持を得るが、若年層への浸透が課題となっている。
 陣営は300を超える団体から推薦を得て、組織をフル回転させている。参院議員を11年務めたとはいえ、現職より知名度は劣るとみて、チラシのポスティングや電話での呼び掛けに力を入れてきた。ただ、自民支持層を固め切れていない現状に、序盤は控えてきた現職批判を強めるなど戦術を練り直し、巻き返しを図る。

 川勝平太(かわかつへいた)氏 72 無現③
 ▽現=知事、県スポーツ協会長、県観光協会長▽元=静岡文化芸術大学長、国際日本文化研究センター教授、早大政経学部教授 京都府出身。英オックスフォード大大学院博士号。静岡市葵区安東

 岩井茂樹(いわいしげき)氏 53 無新(自民推薦)
 ▽現=無職▽前=参院議員▽元=国土交通副大臣、経済産業兼内閣府兼復興政務官、富士常葉大非常勤講師、参院議員秘書、建設会社社員 名古屋市出身。名古屋大大学院修了。三島市富士ビレッジ

 【調査方法】
 10~12日の3日間、県内の有権者を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で実施した。有権者がいる世帯に電話がかかったのは3094件で、うち1048人から回答を得た。結果は県内の性別、年代別構成など有権者の縮図を反映するよう計算処理した。
地域再生大賞