15日開幕♪ 30回目の「ハママツ・ジャズ・ウィーク」
10月15~23日に、アクトシティ浜松を中心に市内各所で開催されるハママツ・ジャズ・ウィーク。1992年に「ヤマハ・ジャズ・フェスティバルin浜松」として始まり、今年で30回目を迎えます。見どころやイベントの歴史をまとめます。
今年の主なイベントは?
ジャズや音楽の魅力を体感する「第30回ハママツ・ジャズ・ウィーク」(浜松市、市文化振興財団、ヤマハ、静岡新聞社・静岡放送など主催)が10月15~23日、市内各地で開かれる。事務局関係者が(※2022年6月)28日、市役所で概要を発表した。3年ぶりに入場制限などを撤廃して開催する。
新たなイベントのうち、「ジャズと落語のスペシャルエンターテインメントショー」(18日、市勤労会館)は、ジャズ歌手ウィリアムス浩子さんと落語家春風亭昇太さんの本県出身者が共演する。
ほかに「ファミリーJAZZコンサート」や、市内小中学校と高齢者施設への「出前ジャズコンサート」などを予定する。
杉山俊道事務局長は「30回の節目。市民の心に刺さるようなイベントにしたい」と抱負を語った。
チケットの販売は7月30日から。問い合わせは事務局<電053(460)3325>へ。
〈2022.6.29 あなたの静岡新聞〉
見どころは 「原信夫とシャープス&フラッツ」再結成
1986年にシャープス&フラッツに入団しました。演奏活動の都合でいったん退団していた90年代後半に、原さんから「浜松でクリニックを開催するから手伝って」と頼まれたんです。この時は日程が合わず辞退しましたが、復団後に再び声をかけてもらい、参加しました。原さんが引退されるまで約10年、指導陣に加わりました。
内容を聞いた時、難しい企画だと思いました。相手が子どもだからではありません。ジャズは楽器の奏法がクラシックと異なり、シンフォニックバンドと呼ばれる一般的な吹奏楽とスタイルそのものが違うからです。しかし、原さんはジャズをやろうと言いました。迷いはありませんでした。
最初は戸惑いましたが、音楽の最終目的は演奏を通じた自己表現、アンサンブル能力の向上であることに思い至りました。良い音程、音、ビブラートでハーモニーを作り、何よりも良いリズムで演奏する大切さはどの音楽にも共通します。原さんが指揮し、私たちプロが指導しつつ、演奏に混じりました。
ジャズのオリジナル曲をシンフォニックバンド用にアレンジした課題曲が数十あり、その中から学校の先生と協議して、どの曲を取り上げるか決めました。1校につき1年に3回、3年連続で訪問しました。希望する学校が多く、4~6校を掛け持ちして回ったこともあります。
原さんは子どもだからといって特別扱いしませんでした。クリニックでは、物腰柔らかに、無理な要求はしませんでしたが、音楽に対して全力で向き合うことを求めました。このようにジャズに特化し、長期にわたってプロが指導する取り組みは浜松だけでしょう。
今回のコンサートでは、2016年にアクトシティ浜松で開催された原さんの卒寿フェスティバルとほぼ同じメンバーが集まります。総勢17人、原さんと同じ釜の飯を食った面々です。原さん作曲の「真っ赤な太陽」、ジャズのスタンダードナンバー「A列車で行こう」「シング・シング・シング」などを演奏します。
原さんが大事にした「スイングし、歌い上げるジャズ」を楽しんでほしいです。 (聞き手=文化生活部・遠藤竜哉)
〈2022.10.13 あなたの静岡新聞〉
落語×ジャズも ウィリアムス浩子さん、春風亭昇太さんとコラボ
静岡市葵区出身のジャズ歌手ウィリアムス浩子が10月、第30回ハママツ・ジャズ・ウィーク(浜松市、市文化振興財団、ヤマハ、静岡新聞社・静岡放送など主催)に登場する。近年共演を重ねる落語家の春風亭昇太(同市清水区出身)とのコラボレーションに加え、ジャズによる日本の歌も聞きどころ。即興の妙と名曲の調べがジャズ・ウィークに花を添える。
祖母や母の影響で長年の落語ファン。「昇太さんが全国区になる前から飛び抜けて面白い落語家だと思っていたら、あれよあれよという間に『笑点』の司会にまでなって」。県内を代表するエンターテイナーとの共演を心待ちにする。
英語詞のジャズを歌う一方、日本語も大切にしている。「母語で歌うのは自然なこと。『こうでなくては』というのがないのがジャズの良さ。日本語での歌唱も、ジャズの自然な広がりの一部に感じられる」と明かす。
ジャズ歌手として、楽曲本来の魅力を伝えることに意識を向ける。「歌詞には主人公がいる。主人公の気持ちを代弁者として伝える役割は、どの言語でも同じだと感じる」。情景が目に浮かぶ、朗読するかのような歌い方を大事にしている。
愛する静岡県で歌えること、地元に戻って歌える場があることを何よりもうれしく思う。「全国でも有数のジャズが根付いた地域。『おかげさま』と思って歌いたい」
■10月18日全席指定
ハママツ・ジャズ・ウィークは10月15~23日にアクトシティ浜松を中心に市内各所で開催する。18日の「ジャズと落語のスペシャルエンターテインメントショー~ジャズと日本の名曲の調べ&春風亭昇太 落語~」は全席指定。午後6時半開演。前売り3500円、当日4千円。未就学児入場不可。問い合わせは事務局<電053(460)3325>へ。
〈2022.9.8 あなたの静岡新聞〉
当初は赤字からスタート 発案者、30年の歴史回顧
「ハママツ・ジャズ・ウィーク」(浜松市、市文化振興財団、ヤマハ、静岡新聞社・静岡放送など主催)が15日、開幕する。1992年に「ヤマハ・ジャズ・フェスティバルin浜松」として始まり今年が30回目。「音楽のまち」を標榜(ひょうぼう)する浜松で、どのような役割を果たしてきたのか。
初回の92年は同社主催だった。浜松アリーナにジャズファン約4500人を集めたが、予想以上の赤字を出した。94年のアクトシティ浜松完成を前に、音楽のまちづくりを目指す市の関係者が興味を示し始めた。「官民一体のイベントにならなかったら、3年で終わっていたかも」と振り返る。
ジャズは近年、秋の中心街を彩り、風物詩のようになった。コロナ禍前には約2万人(主催者調べ)を集めるイベントに成長した。一方、中区の男性教員(48)は「ジャズに興味がなく、行ったことはない」と話す。同区のピアノ講師の女性(50)も「静岡市の大道芸と異なり、ジャズは気軽には行けない雰囲気」と率直だ。多くの市民への浸透という点では課題を残している。
運営側は新規のファンを何とか取り込もうと、今年は飛び入りの子どもたちがステージで演奏したり、春風亭昇太さんらによる落語とジャズのコラボを試みたりするなど、新たな趣向を用意した。
佐藤伸行プロデューサー(49)は「以前はコアなファン向けだった。今はジャズに親しみのない層にも、どういう楽しみ方を提案できるのかに重点が変わった」と強調する。(浜松総局・大山雄一郎)
〈2022.10.14 あなたの静岡新聞〉