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〈 駅弁の東海軒 130年以上の歩み 〉

 静岡市駿河区に本社を構える創業130年以上の駅弁の老舗「東海軒」。コロナ禍で苦戦が続く中、販路拡大に挑戦しています。新たな取り組みとともに、地域に寄り添ってきたこれまでの歩みを紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・吉田直人〉

「元祖鯛めし」冷凍通販、ネットで全国のファンへ

 駅弁の老舗、東海軒(静岡市、平尾清社長)は、約120年前から販売する看板商品「元祖鯛(たい)めし」の冷凍弁当をネット通販で展開する。コロナ禍で駅構内での販売の苦戦が続く中、全国の駅弁ファンらにターゲットを広げる。

東海軒が冷凍の鯛めしで使用するため、復刻した過去の掛紙
東海軒が冷凍の鯛めしで使用するため、復刻した過去の掛紙
 鯛めしはしょうゆで炊いた桜飯と甘辛く煮た鯛そぼろが特徴。新型コロナウイルス感染拡大を受けて昨春以降、駅弁需要がコロナ前の50%に激減していることから、アフターコロナを見据えた企業変革の一環として、冷凍版の開発に乗り出した。
 開発とともに着目したのが駅弁の包み紙「掛紙(かけがみ)」。特に明治から昭和初期の掛紙には、駅周辺の名所案内を記したガイドブック的な内容が含まれ、収集家も多い。そこで、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用し、京都の印刷包装資材会社「藤沢萬華堂」と共同で、明治時代の掛紙を手彫りの木版画で復刻。ほかにも数十種類の掛紙を再現し、冷凍弁当の特典とする予約販売を29日まで行う。
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東海軒が復刻した1897年製の掛紙と、120年販売を続けてきた「元祖鯛めし」=静岡市駿河区

 平尾社長は「コロナ禍で駅弁は厳しい状況が続くが、全国の駅弁ファンや自社が守ってきた伝統を再認識するきっかけになった」と強調。「鯛めし以外の冷凍弁当開発など新しい試みを進め、時代に合った形で伝統や駅弁文化を継承したい」と話す。
〈2021.10.12 あなたの静岡新聞〉

静岡駅前の元本社、覚えていますか?〈2007年の新聞記事から〉

 JR静岡駅北口で駅弁を製造・販売してきた東海軒(静岡市、平尾光久社長)が、同市葵区紺屋町から同市駿河区登呂に生産機能を移転して1カ月。78年にわたり営業を続けてきた同社の元本社ビルが紺屋町再開発ビル建設に伴い、早ければ5月にも解体される。同ビルは1929年(昭和4年)に建築され、市内に残る最も古い鉄筋コンクリート造りの建物の1つ。駅前の弁当工場として親しまれてきた建物の取り壊しを惜しむ声も上がっている。

紺屋町再開発ビル建設に伴い、取り壊される東海軒の元本社ビル=静岡市葵区紺屋町
紺屋町再開発ビル建設に伴い、取り壊される東海軒の元本社ビル=静岡市葵区紺屋町
  同ビルは三階建てで、敷地面積約四百八十平方メートル、延べ床面積約千八百七十平方メートル。閉鎖される今年一月まで一階は店舗と工場、二階は工場と事務部門、三階は社員食堂などとして使われてきた。
  建設当時は二階建て、正面の一部が三階建ての凸型の洋館で、静岡―清水間で開通した静清国道(現国道1号)建設のための地区内での移転新築だった。同じころ、静岡銀行本店や松坂屋、県庁などが建設され、県都・静岡市の中心地では町並みの近代化が進んだ。県建築設計事務所協会の山崎善利会長は「天井が高く、ゆったりした造りが昭和初期の建物の特徴」と当時の建物の魅力を説明する。
  一九四〇年の静岡大火、四五年の静岡大空襲で二度焼け、修復を重ねて今のビルの外観となったが、老朽化は激しかった。紺屋町地区再開発計画を受け、同社は本社を同市駿河区南町に、駅弁製造ラインを仕出し料理を生産する登呂工場(同市駿河区登呂)へ集約することに決めた。
  「同じ場所で工場を建て替えたいが、なかなかそうもいかない」と移転を決めた平尾社長だが、「戦中戦後の米の無い時代、どうやって駅弁を作ろうかとみんなで悩んだ場所」と思い入れは隠せない。
  写真集「静岡今昔100景」を監修したアマチュア写真家の海野幸正さん(83)=同市葵区=は「あの辺りで静岡市の原風景として思い出す建造物は東海軒と宝台橋。工事が始まる前に、もう一度写真に納めておきたい」と惜しむ。絵画教室で講師を務めるため付近のビルに通う男性(87)=静岡市駿河区=は「よく今まで使っているなと感心していた。子供のころからあった建物がなくなり、前を通るのが寂しくなるね」と話していた。
〈2007.02.19 静岡新聞夕刊〉※肩書き、表記は掲載日時点

「インパクトのあるおかずを」... 外部の声も生かす

 静清信用金庫が新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ取引先の飲食店や小売店の支援に力を入れている。テークアウトなどの購買運動に加え、職員の意見を商品開発に反映してもらうユニークな取り組みを展開。取引先の商品を紹介するサイトも近く立ち上げる。コロナの長期化により多くの業種で需要回復が見通せない中、息の長い支援で地域経済を後押しする。

東海軒の平尾清社長(中央)にアンケート結果を伝える静清信用金庫の担当者=8月下旬、静岡市駿河区
東海軒の平尾清社長(中央)にアンケート結果を伝える静清信用金庫の担当者=8月下旬、静岡市駿河区
 8月下旬、弁当製造販売の東海軒(静岡市駿河区)に静清信金の担当者が訪れた。持参したのは職員178人が弁当を食べた感想をまとめた満足度アンケート。好意的な意見が目立つ一方、「パッケージが中高年向け」「もう少しインパクトのあるおかずがあれば差別化を図れる」といった声も並んだ。
 地元企業を応援するプロジェクトの一環。本部でまとめて弁当を購入したところ、「職員の生の声を届けて商品の改良につなげてもらおう」との声が上がり、アンケートの実施を決めた。東海軒の平尾清社長は「商品の購入だけでもありがたいのに、消費者の立場から貴重な意見までいただけた。早速、経営会議で取り上げたい」と喜んだ。
 地元飲食店は多くが営業を再開したが、「売り上げはコロナ以前の水準まで回復していない」(甲野隆弘本店営業部長)。地域金融機関には取引先の苦境がダイレクトに伝わるだけに、職員を挙げて支援を継続する考えだ。
 今月中には飲食店などの店舗概要や一押しメニューをまとめたサイトも設ける。これまでは金庫内の情報共有にとどまっていたが、売り上げ回復をサポートするため500社程度を無料で掲載する。インターネットに不慣れな事業者にとっては新たな情報発信につながる利点もありそうだ。
 同金庫の山口豊経営相談部長は「新型コロナの影響は今なお続いている。取引先支援は金融機関の使命。今後も取り組みを続けていく」と話す。
〈2020.09.16 あなたの静岡新聞〉※肩書き、表記は掲載日時点

慰問活動は半世紀以上

 静岡市駿河区の弁当製造販売「東海軒」は6日、同市葵区の静岡老人ホームと隣接する静岡市救護所の利用者ら約140人に、一足早い年越しそばを振る舞った。

年越しそばが振る舞われた慰問活動=静岡市葵区の静岡老人ホーム
年越しそばが振る舞われた慰問活動=静岡市葵区の静岡老人ホーム
 同社が1968年から続ける慰問活動。食堂に集まった利用者らは「温まる」「おいしい」と口にしながら、出来たての天ぷらそばに舌鼓を打った。平尾清社長は「今年も開催できてうれしい。そばを食べて楽しいひとときを過ごしてほしい」と語った。
〈2019.12.07 静岡新聞朝刊〉※肩書き、表記は掲載日時点