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〈 子どもの感染急増 教育現場困惑 〉

 静岡県で新型コロナウイルスの子どもへの感染が急速に広がっていることが県などのまとめで分かりました。夏休みが明け、学校や保育施設など子どもに関係する施設では、従来の機能と感染症対策をどう両立させるか対応に苦慮しています。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

静岡県内の子どもの感染、1カ月で6倍超 県東部の小学校、学年閉鎖相次ぐ

 静岡県内で8月下旬の1週間に新型コロナウイルスに感染した未成年者の数が1カ月前の6倍超に上ったことが、6日までの県などのまとめで分かった。全国的に指摘される子どもの感染急増が静岡県でも確認された。9月に入って学校が再開し、感染がさらに広がるとの懸念がある中、県東部で学年閉鎖などが相次いだ。学びの空間で感染力の強いデルタ株の広がりをどう防ぐかが「第5波」収束の鍵を握る。

新型コロナウイルスに感染した静岡県内の未成年者数
新型コロナウイルスに感染した静岡県内の未成年者数
 「ここで食い止めるという思い。国の指針を基に学校と協議して判断した」
 町内の小学校1校で児童数人の感染が分かり、複数学年を閉鎖した長泉町教委。江本光徳専門監は文部科学省が8月末に示した閉鎖基準に触れつつ、迅速に対応した経緯を説明した。当該校は6日に予定通り授業を再開した。三島市でも小学校1校で複数の児童が感染し、6日まで5日間の学年閉鎖とした。出席できない児童にはオンラインで学習機会の確保を図ったという。伊東市の学校でも1学級が閉鎖した。
 県内で8月21~27日に感染した未成年者は779人に上り、7月下旬1週間の123人の6・3倍。同様に急増した成人の伸び率6倍弱を上回った。6月下旬1週間の未成年感染は24人だった。
 県内は8月末以降、爆発的な感染拡大が減少傾向に転じた。県は学校から地域社会への感染抑制がリバウンド(再拡大)を阻止する一つの分水嶺(れい)とみる。
 学校現場は既に手洗いや清掃、消毒、換気、座席の配置など感染対策が徹底されている。このため、行政関係者や感染症専門医は「授業時の感染リスクは低い」との見解でおおむね共通している。県幹部は、従来の学校関連クラスターで見られた感染経路を念頭に「給食など飲食時の会話や部活動、学校帰りの遊びなどでウイルスが拡散する恐れがある」と警戒を呼び掛ける。
 〈2021.9.7 あなたの静岡新聞〉

保育施設 登園自粛求める動き広がる 幼児のコロナ対策に限界も

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い保育施設でクラスター(感染者集団)の発生が相次ぐ中、静岡県内では感染対策として市町の判断で登園自粛を求める動きが広がっている。国は緊急事態宣言下でも原則として通常通りの開所を求めるが、乳幼児の感染対策は限界があり、園独自に自粛を要請するケースが出るなど、現場は対応に苦慮している。

園内に入る前に、昇降口で手指を消毒する保護者=8月下旬、静岡市駿河区の私立保育園
園内に入る前に、昇降口で手指を消毒する保護者=8月下旬、静岡市駿河区の私立保育園
 緊急事態宣言中の登園自粛を呼び掛けているのは富士、焼津、掛川の各市や長泉町など。焼津市で約240人を預かる市立大井川保育園では現在、登園する園児が半数程度になっている。海野恵美子園長は「大半の保護者に仕事がある中、ありがたい。トイレや手洗いも混まず、比較的密にならない保育ができている」と話す。
 一方で、通常運営の自治体もある。静岡市は緊急事態宣言の発令に際し、保護者に登園自粛を求めないと通知した。ただ、「通常保育では感染対策が難しい」(市内の保育園関係者)として、園が独自に利用自粛や利用時間の短縮を求める動きも出ている。
 同市の私立こども園では、保護者に可能な限りの家庭保育を求めている。感染状況の悪化で協力する家庭は増えているものの、園長は「独自の要請では、利用は大幅には減らない」と感じている。
 昨春の緊急事態宣言では、全国一斉の登園自粛要請で県内でも登園する園児は減った。市内の別の保育園関係者は「今は当時と比較にならないほど感染状況が悪いのに、ほぼ全園児が登園し、対策は取りにくい。どうしても必要な家庭向けの保育を維持するためにも、公の自粛要請が必要では」と訴える。
 市町が要請した場合は、自粛すれば保育料や給食費が返還されるケースがあり、保護者にはメリットもある。市の要請に沿って登園を自粛している富士市の保護者(38)は「幸い家庭で保育できる環境にある。登園させるのに不安があり、市の要請にはほっとした」と話す。
 他方で、要請に応えられない保護者は複雑な思いを抱える。同市で2人の子どもを保育園に預けるパート勤務の女性(33)は「要請の必要性は理解できる」としつつ、「できれば休ませたいという思いはあるが、仕事もあり、コロナで祖父母を頼るのもはばかられる。自分としては預ける以外の選択肢がない」と胸の内を明かす。   
 〈2021.9.7 あなたの静岡新聞〉

保育施設の感染対策 判断、園任せ 現場の負担重く

 保育施設での新型コロナウイルス感染対策について、国は本年度中の指針策定を目指しているが、現在は園ごとの判断に任されているのが実情だ。各園は手指消毒や換気、体調管理の徹底など一般的対策を基本に、給食の提供方法を工夫したり、集団活動を控えたりして対応している。

 ただ、感染対策は規模や施設の広さによって限界があり、「施設が狭く、食事の際のパーティション設置や場所の分散は困難」という施設も。「黙食」や人との距離の確保も「幼児に徹底は難しく、あまり強く言うのは子どもにも保育士にもストレス」との受け止めがある。自由な触れ合いが制限されることで、「子どもの健全な発達を阻害しかねない」と懸念を示す保育関係者も多く、感染対策と適切な保育との両立は悩みの種だ。
 静岡市駿河区の私立保育園は、保護者の送迎時の体温をチェックし、家庭内に体調不良者がいれば登園を控えるよう求めるなど“水際対策”を対策強化の中心に据える。園長は「子どもの生活はできるだけ変えず、伸び伸び過ごさせたい」と強調する。
 国や行政、環境充実を
 保育施策に詳しい県立大短期大学部・松浦崇准教授の話 保育現場は平時から人員配置や面積の基準が不十分で、コロナ対応は大きな負担。国の支援も不足し、対策は自治体や現場任せで、現場で役立つ指針や情報も乏しい。国や行政は「子どもの育ちを保障する」観点から、保育環境の充実に努めるべきだ。
 〈2021.9.7 あなたの静岡新聞〉

静岡英和女学院中・高 全生徒対象にオンライン授業 教員、自宅から指導も

 新型コロナウイルスの収束が見通せない中、静岡市葵区の静岡英和女学院中・高は1日から、全校生徒を対象にオンライン授業を行っている。生徒の理解度を確認する難しさがある一方、感染リスクを軽減し、場所を選ばないオンライン授業の利点も明確化しているという。鈴木秀直教頭は「安全安心を守る措置だが、新しい授業の形の研究にもつなげていきたい」と話す。

ビデオ会議システムを活用して行われる英語の授業=静岡市葵区の静岡英和女学院中・高
ビデオ会議システムを活用して行われる英語の授業=静岡市葵区の静岡英和女学院中・高
 同校は緊急事態宣言を受け、夏休みを8月26日から31日まで延長。始業後はホームルームや礼拝、授業、面談などをビデオ会議や学習支援、連絡用のアプリを使ってリモートで実施している。昨年の4~6月にオンライン授業を実践した経験や多くの研修によって教員の対応力が向上しているといい、一部は自宅から授業を行う。
 6日に行われた中学1年の英語の授業では、教員と生徒がビデオ会議システムでコミュニケーションを取った。生徒は家庭の端末などから参加し、英語で質問し合うペアワークなどに取り組んだ。鈴木教頭は「感染防止のため対面授業で避けがちになるペアワークやグループワークを積極的に取り入れられることはオンライン授業の強み」と指摘する。同校はリモート環境下でどうテストを実施するかなどの研究を進めている。
 通常の対面授業の再開時期は、新型コロナの感染状況などを鑑みて検討するという。
 〈2021.9.7 あなたの静岡新聞〉