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〈 コロナ拡大 静岡県東部の医療状況は 〉

 新型コロナウイルスの感染者が静岡県内で急増しています。特に東部で著しく、病床使用率は国が示す感染状況「ステージ4」(爆発的感染拡大)の基準となる50%を上回りました。東部の医療体制の現状をまとめます。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉

東部病床使用率50%越え 静岡県、コロナ病床確保要請へ

 新型コロナウイルスの感染が静岡県内で急拡大していることを踏まえ、川勝平太知事は8月1日、改正感染症法に基づき、コロナ患者の病床確保や転院を受け入れる後方支援の協力を静岡県内の病院に要請すると表明した。県病院協会などと調整し、今週中にも全ての病院に要請する。同法に基づく要請は静岡県として初めて。

静岡県内の病院に対して感染症法に基づく病床確保を要請する方針を示す川勝平太知事=1日午後、県庁
静岡県内の病院に対して感染症法に基づく病床確保を要請する方針を示す川勝平太知事=1日午後、県庁
 コロナ対策に関する全国知事会の緊急会合に県庁からオンラインで出席した後、記者団の取材に答えた。
 川勝知事は病床使用率が静岡県東部で50%を上回り、県全体でも30%を超えていると説明。病床逼迫(ひっぱく)について「度合いが非常に高くなっている」と強い危機感を示し、要請によって「9病院、60床の追加を考えている」と言及した。
 感染症法は2月に改正され、医療機関が正当な理由なく要請に応じない場合、都道府県がより強い「勧告」を行うことができ、医療機関名を公表することが可能になった。
 県によると、患者急増に備えて582床が確保されているが、要請によって630床程度まで増やしたい考え。要請に応じる医療機関には空床補償費の単価を増額させる。
 川勝知事は全国知事会の会合で「コロナで東京一極集中のリスクが改めて国民に認識された。新たな生活様式を前提とした取り組みを全力で進めないといけない」と述べ、首都機能移転を含めた分散型の国土形成の必要性を強調。都道府県別ワクチン配布数の早期明示や中小企業の資金繰り支援も要請した。
 〈2021.8.2 あなたの静岡新聞〉


 

既に「広域搬送」も 他地域へ患者運び、ひっ迫しのぐ

 静岡県内で28日(※7月)、新型コロナウイルスの1日の新規感染者が120人に上った。このうち感染拡大が続く東部地域は58人を占め、同地域の病床使用率は国が示す感染状況「ステージ4」(爆発的感染拡大)の基準となる50%に迫る45・3%。県は特に感染者が多い駿東田方圏域(沼津市や三島市など)と賀茂圏域(下田市や南伊豆町など)から患者を他の圏域に運ぶ「広域搬送」を行い、病床の逼迫(ひっぱく)をしのいでいる。

インド由来の新型コロナウイルス変異株「デルタ株」の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
インド由来の新型コロナウイルス変異株「デルタ株」の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
 県によると、27日までの1週間に実施した広域搬送は20件。症状が比較的重い、または重くなる兆候のある患者らを対象に、熱海伊東圏域や富士圏域の病院のほか、静岡市に搬送したケースもあった。症状が軽い患者は主に自宅や富士市の宿泊療養施設で療養する。
 県内はこれまで年末年始や5月の大型連休後などでも感染拡大を経験したが、今回のような規模で広域搬送が行われるのは初めて。今後も感染者が増えるたびに圏域をまたぐ移送は続く見込みだが、感染状況の悪化が県全体に及べば、受け皿は限られてくる。
 県健康福祉部の後藤幹生参事は「同じ医療圏内で受け入れ先を増やすことが理想だが、これ以上の病床確保は難しい」と指摘。その上で、「県民に改めて対策の重要性を認識してもらい、歯止めをかけるしかない」と話した。
 〈2021.7.29 あなたの静岡新聞〉 ⇒元記事

「生活維持以外、一歩も外出しないで」 強い言葉で警鐘

 静岡県内で31日(※7月)、過去最多168人の新型コロナウイルス感染が明らかになった。これまで最多だった1月10日の127人を大幅に上回り、感染拡大に歯止めがかからない。県は「生活維持に必要な場合以外は、一歩も外出しないでほしい」と、県民に向けて異例とも言える強い表現で行動制限を呼び掛けた。

感染対策の徹底を呼び掛ける県健康福祉部の後藤幹生参事=31日午後、静岡県庁
感染対策の徹底を呼び掛ける県健康福祉部の後藤幹生参事=31日午後、静岡県庁
 県内の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は初めて20人を超え、20・4人。国のステージ4(爆発的感染拡大)の目安となる25人が目前だ。県健康福祉部の後藤幹生参事は「その値に迫るかどうか。大変懸念している」と危機感をあらわにした。
 一方、全国の感染状況などから今後、25人を超えるとの見方も示した。感染状況が同程度になった場合、「コロナ患者に対する医療も通常医療も極めて逼迫(ひっぱく)してくる」とし、感染予防策の徹底を求めた。
 新規感染は31日、4日連続で100人を超えた。同日の公表を地域別にみると富士市21人、沼津市19人など県東部で多く、全体の半数以上を占めた。同地域の病床使用率は50%を超え、逼迫の度合いが増している。
 県は英国由来のアルファ株よりも感染力が強いインド由来のデルタ株が、感染者を大幅に増やしていると分析する。後藤参事は「同居家族以外とは会わないようにしてほしい。友人や親戚と関わるのは今しばらく控えてもらいたい」と、感染抑制に向けて理解を求めた。
〈2021.8.1 あなたの静岡新聞〉
 ⇒元記事  

新型コロナ感染対策「ワクチン接種後も継続を」 静岡県専門家会議座長・倉井華子氏

 静岡県東部でクラスター発生が相次ぎ、県内全域で感染者が急増していることを受け、県感染症対策専門家会議座長を務める県立静岡がんセンターの倉井華子感染症内科部長に28日、分析ととるべき対策を聞いた。倉井部長は、感染力の強い変異株への置き換わりと自粛疲れによる人流の増加が原因とし、ワクチン接種とともに感染対策の継続を求めた。

倉井華子氏
倉井華子氏
 ここ1週間、東部を中心に感染が広がり、少しずつ西にも影響が出始めている。7月以降の感染状況がこれまでと異なるのは、60代以上の感染者が減少し、30~50代や学校関連の若者のクラスターが増えていること。県内では(重症化しやすい)65歳以上の新型コロナウイルスワクチン接種率が6割を超えた。感染者数は増加しているが、重症者数の割合は低下し、ワクチンの効果が目に見えている。ただ、効果は100%ではない。接種後も感染対策を継続してほしい。
 感染者が増えた要因は、ウイルスが感染力の強い変異株に置き換わっていることや、自粛疲れで人流が増えていることなどが挙げられる。沼津市と下田市では飲食店でクラスターが発生した。飲食店クラスターの次は家族や身近な人に感染が続くため、しばらくは増加傾向が続くだろう。
 東部を中心に病床が逼迫(ひっぱく)し、県内は非常に厳しい状況だ。重症者の割合が減っているとはいえ、感染者数が増え続けるとコロナ患者以外の入院受け入れにも影響する。
 若者は重症化しづらいが、行動が活発で感染を拡大させやすい。自分と社会と医療を守る気持ちで行動し、積極的にワクチンを接種してほしい。