デルタ株 急拡大
静岡県内で新型コロナウイルス新規感染者数が3日連続で100人を超えました。感染力が強いデルタ株の拡大が要因とみられています。最新の情報や対策をまとめました。
〈静岡新聞社編集局TEAMNEXT・尾原崇也〉
病床使用率、東部50%超え 静岡県内 感染「第5波」顕著
静岡県内で30日、新たに新型コロナウイルス患者1人の死亡と121人の新規感染が確認された。3日連続の100人超えは初めて。直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は17・4人で、5月16日と並んで過去最多。インド由来のデルタ株が急拡大の要因とみられる。県は感染〝第5波〟について「かつてない規模の流行になる恐れがある」として警戒を強める。
県は伊豆市の飲食店で新たなクラスター(感染者集団)発生を確認した。このほか沼津市の事業所で起きたクラスターを県内3例目のデルタ株による集団感染に認定した。
県は30日、28日に公表した感染者1人を取り下げた。県内の累計感染者数は1万715人(再陽性者を含め1万716人)。
感染40%デルタ株、割合急上昇 静岡県「人との接触減らして」
感染力が強く、新型コロナウイルスの流行“第5波”の主因とされるインド由来のデルタ株。静岡県は30日、県内の感染者に占める割合が40%に上ったと明らかにした。前週からプラス12ポイントという大幅な上昇で、急速に置き換わりが進んでいる。県は「ワクチンを打っても感染する恐れがある。少なくとも8月は不要不急の外出を控えるなど人との接触機会を減らしてほしい」と県民に強く求めた。
現在主流である英国由来のアルファ株は約1カ月半で従来株から入れ替わった。アルファ株と同じ程度のスピードで転換が進むと、早ければ8月中には完全にデルタ株に置き換わるとみられる。
県内ではワクチンを2回接種した後でもデルタ株に感染した事例が確認されている。デルタ株クラスター(感染者集団)は30日時点で3件だが、県は今後さらに増えるとみている。
県健康福祉部の後藤幹生参事はデルタ株の感染について「30~40代など比較的若い世代であっても、肥満や糖尿病、高血圧の人は重症化する傾向にあると臨床現場から聞いている」と指摘。重症化すると回復しても後遺症がある可能性があり、「社会的な損失が懸念される」と警戒感をあらわにした。
デルタ株威力「別格」 浜松医療センター・矢野医師警鐘 感染力、従来の2倍
浜松市の感染症対策調整監で、浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師はデルタ株について「感染力が従来型の約2倍と強く、家庭内感染の多さや感染拡大のスピードが別格」と指摘する。
ワクチン接種が進んだ高齢者の感染や入院数が減る一方、若者の肥満者で重症化するケースが増えているという。今後の感染拡大については「慣れや気の緩みがある中で、どこまで人数が増えるか予測が付かない」と懸念を示した。
感染対策には、引き続きマスクの着用や身体的距離の確保が有効で、ワクチンの接種も推奨する。矢野医師によれば、米疾病対策センター(CDC)が発表した最新データで、新型コロナウイルスのワクチンはデルタ株に対しても重症化を防ぐ効果が確認された。2回目の接種後に感染する「ブレークスルー感染」をしても、周囲への感染力は抑えられることも明らかになったという。
矢野医師は「自分が感染源となることを防げる。ワクチンを打てる人は接種してほしい」と呼び掛けるとともに、同居家族以外との外食や旅行を控えるよう強く求めている。
緊急事態宣言、神奈川など6都府県に拡大 国内の感染連日1万人、最多更新
政府は30日、新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、感染が急増している埼玉、千葉、神奈川、大阪4府県への緊急事態宣言発令を決定した。北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県にはまん延防止等重点措置を適用する。いずれも8月2日から31日まで。宣言を発令中の東京都と沖縄県の期限も8月22日から31日に延長する。重点措置地域は酒類提供要件を厳格化する。国内の新規感染者は29日に続いて1万人超の1万743人となり、3日連続で過去最多を更新した。