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ワクチン副反応 若年層に出やすく

 新型コロナワクチンの接種が進んでいます。静岡県内でも高齢者の接種は7割超が2回目を完了し、現役世代に広がりつつあります。発熱、だるさ、頭痛といった副反応について周囲から聞いたりSNSで目にしたりして、不安に感じている方もいるでしょう。この時間の〈知っとこ〉はワクチンの副反応、現在の接種状況などについてまとめます。
 見る・知る・学ぶ記事まとめ〈知っとこ〉。次回は午後3時ごろに更新します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉

2回目接種後 20~40代は発現率90%超 聖隷沼津病院調査

 沼津市の聖隷沼津病院は3日までに、新型コロナウイルスワクチンの副反応について、接種を受けた同病院関係者を対象にしたアンケート結果をまとめた。副反応は2回目が1回目より3・7ポイント高い88・0%の人に現れ、症状も重くなる傾向が見られた。20~40代の若い世代ほど症状が出やすかった。

㊤接種後の主な症状 ㊦2回目接種後の副反応発現率
㊤接種後の主な症状 ㊦2回目接種後の副反応発現率
 同病院は4~5月、医師や看護師、清掃員など病院関係者約730人が米ファイザー製ワクチンを接種。このうち499人からアンケートを回収した。
 2回目の接種後の主な症状は、注射部位の痛みが71・7%(1回目77・5%)、37・5度以上の発熱37・1%(同2・8%)、だるさ62・1%(同27・3%)、頭痛40・3%(同14・9%)など。多くは接種日と翌日に発症し、数日で軽快したという。アナフィラキシーの発生はなかった。
 年代別の発現率は、20~40代が2回目で90%を超えた。50代が87%、60代以上は70%以下で、若年層ほど副反応が発現しやすいことが分かった。2回目後の37・5度以上の発熱は、20代が46%で最も高く、年代が上がるにつれ低下した。
 同病院の中里顕英呼吸器外科医長は「接種拡大で流行の勢いを抑える効果は一定程度期待でき、社会全体のメリットは十分にある」と考察する。一方で、「いまだ評価が定まっていない以上、接種を拒む人を責める風潮はあってはならない」と指摘する。
 〈2021.8.4 あなたの静岡新聞〉

解熱鎮痛にアセトアミノフェン 一時品薄の状況も

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、静岡県内をはじめ全国の薬局で「アセトアミノフェン」含有の解熱鎮痛剤が品薄になっている。副反応の発熱に備えた購入が拍車をかけているとみられ、薬局などの関係者は「ほかの成分の解熱鎮痛剤でも効果はある」と冷静な行動を呼び掛けている。

「アセトアミノフェン」の解熱鎮痛剤。全国的に品薄になっている=14日午後、浜松市中区の杏林堂薬局城北店
「アセトアミノフェン」の解熱鎮痛剤。全国的に品薄になっている=14日午後、浜松市中区の杏林堂薬局城北店
 アセトアミノフェンは副作用が少なく、妊婦や子どもでも安全に服用できるとされる。代表的な市販薬「タイレノールA」は高齢者ら一般へのワクチン接種が始まった今春以降、全国的に売り上げが急増した。
 県内で87店舗を展開する杏林堂薬局(浜松市中区)では、多くの店でタイレノールAが品切れになった。担当者は「5月に入ってから需要が急激に増えた。供給が不安定で入荷は未定」と説明する。同じくアセトアミノフェンのみの専売薬「セシオン解熱鎮痛薬AP」の販売を今月12日から始め、需要増に対応している。
 県新型コロナウイルス対策課によると、医療従事者への先行接種に伴う国の調査で37・5度以上の発熱者は接種翌日が35%、2日後が7%、3日後が1%確認された。副反応で発熱しても大半は1~2日で回復するケースが多いとみられる。
 県薬剤師会医薬品情報管理センター(静岡市駿河区)の大石順子所長は「アセトアミノフェン単体の薬が最適だが、もともと流通量が多くないため、手に入りにくい状態になっている」と指摘。「イブプロフェンやロキソプロフェンナトリウムなどの薬でも問題はない」と話す。処方薬では「カロナール」というアセトアミノフェンの調剤もあるという。
 県は副反応の相談窓口を設けるとともに、症状が重かったり長引いたりする場合は医療機関を受診するよう推奨している。
 〈2021.6.15 あなたの静岡新聞〉

割合急上昇「デルタ株」 ワクチン後も陽性者

 感染力が強く、新型コロナウイルスの流行“第5波”の主因とされるインド由来のデルタ株。静岡県は30日(※7月)、県内の感染者に占める割合が40%に上ったと明らかにした。前週からプラス12ポイントという大幅な上昇で、急速に置き換わりが進んでいる。県は「ワクチンを打っても感染する恐れがある。少なくとも8月は不要不急の外出を控えるなど人との接触機会を減らしてほしい」と県民に強く求めた。

静岡県内の新型コロナデルタ株の置き換わり
静岡県内の新型コロナデルタ株の置き換わり
 県内では6月から、コロナ陽性者の4割以上を抽出してデルタ株がどうかを調べる検査が行われている。デルタ株は6月末まで全体の0~3%で推移した後、7月9日まで2週間かけて11%まで上昇。その後、16日の週は28%に、直近23日の週は40%と加速度的に上がった。40%は全国並みの水準という。
 現在主流である英国由来のアルファ株は約1カ月半で従来株から入れ替わった。アルファ株と同じ程度のスピードで転換が進むと、早ければ8月中には完全にデルタ株に置き換わるとみられる。
 県内ではワクチンを2回接種した後でもデルタ株に感染した事例が確認されている。デルタ株クラスター(感染者集団)は30日時点で3件だが、県は今後さらに増えるとみている。
 県健康福祉部の後藤幹生参事はデルタ株の感染について「30~40代など比較的若い世代であっても、肥満や糖尿病、高血圧の人は重症化する傾向にあると臨床現場から聞いている」と指摘。重症化すると回復しても後遺症がある可能性があり、「社会的な損失が懸念される」と警戒感をあらわにした。
 〈2021.7.31 あなたの静岡新聞〉

 ■倉井医師「ワクチン接種後も継続を」
 静岡県東部でクラスター発生が相次ぎ、県内全域で感染者が急増していることを受け、県感染症対策専門家会議座長を務める県立静岡がんセンターの倉井華子感染症内科部長に、分析ととるべき対策を聞いた。倉井部長は、感染力の強い変異株への置き換わりと自粛疲れによる人流の増加が原因とし、ワクチン接種とともに感染対策の継続を求めた。
 ここ1週間、東部を中心に感染が広がり、少しずつ西にも影響が出始めている。7月以降の感染状況がこれまでと異なるのは、60代以上の感染者が減少し、30~50代や学校関連の若者のクラスターが増えていること。県内では(重症化しやすい)65歳以上の新型コロナウイルスワクチン接種率が6割を超えた。感染者数は増加しているが、重症者数の割合は低下し、ワクチンの効果が目に見えている。ただ、効果は100%ではない。接種後も感染対策を継続してほしい。
 感染者が増えた要因は、ウイルスが感染力の強い変異株に置き換わっていることや、自粛疲れで人流が増えていることなどが挙げられる。沼津市と下田市では飲食店でクラスターが発生した。飲食店クラスターの次は家族や身近な人に感染が続くため、しばらくは増加傾向が続くだろう。
 東部を中心に病床が逼迫(ひっぱく)し、県内は非常に厳しい状況だ。重症者の割合が減っているとはいえ、感染者数が増え続けるとコロナ患者以外の入院受け入れにも影響する。
 若者は重症化しづらいが、行動が活発で感染を拡大させやすい。自分と社会と医療を守る気持ちで行動し、積極的にワクチンを接種してほしい。
 〈2021.7.29 あなたの静岡新聞〉

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