緊急事態宣言 暮らしに影響は
静岡県に緊急事態宣言が適用され、9月12日まで飲食店への休業要請などが行われます。緊急事態宣言は、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょう。改めて確認しておきましょう。
〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉
出勤者の7割削減 飲食店への休業要請…静岡県が5つの方針発表
静岡県は18日、新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を県庁で開き、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店への休業要請や、事業所の出勤者7割削減など緊急事態宣言の対処方針を決めた。百貨店の地下食品売り場など人が密集する可能性がある場所については、施設管理者に入場制限など入場者の整理を要請する。
百貨店やショッピングセンター、パチンコ店、スーパー銭湯など千平方メートル超の大規模集客施設に対し、入場者の整理を要請するほか、県有の観光施設について原則休館とする。
川勝平太知事は臨時記者会見で「人々の行動変容が必要」と訴えた。ただ、飲食店の休業要請の内容は重点措置に基づく「酒類提供の終日停止」と実質的に変わらない。大規模集客施設の入場整理も具体的な方法や規模は各施設に委ねた。学校への要請も休校措置は取らず、感染対策の徹底にとどめた。
〈2021.8.19 あなたの静岡新聞〉
静岡県立高の部活動休日中止 休校措置はなし
静岡県教委は18日、新型コロナウイルス緊急事態宣言の適用を受け、県立高の部活動を土日や祝日は中止とする方針を決めた。平日は、県独自の警戒レベルがレベル6に引き上げられた段階で定めた「自校内で少人数・短時間の活動」との制限を維持する。19日にも各校に通知する予定。夏休み明けの時差通学と合わせ、感染リスクの低減を図る。
時差通学は、全校生徒の1割以上が公共交通機関を使う学校を対象に、登校時間の繰り上げや繰り下げを行う。長沢由哉教育部長は学びの保障と感染症対策の両立に向け、「習熟度別などによる分散授業の活用を呼び掛ける。過去の事例を基に、部活動や飲食など学校生活で特にリスクが高い場面を周知したい」と説明した。
川勝平太知事は18日の記者会見で、「教育の機会を奪ってはならないため休校措置は求めない」としつつ、「子どもの接触が極力少なくなるよう、できるところではオンラインを利用してほしい」と呼び掛けた。
◆沼津市も市立小中の部活停止 一部公共施設は休館へ
沼津市は18日、新型コロナウイルス感染防止対策本部会議を市役所で開いた。緊急事態宣言の期間となる20日~9月12日には感染防止に向けて人流抑制や情報発信を強化するとし、市立小中学校の部活動中止、公共施設の休館や閉館時間前倒しなどを決めた。
公共施設は、午後8時閉館で市民限定の利用とし、予約受け付けを停止する。休館するのは、各地区センター▽沼津港水門展望施設「びゅうお」▽戸田はかま滝オートキャンプ場▽市民の森▽沼津御用邸記念公園▽歴史民俗資料館▽くるら戸田(市民窓口事務所除く)。市主催イベントは見直しまたは中止する。
市立小中学校では、対策を講じても感染リスクの高い学習活動は行わない。新型コロナに感染したり濃厚接触者になったりして長期間休む児童生徒には、オンラインでの学習指導で対応する。
頼重秀一市長は「時短営業など長期にわたり市民や事業者に制限をかけているが、新規感染者数は2桁台が続く。人と人との接触を控え、感染の機会を減らすようお願いしたい」と呼び掛けた。
〈2021.8.19 あなたの静岡新聞〉
大型商業施設、混雑回避へ準備急ぐ
政府が新型コロナウイルス緊急事態宣言の対象地域に静岡県を追加することを受け、県が18日に大型商業施設に要請した顧客の「入場制限」は混雑の目安、制限の方法など具体的な運用を施設側に委ねた。「どこまで混雑を回避すればいいのか」「夕方の混雑時が課題」。宣言期間となる20日が迫る中、県内の百貨店などは独自の基準や対応策作りに追われた。
ただ、同店が設定した混雑目安は「繁忙期の50%」と大まか。来店者数や混雑度は時間帯や売り場によって異なる。衣料品売り場などはコロナ禍の感染再拡大で客足が遠ざかっている。担当者は「入館を制限するほどの来客は見込みにくいのが実情だが、フロアごとに警戒するしかない」とモニターに表示された数字に目をこらす。
静岡伊勢丹(同区)や遠鉄百貨店(浜松市中区)も館内全体の入館客数の把握に努めてフロアごとに客数制限を行う方針。混雑が予想されるテナントでは従業員が待機列の整理などに当たる。
百貨店以外の商業施設も混雑回避へ対応を急ぐ。1階に人出で賑わう食品売り場などがあるJR静岡駅ビル「パルシェ」(静岡市葵区)を運営する静岡ターミナル開発の長谷川泰社長は「夕方の混雑時間を避けた来店の呼び掛けを検討したい」と思案する。新静岡セノバ(同区)はフードコートの席数を削減し、滞留時間の短縮につなげる。
同市中心街へ買い物に訪れた70代男性は「入場制限は仕方ないが、街の人流がどこまで抑制されるか疑問だ」と話した。
〈2021.8.19 あなたの静岡新聞〉
酒伴う飲食店休業要請 効果に疑問、戸惑いも
新型コロナウイルス緊急事態宣言発令の決定を受け、静岡県は18日、酒類やカラオケを伴う飲食店に宣言期間中(20日~9月12日)の休業を要請すると決めた。感染収束の見通しが立たない中、飲食店関係者からは先行きへの不安とともに、まん延防止等重点措置の内容と実質的に変化がないことに「本当に効果は出るのか」と疑問の声が上がった。
浜松市中区肴町の焼き肉店「肉のラク」の店主の松原博樹さん(44)は「お客さんからの問い合わせがある限りは営業したいが、休業せざるを得ないかもしれない」と頭を悩ます。協力金の大半は店舗の賃料に消えるという。7月下旬以降、飲食店以外でのクラスター(感染者集団)発生が目立つ。「飲食店の休業が本当に感染拡大防止につながるのか。県は封じ込めの道筋を示して」と訴える。
沼津市内では、7月28日に県から飲食店の営業時間短縮がいち早く要請されて以降、制限のある状態が続く。同市と三島市で飲食店を展開する「あした葉」の社長望月大樹さん(43)は「最初の要請の時点で9月まで伸びることは覚悟していた」という。ただ、県内の感染状況は悪化の一途をたどり、通常営業再開の見通しは立たない。望月さんは「9月中旬に再開できる希望はまだ捨てたくない」と語った。
〈2021.8.19 あなたの静岡新聞〉