知っとこあなたにおすすめ

〈 コロナ下の防災 改めて備えを 〉

 9月1日の「防災の日」を含む8月30日から9月5日までの1週間は「防災週間」です。静岡県内各地で行われる総合防災訓練は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、多くの市町が訓練の中止や延期を決めました。個々人で、台風、豪雨、地震など災害について認識を深め、コロナ下を踏まえた備えを見直したいですね。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・安達美佑〉

浜松、沼津は「防災の日」に訓練実施

 「防災の日」の1日、浜松、沼津両市は総合防災訓練を行った。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、例年より訓練規模を縮小するなど感染防止対策にも注意を払いながら大規模災害発生時の対応を確認した。

浜松市防災情報システムで被害状況などの共有手順を確認する市職員=1日午前、市役所
浜松市防災情報システムで被害状況などの共有手順を確認する市職員=1日午前、市役所
 浜松市は自衛隊や警察など外部機関は参加せず、市職員だけで最大震度7の地震を想定して訓練を実施した。密を避けるため、市役所危機管理センターや各区役所など19カ所をビデオ会議システムで結び、防災情報システムで被害状況などの情報を共有した。職員約5400人には安否や出勤可否の確認メールを送った。
 鈴木康友市長は幹部職員を集めた災害対策本部会議で「大規模災害は初期対応が重要。日ごろから一人一人が危機意識を醸成してほしい」と訓示した。
 沼津市は震度6強の大規模地震を想定し、市の事業継続計画(BCP)に基づく職員の対応訓練を行った。午前8時35分、庁舎内に緊急地震速報の試験放送が流れると、職員は机の下に身を隠して安全の確保を図った。
 各課は関係機関に電話連絡するなどして業務継続のための手順を確認し、警察や、ライフラインの電力、ガス会社などとの無線交信テストも進めた。芹沢一男危機管理監は「市民の安全を守るためにも、できる範囲で訓練はしておくべきだ」と意義を強調した。
 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、県や県内の多くの市町が訓練を中止、または延期した。
 〈2021.09.01 あなたの静岡新聞〉

総合防災訓練 多くの市町が中止や延期

 防災の日(9月1日)に合わせて県内各地で行われる総合防災訓練について、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、少なくとも19市町が訓練の中止や延期を決めたことが、31日までの静岡新聞社の取材で分かった。直前まで実施予定だったが、感染の急拡大で断念した市町が複数ある。一方、防災関係者の中には、できる範囲で取り組む大切さを指摘する声もある。

本部運営訓練で被災状況を情報収集する職員=29日、伊豆の国市役所(同市提供)
本部運営訓練で被災状況を情報収集する職員=29日、伊豆の国市役所(同市提供)
 伊東や富士、掛川など16市町は中止を決定し、静岡や磐田、裾野の3市が延期した。静岡市の担当者は「新型コロナの感染対策を踏まえた避難所運営訓練は必須だと考えていたが、感染状況が予想以上に悪化した」と語り、訓練内容を見直している。
 総合防災訓練はコロナ禍の影響で、昨年度も市町によって実施の判断が分かれた。藤枝市は前年に避難所運営訓練を行ったが、今年は中止に。「市民の安全を最優先した」と担当者。伊東市は自主防災組織(自主防)の役員を集めて避難所運営や初期消火の訓練を予定していたが、8月上旬のまん延防止等重点措置適用で取りやめた。
 一方、浜松市は1日に本部運営や職員参集の訓練に臨む。伊豆の国市は29日に本部運営訓練を行い、安否確認メールを医療関係者らに送って連携体制を再確認した。2019年10月の台風19号による被災経験から「災害はいつ発生してもおかしくない」(同市)として実施を決めた。
 県内各地の自主防の多くは訓練を中止、または延期したとみられるが、浜松市南区の遠州浜第2自主防災隊は5日に資機材の点検や冬場の防火啓発活動で巡回する経路の安全点検を行う。隊長の伊藤克郎さん(82)は「地域を守るには規模を縮小してでも継続することが大事」と強調する。
 昨年度、コロナ禍の避難所運営を訓練した静岡市駿河区の西豊田学区地域支え合い体制づくり実行委員会メンバーで、市障害者協会長の牧野善浴さん(64)は「訓練によって見えてくる課題がある。12月の地域防災訓練はそれぞれの地域で可能な範囲で実施してほしい」と話す。
 〈2021.08.31 あなたの静岡新聞〉

新型コロナ自宅療養想定「2週間分の備蓄を」 県呼び掛け

 静岡県は31日、防災の日(9月1日)に合わせた県民への呼び掛けを行い、従来、1週間をめどとしていた家庭での食料や水の備蓄について、自らや家族が新型コロナウイルスに感染した場合を想定し2週間程度の備えを求めた。

静岡県庁
静岡県庁
 県庁で記者会見した県の杉山隆通危機報道官は、軽症の感染者は自宅療養になるとした上で「防災と感染症対策を兼ね備えた生活必需品の備蓄が重要になる」と述べた。ハザードマップや自宅周辺の危険箇所を確認するほか、家族で自然災害を想定して避難方法や避難場所を話し合うよう呼び掛けた。
 県内で新型コロナに感染し自宅療養している人は3千人超になる。災害が発生すれば、各地で避難所に避難してくることが想定される。杉山危機報道官は「台風シーズンを控え対応を考えなければならない」と述べた。
 〈2021.09.01 あなたの静岡新聞〉

震災への関心低下進む 「津波てんでんこ」ご存じですか?

 東日本大震災から10年(※2021年3月)。静岡新聞をはじめ読者参加型の調査報道に取り組む全国の地方紙でつくる「ジャーナリズム・オンデマンド(JOD)パートナーシップ」は、震災の教訓を次代につなぐため「#311jp」プロジェクトを企画しました。みなさんからご回答いただいた防災意識アンケートの結果を紹介します。(NEXT特捜隊)

あなたは東日本大震災にどの程度、関心を持っていますか
あなたは東日本大震災にどの程度、関心を持っていますか
 防災意識アンケートからは、同震災への静岡県民の関心が、他県民に比べて低下している現状が浮かんだ。県民意識調査でも南海トラフ地震への関心が低下傾向で、専門家は「これまでの地震対策の自負があり危機感が薄れているのでは」と警告する。
 同震災への関心度を尋ねたところ、最も高い「5」を選んだ静岡県回答者は42・6%にとどまった。被災3県(岩手、宮城、福島)の75・9%と30ポイント以上差がつき、全国(被災3県と静岡県を除く)の51・1%に比べても、10ポイント近く低かった。

 静岡県の県民意識調査でも、南海トラフ地震(東海地震)への関心度を尋ねる問いで最高の「非常に関心がある」を選んだ人は、東日本大震災のあった2011年には63・8%だったが、19年は41・6%にまで下がった。
 県は県民の意識向上に向けて21年度、居住地域の実情を踏まえて参加者一人一人が自らの避難計画を作るワークショップをモデル地区で開く予定だ。
 静岡大防災総合センターの岩田孝仁特任教授は、静岡県は南海トラフ地震の震源域の真上に位置すると改めて強調。避難、建物の耐震化、ブロック塀の改修などの基本的対策について「地震発生時をリアルに想像し、自分がどれだけ対策を取れているか、見直してほしい」と呼び掛ける。
 JODアンケートは無料通信アプリ「LINE」などで各紙のフォロワーらに呼び掛けた。無作為抽出の世論調査ではない。40都道府県から1699人(うち静岡県は94人、被災3県は166人)が回答した。
 

■「津波てんでんこ」聞いたことない 静岡県34% 教訓の共有不十分

 

「津波てんでんこ」を知っていますか

 

家族がばらばらに逃げた後、落ち合う場所を決めていますか
 

 防災意識アンケートからは、東日本大震災の教訓が、全国で十分には生かされていない現状がうかがえた。
 同震災では、津波からは一人一人がてんでんばらばらに逃げろという三陸地方の教え「津波てんでんこ」が教訓として注目された。津波てんでんこを「聞いたことがない」人は被災3県(岩手、宮城、福島)で13.3%にとどまった。一方、静岡県で34.0%、全国(被災3県と静岡県を除く)では41.5%で、被災3県との間に差がついた。
 逃げた後の集合場所を家族で決めていない人は被災3県で51.8%、静岡県は58.5%、全国60.9%といずれも過半数を占めた。携帯電話の不通で連絡が取れず、再会に苦労した震災の経験が被災地も含めて生かされていないのが実情だ。
 災害時の避難場所を「知っている」人は被災3県92.8%、静岡県87.2%、全国85.3%といずれも高く、備えの意識は浸透していた。ただ居住地の災害リスクの把握に欠かせないハザードマップの内容を「理解している」は被災3県45.8%、静岡県は39.4%、全国36.7%にとどまった。
 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は「避難後の集合場所を決めておくことは震災の重要な教訓。津波てんでんこと一緒に浸透するのが理想だ」と指摘。ハザードマップの理解度が低いことに「避難所を知っていても、災害によっては対応していない可能性がある。マップできちんと確認してほしい」と注意を促す。
〈2021.03.09 静岡新聞朝刊〉