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高校野球秋季静岡県大会⚾注目校は

 来春の選抜大会につながる第74回秋季高校野球静岡県大会が11日、始まります。大会日程や注目校をまとめました。昨年の決勝戦も振り返ってみましょう。開幕前にぜひお読みください。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・安達美佑〉

出場枠拡大「37」初出場5校

 来春の選抜大会につながる第74回秋季高校野球県大会が11日、草薙など県内5球場で開幕する。大会は各地区を勝ち上がった36校に甲子園出場の静岡を加えた37校が出場し、上位3校が10月23日から愛知県で実施される東海大会に出場する。県独自の新型コロナウイルス警戒レベルが6の現段階では無観客で実施される。

 第1日は1、2回戦11試合が行われる。抽選会当日は未定だった残り2校の出場枠にはオイスカと掛川東が入った。今秋は出場枠が拡大したこともあり、初出場が藤枝北、静岡大成、科学技術、オイスカ、城南静岡の5校に上った。
 昨秋の県大会で4強入りし、21世紀枠で今春の選抜に出場した三島南は1回戦で島田と対戦する。植松-深瀬涼の昨秋からのバッテリーが盤石だが、稲木監督は「新戦力がどれだけ頑張れるか」をポイントに挙げる。このほか今夏の甲子園に出場した静岡や、新監督を迎えた東海大翔洋、浜松商なども初日に登場する。
 本県に発令されている新型コロナウイルス緊急事態宣言の期限が9日、月末まで延長された。これを受けて県教委から引き続き土日、祝日の部活動(練習)の中止が通達された場合は、3回戦(20日)以降の大会日程が変更される見通し。
〈2021.9.10 あなたの静岡新聞〉

組み合わせ決定 初戦で強豪同士の対決も

 来春の選抜大会につながる第74回秋季高校野球静岡県大会の組み合わせが6日、決まった。大会は11日に草薙など5球場で開幕し、10月2日に決勝と3位決定戦を行う。

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autumn2021

 地区大会で順位決定戦は行わず、上位8校と敗者戦に回った下位4校は、上位校、下位校のくくりで同列扱い。1、2回戦での同地区対決を避けた抽選の結果、初戦で強豪同士の対決も生まれた。夏の静岡大会4回戦と同じ浜松工-東海大翔洋を筆頭に、浜松開誠館-静岡商、磐田東-加藤学園、御殿場西-常葉大橘、桐陽-聖隷クリストファーなどで好勝負が期待される。
 7月末に静岡県独自の新型コロナウイルスの警戒レベルが上がり、県立校を中心に練習試合ができなくなった。各チームとも実戦不足で優勝争いは混戦必至。中でも静岡は練習試合なしで本番を迎えることになり、池田監督は「実戦形式の練習で、やれるだけの準備をし、大会の中で成長していくことを大事にしたい」と話した。
 中部で上位をうかがうのは、地区初戦で昨秋の覇者藤枝明誠に競り勝った静岡商や戦力が充実した静岡。静岡商は主戦大橋を軸に堅守が光り、静岡はタイプの異なる大型右腕3枚を擁する。西部は浜松工、掛川西に今夏の戦力が残る。浜松工は左腕太田、右腕細窪が前チームからの主力。掛川西は河原崎、狩俣ら今春の東海優勝メンバー5人がそろう。
 東部は御殿場西、加藤学園などが上位候補。御殿場西は最速137キロの左腕エース藁科が伸び盛り。加藤学園は昨秋のエース石山が夏前の故障から復帰した。今春の選抜出場バッテリーが残る三島南、経験豊富な右腕土屋が引っ張る桐陽、得点力がある日大三島なども注目される。

 ■コロナ禍で変則日程
 緊急事態宣言の発令を受け、静岡県教委は県立高の土日、祝日の部活動を中止としたため、県高野連は変則的な大会日程を組んだ。前日に部活動(練習)ができない日曜の試合を避け、予備日とした。
 県高野連の高橋和秀会長は「このような状況下で公式戦だけでもできることに感謝しなければ。制限がある中でコロナ対策をしながら、子供たちに野球ができる喜びを味わわせたい」と話した。
 大会は本県独自の警戒レベルが6の現段階では無観客。レベル5で部員の家族らが入場でき、レベル4以下で一般客の入場が認められる。
〈2021.9.7 あなたの静岡新聞〉

昨年の静岡1位は藤枝明誠

常葉大菊川―藤枝明誠 1回表藤枝明誠、宮城(右)が先制のホームを踏む=草薙球場
常葉大菊川―藤枝明誠 1回表藤枝明誠、宮城(右)が先制のホームを踏む=草薙球場
 来春の選抜大会につながる第73回秋季高校野球県大会最終日は27日(※2020年9月)、草薙球場で決勝を行った。決勝は藤枝明誠(中部5位)が21安打16得点の猛攻で常葉大菊川(西部5位)を圧倒し、連覇を飾った。東海大会は10月24日に三重県で開幕する。

■21安打16得点 遅球対策 打線改善
 先発全員の21安打で16得点。強豪私学同士の決勝は、藤枝明誠打線が猛威を振るい、思わぬワンサイドゲームになった。光岡監督は「点差ほどの力の差はない」と謙遜するが、一瞬たりとも常葉大菊川に流れを渡さない完璧な勝利だった。
 明誠史上最強打線を誇った前チームに対しスター不在でスタートした新チーム。中部地区大会は5位に沈み、富士宮西との県大会初戦は打線が軟投派投手に苦戦し、わずか4安打と振るわなかった。そこで指揮官が取り入れたスローボール対策が、打力強化につながった。
 緩い山なりの球を逆方向に打つ練習を重ねたことで、打席で体が突っ込まなくなった。4安打2打点でけん引した宮城は「自分からボールに近づいてしまう癖がなくなった」。主砲川瀬も「内からバットが出る意識が付きフライアウトが少なくなった」と明かす。
 打線に勢いづけられた主戦小林はこの日も快投を続けた。連投の疲れも見せず「まっすぐの精度がいつもより良かった」と毎回の11奪三振。それでも「喜ぶのは今日だけ。東海までの1カ月をどう過ごすかが大事」と現状に満足しない。
 「ここがゴールじゃない」と川瀬も強調する。昨秋は加藤学園と同じ東海4強。だが明治神宮枠で選抜出場権を手にしたのは加藤学園だった。川瀬は「今度は自力で取りにいく」と力強く宣言した。


■常葉大菊川 大敗 監督「修正する」
 東海大会出場を決めている常葉大菊川が大敗した。送り込んだ5投手がコンパクトな振りで柔軟に対応する藤枝明誠の勢いを止められず、21安打を浴びて16失点を許した。石岡監督は「チームの完成度や個々の意識で点差以外にも強さを感じた」と完敗を認めた。
 16点差がついた最終回、3番川淵が右翼席に運ぶ2点本塁打を放ち、一矢報いた。前の打席までは相手左腕小林のスライダーに手を焼いて2三振を喫していた。代わった右腕松下から一発を放ち「甘い球が来たので狙い通りだった」と振り返った。
 センバツ出場への判断材料となる東海大会でこのような大敗をすれば命取りとなる。指揮官は「課題だらけになったが、屈辱と感じて修正するしかない」と立て直しを誓った。
〈2020.9.28 静岡新聞朝刊〉

浜松商野球部に異色経歴監督 元近鉄・高岸氏、ゴルファー経験も

 浜松商高硬式野球部は7月末、新監督に元プロ野球の近鉄に所属し、昨年11月から同校で外部コーチを務めていた高岸佳宏氏(63)を迎えた。静岡県の県立校で教職員でもOBでもないプロ出身の指揮官は異色。浜松商は11日、秋季県大会初戦(2回戦)で静岡大成と対戦する。

浜松商高野球部の監督に就任し、意欲を語る高岸氏=浜松市中区
浜松商高野球部の監督に就任し、意欲を語る高岸氏=浜松市中区
 高岸氏は兵庫県出身で社高を出て1976年に近鉄に入団。引退後に本県に移住し、プロゴルファーに転身した。監督経験はないが浜松リトルシニアでコーチを務め、高校時代の鈴木翔太投手(阪神、聖隷クリストファー高出)のトレーニングを指導するなど、科学的根拠に基づいた体づくりを専門とする。
 浜松市中区富塚町に6月に開設した野球部の寮で選手と生活をともにし、まずは来年3月までの契約で指導を担う。高岸監督は「人から言われて動くのではなく自ら考え、動く力を身に付け、しっかり野球と向き合うことから始めたい」と意欲を示す。
 2000年夏以来、甲子園から遠ざかっている名門にとって、異例の人事は危機感の表れ。同校野球部OB会の金子竜也常任理事は「“波風”の立つ人事だと思うが、教員とは違うアプローチで、大きな変革をもたらしてくれる期待感がある」と話した。
〈2021.9.8 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞