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全国屈指の注目 衆院静岡5区

 19日公示、31日投開票が決まった衆院選。静岡5区は自民入りを目指す細野豪志氏と党県連が全面支援する吉川赳氏による現職同士の対決になる見込みで、立憲民主党新人小野範和氏が割って入ります。全国屈指の注目が集まる選挙区の攻防を追いました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

自民新体制で波紋拡大 くすぶり続ける党公認問題

 「次の選挙で勝利できなければ政界から引退する。厳しい環境を乗り越えたい」。自民党入りを目指す無所属現職の細野豪志氏は1日の会見で、過去7回と異なる立場で挑む衆院選へ覚悟を示した。

国会議事堂
国会議事堂
 選挙戦で抜群の強さを発揮してきた旧民主党政権幹部。同氏の野党離脱で衆院静岡5区の選挙区情勢は一変。与野党各支援組織が揺れ動いた。
 2017年の前回衆院選で結党メンバーとして立ち回った希望の党が18年5月に解党し、細野氏は無所属のまま、19年1月に自民二階派の特別会員になった。同3月に自民岸田派の吉川赳氏が繰り上げ当選。党公認問題がくすぶり続ける中、9月の菅義偉内閣の退陣とともに細野氏の後ろ盾とされてきた二階俊博氏が党幹事長を退任し、吉川氏が属する派閥の長、岸田文雄氏が総裁選を制して首相に就いた。党内情勢が激変する中、現職2人は4度目の対決に臨む。
 細野氏は、離れた野党支持者に代わる支持基盤の構築に向け、企業経営者らによる後援組織を相次ぎ設立。地元で影響力を残す元首長とも連動し、保守層を切り崩す。最近では比例票を求める公明党にも秋波を送り、連携を模索する。長年、細野氏を支える後援会幹部は「逆境を引き締めにつなげたい」と引退発言の真意を代弁する。
 細野陣営の攻勢に対し、吉川氏を支援する自民5区支部は3年弱の間に何度も「細野氏の入党拒否」を表明し、対抗姿勢を堅持してきた。吉川氏は菅内閣で内閣府政務官のポストを得て地元要望をつなぎ、総裁選や参院静岡選挙区補欠選挙と連動して自民候補としての“正当性”を強調する。補選告示日の7日に静岡入りした岸田首相にも同行。首相を囲む大勢の聴衆を見た支部幹部は「吉川が自民本流。悪い流れが断ち切れた」と話し、「公認は間違いない。比例重複立候補も認められるはずだ」と期待する。
 現職対決に割って入る立憲民主党新人小野範和氏は街頭活動を継続する。参院補選の党推薦候補と行動を共にし、自らの浸透と政権批判票獲得を目指す。ただ、小野氏を推薦する野党最大の支持団体、連合傘下の労働組合の足並みはそろっていない。5区内は国民民主党を推す旧同盟系労組が大半なのが実情。ある労組幹部は「裏切った細野氏を推せないが、共産と共闘姿勢の立民とはどうしても距離がある」と明かす。細野氏から離れ、浮遊する労組票を小野氏が獲得できるかが当落に影響しかねず、吉川陣営も労組票の行方を注視する。
 諸派新人の千田光氏は独自の戦いを展開する。
 
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 立候補予定者
 細野豪志 50 無所属現⑦ (元)環境相
 吉川赳 39 自民現② (元)内閣府政務官
 小野範和 48 立民新 (元)銀行員
 千田光 43 諸派新 土木工事会社社長

 立候補予定者は10日現在、調整中を含む。氏名は敬称略、本名。芸名や旧姓などが通用している場合は通称名。年齢は10日現在の満年齢。名簿の並べ方は①当選回数②現元新③衆院勢力―の順
 〈2021.10.10 あなたの静岡新聞〉

二階派細野氏の入党拒否を申し入れ 自民党県議と市町支部長

 自民党の岸田文雄総裁を支える新執行部が1日、発足した。歴代最長となる5年超を務めた二階俊博前幹事長の交代は、岸田派の自民現職吉川赳内閣府政務官と、二階派に所属し自民党入りを目指す無所属現職の細野豪志元環境相がしのぎを削る静岡5区の攻防に波紋を広げている。

細野豪志元環境相の自民党入党を拒否するよう自民県連に申し入れる自民党静岡5区各支部の支部長ら=静岡県庁
細野豪志元環境相の自民党入党を拒否するよう自民県連に申し入れる自民党静岡5区各支部の支部長ら=静岡県庁
 静岡5区内の自民党の全県議と市町支部長が同日、県庁で顔をそろえた。「細野氏の入党について断固拒否し、吉川氏を支援することを確認する」。支部長らは自民県連の野崎正蔵幹事長に細野氏の処遇について申し入れた。同様の要望はこれで3度目。5区選対本部幹事長の和田篤夫県議は「細野氏が二階派に所属していることで自民党に入ったと勘違いしている有権者がいる。岸田新総裁が誕生し、衆院選も近い。改めて『5区自民は吉川』と発信する必要性を感じた」と話した。
 当選7回を数える細野氏は、希望の党が解党した2018年5月に無所属となり、19年1月に二階派の特別会員になった。細野氏は選挙に勝って自民入りする青写真を描いているとされるが、吉川氏が同年3月に繰り上げ当選したことで5区に現職が2人となり、選挙区事情は複雑化した。
 二階氏の存在も選挙区に影を落とした。公認など選挙を仕切る現職幹事長の影響力は絶大だ。5区の党関係者も「どこかで(吉川氏が)公認されないのではないかと不安があった」と打ち明ける。そこに二階氏の退任と岸田氏の総裁就任が重なり「追い風だ」と吉川氏の陣営関係者は意気上がる。
 吉川氏は静岡新聞社の取材に「(自分が5区支部長であり)公認問題は存在しないという認識は変わらない。新執行部は地元の声に耳を傾けてくれると考えている」と話した。
 ただ、自民党には同じ選挙区で2回以上続けて敗れ、比例復活した場合は原則として比例重複立候補を認めないとする内規がある。あくまで原則だが、細野氏に3連敗中の吉川氏にとって重複が認められるかどうかは公認以上に気がかりな問題といえる。
 一方の細野陣営は衆院選の勝利で状況の打開を目指す。細野氏が自民入りを目指すと表明したことで支援を決めた自民支持者も一定程度いるという。陣営幹部は「岸田新体制で自民入りが難しくなるかもしれないが、吉川氏を比例復活させないぐらいに圧倒的な大差で勝つしかない」と前を向いた。
 細野氏は1日、報道各社の取材に「(自民党入党を目指す姿勢は)変わらない。地元の有権者に身を託す。まずは選挙で結果を出す」と述べた。その上で「次の選挙で勝利できなければ政界から引退する」と決死の覚悟を示した。
 静岡5区には立憲民主党新人の小野範和氏と諸派新人の千田光氏も出馬の意向を示している。
 〈2021.10.02 あなたの静岡新聞〉

二階氏、細野氏支援を明確に示す 過去の政治資金パーティーで発言

 自民党の二階俊博幹事長は11日(※2019年11月11日)、沼津市内で開かれた無所属の細野豪志氏(衆院静岡5区)の政治資金パーティーに出席し、次期衆院選に向けて「政治は1人の力ではできない。(細野氏の)応援をしっかりと頼む」と支援する姿勢を明確に示した。

細野豪志氏の政治資金パーティーで登壇した自民党の二階俊博幹事長=沼津市内
細野豪志氏の政治資金パーティーで登壇した自民党の二階俊博幹事長=沼津市内
  二階氏は旧静岡2区選出の衆院議員で建設相などを務めた故遠藤三郎氏の秘書だった。二階氏は遠藤氏への思い入れを語った上で「細野という政治家がこの地を引き継ぐ。微力ではあるが(当時からの)知り合いを結集し、細野の陣営にはせ参じることを約束する」と述べた。
  細野氏は無所属のまま、今年1月に二階派入りし、7月に自民党の衆院会派に入った。一方で、吉川赳氏(衆院比例東海)が支部長を務める党衆院静岡5区支部は同月、県連を通じ、細野氏の入党に反対する旨の申し入れを二階幹事長に行っている。
  細野氏はパーティー終了後、取材に「二階先生にとって強い思いがあるこの選挙区(5区)を託すと言われた。重く受け止めている」と述べた。
  次期衆院選に向けた党内の候補者調整については「二階先生に任せるしかない」とした上で「自分がこの選挙区で戦うことは決めてある。変わる選択肢はない」との考えを改めて示した。自民入りに対する支援者の反応については「これまで縁のなかった方々にも来てもらっている。新たな(支援する)会も相当数立ち上がっている」とした。
〈2019.11.12 静岡新聞朝刊 ※肩書、表記などはいずれも当時〉

私服姿で候補者3氏が討論 政治への思いも熱弁

 全国的にも注目を集める次期衆院選静岡5区の立候補予定者3氏を招いた「公開討論会」が12日(※2020年12月12日)、富士市内で開かれ、無所属の細野豪志(静岡5区)、自民党の吉川赳(比例東海)の現職2氏と、立憲民主党新人の小野範和氏が一堂に会した。

クイズ形式のパネル討議を通じて若者と意見を交わす衆院静岡5区立候補予定者=富士市内
クイズ形式のパネル討議を通じて若者と意見を交わす衆院静岡5区立候補予定者=富士市内
 同市の「富士山わかもの会議ver.2020」が若者の政治への関心を高めることを狙いに企画した。私服姿で登場した3人は自身のファッションなどを含めて自己紹介。グループワークで若年者の低投票率などについて意見を交わした。人柄を知るためにクイズ形式のパネル討議も行われた。
 3氏が政治への思いを語る場面もあった。吉川氏は「政治はきれい事だけでは済まされず、政治家には曲げてはならない強い意思や信念が必要と信じる」と述べた。細野氏は「安全保障で考えの違う人との政治活動は難しく、ことを成すために政策や理念を変えずに立場を変えた」と自身の立場を伝えた。小野氏は「政治を人々にぬくもりを与えられるものにしたい。一人一人の魂を救うつもりで政治に取り組む」と語り掛けた。
 〈2020.12.13 あなたの静岡新聞〉