知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

藤井×羽生 迫る将棋の頂上決戦 地元掛川、盛り上げへ一丸

 2023年1月8日に掛川市で開幕する第72期王将戦。藤井聡太王将に羽生善治九段が挑む注目度の高さから、市などは大一番に向け準備に奔走しています。タイトル戦の見どころや、将棋界のスター2人を迎える地元の動きをまとめます。

羽生九段、藤井王将に挑戦 将棋タイトル戦 初対決へ

 ※2022年11月23日 あなたの静岡新聞から

 将棋の第72期王将戦挑戦者決定リーグ戦の最終局は(11月)22日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、羽生善治九段(52)が豊島将之九段(32)を破って6戦全勝で1位となり、藤井聡太王将=竜王・王位・叡王・棋聖との五冠=(20)への挑戦を決めた。両者はタイトル戦で初顔合わせとなる。
 藤井王将は初防衛が懸かり、羽生九段は前人未到のタイトル通算100期を目指す。藤井王将-羽生九段による7番勝負は、2023年1月8、9日に開幕する。
 終局後、羽生九段は「大変なリーグ戦の中で結果を出せて非常にうれしい。(藤井王将とは)対戦してみないと分からない。シリーズが始まっていく中で、体感していくのかなと思う。自分自身の棋力を充実させて、臨むということに尽きる」と話した。
 羽生九段は2017年の竜王戦で史上初の永世七冠を達成し、自身の通算タイトル獲得記録を99期に更新。その後、18年末の竜王戦に敗れて27年ぶりの無冠に後退した。タイトル戦の登場は、20年の竜王戦以来となる。 

掛川舞台の王将戦 「まちの顔」隠れているけど…おもてなし全力

 掛川市が舞台になる将棋の第72期王将戦の開幕が2023年1月8日に迫った。藤井聡太王将に羽生善治九段が挑む注目度の高さから大勢の来訪者が見込まれるが、市を象徴する掛川城天守閣は修復工事でシートに覆われたまま。「まちの顔」が見えない中、市などでつくる「将棋によるまちづくり実行委員会」は関連イベントの拡充を図り、大一番に備えている。

天守閣が覆われた掛川城の城下にのぼり旗を設置する職員=12月上旬、掛川市中心部
天守閣が覆われた掛川城の城下にのぼり旗を設置する職員=12月上旬、掛川市中心部
 1年前、挑戦者として同市を訪れた藤井王将が「天守が近くに見えて落ち着いた雰囲気」と評した対局場の掛川城二の丸茶室。仰ぎ見た天守閣は6月、大規模修復工事に入った。周囲に足場が組まれ、姿を隠している。
 掛川城が望めない中で将棋界のスター2人を迎える王将戦第1局。市は12月上旬、会場周辺にのぼり旗を設置して歓迎ムードを演出した。隣接する三の丸広場で当日に開くイベントでは、地場産品などを提供するキッチンカーを増やし、臨時観光案内所も配置して来訪者をもてなす。
 限定販売する掛川城の御城印にも、将棋ファンの心をつかめると期待を込める。藤井王将と羽生九段のサイン入り。復元から27年が経過した掛川城の修復を話題づくりに利用して「普請中」の文字も印刷する。
 市によると、両者が顔をそろえる前夜祭には、定員20人に対して約100倍に相当する1979人の申し込みがあった。第1局2日目の大盤解説会(定員80人)にも、2296人と約30倍の応募が殺到した。
 世代を超えた頂上決戦に、地元の関心も高い。日本将棋連盟掛川支部の中山雅夫支部長(67)は「初防衛を目指す藤井王将と通算獲得タイトル100期が懸かった羽生九段。前評判では藤井王将が強いが、羽生九段も盛り返してきた。良い勝負になる」と対局を心待ちにしている。(掛川支局・高林和徳)
 〈2022.12.26 あなたの静岡新聞〉

掛川の食材 勝負めしに 王将戦控え、試食会

 藤井聡太王将に羽生善治九段が挑む第72期王将戦7番勝負第1局が2023年1月に掛川市内で行われるのを前に、掛川グランドホテルでこのほど、2人に提供する「勝負めし」と「おやつ」の試食会が開かれた。掛川牛シチューのソースを添えたオムライスや掛川茶を使ったケーキなど、地元食材ふんだんの料理がお披露目された。

王将戦の「勝負めし」を試食する関係者=掛川市の掛川グランドホテル
王将戦の「勝負めし」を試食する関係者=掛川市の掛川グランドホテル
 市などでつくる「将棋によるまちづくり実行委員会」メンバーのJA掛川市、JA遠州夢咲、掛川商工会議所、掛川みなみ商工会が協力して食材を選定し、同ホテルがメニューを開発した。
 勝負めしは市内産の野菜の天ぷらやマーボー豆腐など和洋中7品、おやつは2022年1月の対局で藤井王将が食べたケーキ「CHABATAKE」や焼きたてのフィナンシェなど6品。佐々木毅一総料理長は「オール掛川を意識して開発した。最高においしい掛川の食材を召し上がってほしい」とあいさつした。
 試食した久保田崇市長は「どの品も地域の良さが味わえる。2人もメニュー選びに長考するのでは」と話した。第1局は1月8、9日の両日、掛川城二の丸茶室で行われる。(掛川支局・伊藤さくら)
 〈2022.12.24 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞