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9月30日 編集長セレクト

 おはようございます。きょうで9月も終わりですね。新総裁が決定し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されます。10月も大きく社会が動きそうです。
 知る・見る・学ぶ記事まとめ〈知っとこ〉は今日も4回更新を予定しています。この時間は、私の注目記事を4本セレクトしてお届けします。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉

岸田新総裁誕生 盟友、故望月義夫氏の悲願実現【自民総裁選】

 自民党の岸田文雄新総裁誕生には、1人の政治家の存在が欠かせなかった。参謀役として20年以上にわたり岸田氏を支えた故望月義夫元衆院議員。盟友の晴れ姿を見ることなく、2019年12月、病気のため志半ばで亡くなった。当時を知る関係者は「よっちゃん(望月氏)は本当に喜んでいると思う」としみじみと語った。

岸田文雄氏(右)と岸田派所属議員の当選を喜ぶ生前の望月義夫氏。派閥事務総長として会長の岸田氏を支えた=2013年7月、東京都内(深沢陽一事務所提供)
岸田文雄氏(右)と岸田派所属議員の当選を喜ぶ生前の望月義夫氏。派閥事務総長として会長の岸田氏を支えた=2013年7月、東京都内(深沢陽一事務所提供)
 岸田氏の総裁就任は望月氏の悲願だった。関係者によると、望月氏は1996年の初当選から間もなく、1期上の岸田氏の資質をいち早く見抜いた。「将来の総裁候補だ。絶対にあなたを推す」。こう宣言し、支え続けた。岸田氏が派閥会長に就任後、望月氏は事務総長に。環境相時代を除き、亡くなるまで参謀役を務めた。
 しかし生前に願いはかなわなかった。「首相になる姿を見られなくて残念だ。支えられず申し訳ない」。望月氏は死去の直前、見舞いに訪れた岸田氏へ無念の思いを伝えた。国会内の岸田事務所には望月氏の菩提(ぼだい)寺・龍華寺(静岡市清水区)から届いた必勝祈願の札が飾られている。
 岸田氏は昨年の総裁選で望月氏の墓前に必勝を誓ったが、菅義偉首相に大差で敗れた。「望月氏さえ生きていれば」。党内で派閥を超えて幅広い信頼を築いた望月氏の不在を悔いる声が上がった。
 細田派の事務総長として望月氏と派閥間のやりとりをしていた塩谷立氏(衆院静岡8区)は「親身に岸田氏を支え一番頼りにされていた。(岸田総裁が実現し)本当に良かった」とし、岸田派の上川陽子氏(同1区)も「本当に喜んでいるだろう」と思いをはせた。望月氏の次女で県議の香世子氏は「父の代から応援していた岸田氏が総裁に選ばれ感慨深い。活躍を祈念している」と期待した。
 

沼津・内浦の名物コロッケ復活 閉業総菜店の味、有志が継承

 沼津市内浦地区で長く愛され、昨春閉店した総菜店のコロッケが1日、復活する。同地区の有志が準備を進め、地元愛を込めた新たな地域の名物としてアピールしていく。メンバーは「地元に愛された味を守り、地域の盛り上げにもつなげたい」と意気込んでいる。同地区の飲食店で販売を開始する。

中村さん(手前左)の店の味を引き継いだコロッケ「ラブパンチ」=沼津市内浦三津
中村さん(手前左)の店の味を引き継いだコロッケ「ラブパンチ」=沼津市内浦三津
 コロッケを扱っていた同市内浦三津の「惣菜のなかむら」は1978年の開業。コショウの効いたコロッケが名物で、約40年にわたって地元住民に愛されていた。日々のおかずとしてはもちろん、親戚や友人で集まったり出かけたりするときの定番として利用されていたという。
 近年は一緒に扱っていた干物販売の事業が多忙に。そのため徐々に総菜販売の比重を減らし、2020年春に総菜店としてののれんをたたんだ。
 「なかむらのコロッケを残したい」-。三津郵便局の山下清文局長(48)ら同地区の有志が、閉店の方針を知った19年秋ごろに、同店の味を引き継ぐ“内浦コロッケ”の開発を始めた。三の浦総合案内所の大村文子さんが同店の中村尚子さん(80)のアドバイスを受け、試行錯誤の末、メンバーが納得するレシピにたどり着いた。中村さんは「食べたいという要望に応えられずに心苦しかった。店の味を残してもらえてうれしい」と喜ぶ。
 完成したコロッケの名前は「ラブパンチ」。地元愛を表現したハート形で、同店の特徴だったコショウの効いた味を際立たせた。同市西浦地区などで生産された「あしたか牛」も材料に使った。山下さんは「パンチがあり、ビールにも合う大人向けの味。他では食べられないコロッケ。試してみて」と自信を見せる。
 「とさわや旅館」「やまや」「浜の家」「千鳥海館」の4カ所で販売する。価格は2個で500円(税込み)。

浜松城、国史跡の指定目指す 市が方針

 浜松市は29日の市議会9月定例会で、市指定史跡の浜松城(中区)について、国史跡の指定を目指す方針を明らかにした。徳川家康の居城として、観光名所にもなっている天守閣などに加え、2年前からの発掘調査で遺構が確認された二の丸御殿などの保存・活用に注力し、市のシンボルとして強化する。

浜松城公園長期整備構想区域
浜松城公園長期整備構想区域
 現在の天守閣は正確な図面がないまま、戦後の1958年に整備された。中村公彦文化振興担当部長は「他の遺構や出土品から、浜松城がたどった歴史的経緯を示せるようになった」と、国指定を目指す方針を固めた理由を説明した。
 これまでに、城の東側に当たる元城小跡地の発掘調査で、本丸の石垣や堀のほか、2代将軍徳川秀忠が誕生した屋敷跡との伝承がある「お誕生場」の遺構、藩政の中心施設だった二の丸御殿の礎石などを確認している。
 一方、市は2014年にまとめた浜松城公園長期整備構想で、二の丸御殿遺構がある公園東側を「にぎわいと交流ゾーン」と設定。老朽化した教育文化会館「はまホール」の休館に伴い、17年には後継となる市民文化創造拠点施設の候補地を同ゾーンとする基本構想を策定した。だが今年6月、北区に新たな音楽ホールが完成し、両構想は再検討が求められていた。
 二の丸御殿付近には大河ドラマ「どうする家康」が放送される23年に大河ドラマ館を仮設予定で、市の担当者は「国史跡の申請はその後になるのでは」との見方を示している。

 ■名誉館長として徳川氏に要請へ 大河ドラマ館設置
 浜松市は29日、2023年の大河ドラマ「どうする家康」の放送に向けて、浜松城公園(同市中区)に設置するドラマ館の名誉館長として、徳川宗家19代目の徳川家広氏に就任を要請する方針を示した。
 中村公彦文化振興担当部長は「徳川家に関する歴史文化の知見や発信力があり、本市で多くの事業に携わっていただいた」と述べた。市はかつてシティプロモーション顧問を委嘱していたが、徳川氏は19年の参院選静岡選挙区出馬に伴い、顧問を辞退した。

25人新規感染 29日の静岡県内、病床使用率一桁【新型コロナ】

 静岡県内で29日、新たに25人の新型コロナウイルス感染が確認された。病床使用率は8・7%、重症者用が9・7%で、ともに10%を下回った。県内の累計感染者数は2万6575人(再陽性者を含め2万6576人)。

静岡県内の新型コロナウイルス感染者(29日現在)
静岡県内の新型コロナウイルス感染者(29日現在)
 県によると、病床使用率が一桁になるのは昨年10月28日(6・9%)以来。重症者用は今年8月4日(3・9%)以来。
 富士市の事業所の寮で新たにクラスター(感染者集団)が発生し、従業員12人が感染した。
 静岡市は7人の感染を確認した。7月26日以来65日ぶりに、感染状況を示す六つの指標がいずれもステージ3(感染急増)を下回った。浜松市は1人の感染を発表した。
 県新型コロナ対策課は「第5波は落ち着いたと言えるが、緊急事態宣言の解除後の先行きは見通せない」と県民に感染対策の継続を求めた。
地域再生大賞