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森のカスタード 果物「ポポー」って何?

 最近よくニュースで目にする果物の「ポポー」。北アメリカ原産で、濃厚な甘みやなめらかな食感から「森のカスタードクリーム」とも呼ばれます。どのような果物なのか、まとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉

果実「ポポー」のかき氷人気 静岡に期間限定で開店

 北米原産の果実ポポーを使ったかき氷を販売する「ポポーカフェ」が静岡市清水区増のイチゴ農園ストロベリーフィールド内に期間限定で開店し、人気を集めている。同区の果樹園「ファーム池の沢」がポポーの魅力を広めようと企画した。土日祝日のみの営業で9月26日まで。

期間限定で販売中のポポーを使った生シロップのかき氷=静岡市清水区増のポポーカフェ
期間限定で販売中のポポーを使った生シロップのかき氷=静岡市清水区増のポポーカフェ
 ポポーは華やかな香りと舌触りの良さ、濃厚な甘みが特徴で「森のカスタードクリーム」と評される高級フルーツ。同市では同区茂畑で望月史さん(63)と路代さん(57)夫婦が2008年から栽培を始め、今では果樹約200本が並ぶ。
 5月、息子の周さん(30)がポポーを特産品としてさらに広めていくために「まず味を知ってもらおう」と夏向けにかき氷用生シロップ開発を始めた。各店を食べ歩いたりシロップの糖度を測定したりと調査を重ね、氷に良く浸透するクリーム色のシロップに仕上げた。高校の先輩が営むイチゴ農園のカフェをオフシーズンの間借りて早速販売を始めた。
 ポポーのかき氷は税込み千円。同店ではそのほか、ポポーを使ったドリンク、イチゴやメロンなどの手作りシロップのかき氷なども販売し、ポポーが収穫期を迎える9月からは果肉の提供も計画している。
〈2021.8.23 あなたの静岡新聞〉

黄緑色の皮にオレンジ色の果肉 2014年、静岡市で量産化成功

 北米原産の果物「ポポー」の量産化に静岡市清水区興津中町の塗装業「池ノ沢工業」社長の望月史さん(56)が成功した。栽培開始から6年。まったくの畑違いの挑戦だったが、今年(※2014年)は2千個以上の収穫を見込む段階まで到達した。望月さんは「地域の新しい特産品にしたい」と張り切っている。

ポポーの生育状況を観察する望月史さん=静岡市清水区茂畑
ポポーの生育状況を観察する望月史さん=静岡市清水区茂畑
  ポポーはバンレイシ科の果物で、春に花を咲かせ、秋に黄緑色の実を付ける。アケビのような長楕円(だえん)形で、果肉は黄色や薄いオレンジ色をしている。甘みに富んだ濃厚な味わいが特徴で、「森のカスタードクリーム」とも称される。傷みやすく変色しやすいため、「流通が難しく、大規模な商業栽培をしている農家は全国でもあまりないと思う」と望月さんは話す。
  明治期に日本に持ち込まれ、望月さんの家でも約45年前まで栽培していた。幼心に「こんなにおいしい果物はなかった」と記憶し、50歳になったのを機に、同区茂畑に約30アールの農地を購入して、本格的な栽培を始めた。
  2年前に初収穫し、今年は約180本の木に約2500個の果実が付いた。収穫作業はこのほど始まり、10月中旬まで続く。
  望月さんは「ポポーは希少性が高く作物として魅力的。新しい清水の名物に育て、地域の農業を盛り上げたい」と意欲的だ。
〈2014.9.10 静岡新聞夕刊〉

難点の傷みやすさ、加工して解決 ポポーのビネガー商品化

 北米原産の果物ポポーを栽培する静岡市清水区の果樹園ファーム池の沢が、販路拡大に向け加工品の開発に力を入れている。ポポーは傷みやすく、生で食べられる期間が短いのが難点だったが、園主親子で活用の幅を広げるべく知恵を絞り、ポポーを使用したビネガーを商品化した。 

ポポーを使用したビネガーを持つ望月周さん=静岡市清水区
ポポーを使用したビネガーを持つ望月周さん=静岡市清水区
  ポポーの栽培は主に同果樹園の望月史代表(61)が行い、加工品の企画は息子の周さん(28)が担う。ポポーは収穫して3日ほどで黒ずんでしまい、生食できるのは約1か月間。今まで収穫分の約20%は廃棄していたという。周さんは、ポポーを自分の子ども同然に育てる史さんが泣く泣く果実を捨てているのを見て、加工品の開発に着手した。
  2017年から18年にかけての1年間、世界を旅した周さん。米国やオーストラリアで、ポポーが高い栄養価から「美容のフルーツ」として認知されていることを知ったという。帰国後、20~30代の美意識の高い女性をターゲットにしたビネガードリンクの開発に踏み切った。酢や砂糖の種類を変えて数パターンを試し、ポポーのうまみを引き出すリンゴ酢と蜂蜜を合わせたビネガーを完成させた。9月下旬からインターネットで販売を始めている。
  ポポーは市のふるさと納税の返礼品にも採用されている。周さんは「清水と言えばポポーと言ってもらえるよう、認知度を上げていきたい。親子でがんばっていければ」と意気込んだ。
〈2019.10.18 静岡新聞朝刊〉

沼津でも栽培 畑持つ相磯さん「機会あれば一度味わって」

 沼津市西浦木負の相磯武文さん(79)の畑で、濃厚な甘みやなめらかな食感から「森のカスタードクリーム」と言われる北米原産の果物「ポポー」が収穫期を迎えた。畑や庭で育てる約10本が黄緑色の実をつけた。9月中旬までに約200個の果実の収穫を見込む。

収穫期を迎えたポポー=沼津市西浦木負
収穫期を迎えたポポー=沼津市西浦木負
 相磯さんは、木が枯れてしまったり、実がならない年もあったりと苦戦しながら、長年ポポーを丹精してきた。「収穫期は半月ほど。日持ちもしないため、食べられる時期は短い。機会があったら、一度味わってほしい」と話した。
 同市西浦木負の飲食店「海のステージ」では、収穫されたポポーを使った期間限定メニューを提供している。
〈2021.8.29 あなたの静岡新聞〉
 
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