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強豪光る 高校野球3回戦

 全国高校野球選手権静岡大会5日目は、3回戦16試合が県内8球場で行われました。サヨナラ勝ちの好勝負や強豪対決など見どころ満載の1日になりました。20日のダイジェストをお届けします。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉

 ⇒大会第5日の試合結果は速報ページでご確認いただけます

翔洋、掛川西、磐田南など4回戦進出

 第103回全国高校野球選手権静岡大会第5日は20日、草薙など8球場で3回戦16試合を行った。第5シード加藤学園が島田商に競り負け、第5シード桐陽は御殿場西との東部勢対決をサヨナラで制した。東海大翔洋と常葉大菊川によるノーシードの強豪対決は、翔洋の長村理央が初回に満塁本塁打を放ち、主戦鈴木豪太がリードを守った。磐田南は静岡市立との乱打戦を制した。第1シード藤枝明誠、第4シード静岡はコールド勝ちで4回戦進出を決めた。大会第6日は22日、草薙など4球場で4回戦8試合を行う。


20日の結果(3回戦)
▽あしたか球場
島田商3―1加藤学園
三島南3―1静岡商
▽富士球場
桐陽6―5御殿場西
知徳2―0静岡東
▽清水庵原球場
磐田南8―7静岡市立
浜松市立9―2藤枝西(7回コールド)
▽草薙球場
静岡7―0清水桜が丘(7回コールド)
富士市立7―1浜松北
▽焼津球場
藤枝明誠19―0池新田(5回コールド)
清流館11―2富士東(8回コールド)
▽島田球場
聖隷クリストファー5―1静岡大成
日大三島8―1横須賀(8回コールド)
▽掛川球場
掛川西9―4榛原
東海大翔洋5―2常葉大菊川
▽浜松球場
浜松工7―4浜松湖北
磐田東3―2島田

22日の試合(4回戦)
▽あしたか球場
島田商 ― 聖隷クリストファー
三島南 ― 富士市立
▽清水庵原球場
清流館 ― 掛川西
磐田南 ― 桐陽
▽草薙球場
藤枝明誠 ― 知徳
浜松市立 ― 静岡
▽浜松球場
浜松工 ― 東海大翔洋
日大三島 ― 磐田東

桐陽 サヨナラで16強 主砲・飯田雄、場外弾と決勝二塁打

御殿場西-桐陽 試合を決める一打を放った飯田雄(右から3人目)を迎える桐陽ナイン=富士球場
御殿場西-桐陽 試合を決める一打を放った飯田雄(右から3人目)を迎える桐陽ナイン=富士球場
 ▽3回戦(富士第1試合)
御殿場西 000100040―5
桐陽   000210201x―6
▽本塁打 飯田雄(桐)
▽三塁打 土屋(桐)▽二塁打 近藤、飯田雄(桐)
▽試合時間 2時間33分

 【評】桐陽がサヨナラで御殿場西を振り切った。
 桐陽は飯田雄の2点本塁打などでリードを奪った。八回、疲労が見えた先発土屋の制球が乱れて4点差を追い付かれたものの、九回、敵失から得た好機に4番飯田雄がサヨナラ二塁打を放った。
 御殿場西は終盤の拙守が響いた。

 主砲飯田雄 歓喜呼ぶ 場外弾と決勝二塁打
 2年生の4番飯田雄が、決勝の右越え二塁打と、右中間の場外2点本塁打の3打点で勝利を呼び込んだ。2試合6安打の頼れる主砲。サヨナラの瞬間、ナインは「ありがとう」と歓喜の輪に迎え入れた。
 敵失で得た九回1死一、二塁。「自分で決めてこい」と送り出された飯田雄は、高めの直球に反応した。打った瞬間、前進守備の右翼手の頭上を越えるのを確信。「決まった」と拳を握った。
 1点を追う四回1死二塁の場面では、内角の直球に狙いを定めた。振り切った打球は右中間の場外に消える逆転の一発になった。
 春季大会では7番を打っていた飯田雄。新井監督は「4番の方が向いている」。勝負強い打撃で中軸の仕事を果たしている。
 五回の守備では本塁を狙う走者を左翼から刺して同点を阻止。攻守にわたってチームを救った。「あと2本はホームランを打ちたい」。さらなる大暴れの予感を漂わせた。

強豪対決は東海大翔洋に軍配 初回満塁打で勢い乗る

常葉大菊川―東海大翔洋 初回に満塁本塁打を放った東海大翔洋の長村=掛川球場
常葉大菊川―東海大翔洋 初回に満塁本塁打を放った東海大翔洋の長村=掛川球場
 ▽3回戦(掛川第2試合)
常葉大菊川 001000010―2
東海大翔洋 40010000×―5
▽本塁打 長村(東)
▽二塁打 広瀬、小原(常)鈴木(東)▽暴投 鈴木(東)▽捕逸 斎藤(常)
▽試合時間 2時間45分

 【評】東海大翔洋のエース鈴木が常葉大菊川を相手に2失点完投し、序盤のリードを守り切った。
 東海大翔洋は初回、安打と四死球で満塁とし、長村の本塁打で4点を先制。四回は石上の適時打で加点した。
 常葉大菊川は三回に赤井の犠飛、八回に大石の適時打で追い上げたが、鈴木を最後まで攻略しきれなかった。

 ■強豪対決 価値ある一撃
 強豪校対決の勝負を分けたのは初回の一発だった。
 東海大翔洋の6番長村の本塁打にスタンドが沸いた。初回2死から回ってきた打席。「満塁だったから先制点がほしかった」。内角高めのスライダーをコンパクトに打ち返すと、打球は左翼フェンスをはるかに越えた。「ファウルかとも思ったが芯はとらえていた」。高校初の満塁本塁打。喜びを実感したのはダイヤモンドを一周した後だった。
 相手は打撃力のある常葉大菊川。原監督は「先制しないと試合を支配することはできない。長村の本塁打は安堵(あんど)の一発だった」と振り返る。完投したエース鈴木は試合前、長村に「今日は任せとけ」と言われた。常に笑顔のムードメーカー。「さすが、やってくれた。チームにいい雰囲気を持ってきてくれた」。心強い仲間のおかげで、落ち着いて丁寧な投球ができた。
 打撃練習に力を入れてきた長村。大きなヤマ場となった試合を乗り越え、「この流れのまま甲子園に行きたい」と力強く語った。

 ■昨秋準V常葉大菊川が敗退
 昨秋県大会準優勝の常葉大菊川が東海大翔洋のエース鈴木を打ち崩せず3回戦敗退。初回の満塁被弾が響き、追いつけなかった。
 思い切りの良いスイングで相手を上回る9安打を放ったが、好機で鈴木の鋭く落ちる変化球にバットが空を切った。石岡監督は「要所で投げミスがないタフな投手。相手が上だった」と脱帽した。
 先発安西は二回以降粘りを見せ、野手も好守で支えた。春までは失点で一気に崩れる弱さがあったが、成長を示した。菅沼主将は「逆転を信じて粘る戦いができた」と仲間をたたえながらも「甲子園に行きたかった」と涙が止まらなかった。

島田商業 シード校加藤学園を振り切る

加藤学園―島田商 5安打1失点で完投した島田商の主戦新木=あしたか球場
加藤学園―島田商 5安打1失点で完投した島田商の主戦新木=あしたか球場
 ▽3回戦(あしたか第1試合)
島田商  000010200―3
加藤学園 000001000―1
▽二塁打 新木、太田光、杉本(島)
▽試合時間 2時間18分

 【評】島田商がシード校加藤学園との接戦を勝ち切った。
 島田商は五回、連打で1死一、三塁とし、杉崎のセーフティースクイズで先制。同点の七回は2死二塁から太田光の二塁打で勝ち越し、続く太田拓も適時打を放った。
 加藤学園は終盤、打線に活気が出始めたが、併殺打などで好機を逃した。

 主戦新木 気迫の完投
 ロースコアの激戦の末、シード校加藤学園を退けた島田商。主戦新木が熱のこもった125球を投げ抜き、勝利に大きく貢献した。
 初戦と2回戦も一人で投げ抜いた新木。疲れがたまる中、意識したのは的を絞らせない投球。序盤はカットボールを中心にカウントを取り、終盤にかけて直球で押すスタイルにチェンジした。「納得のいく球で勝負したかった」。捕手太田拓のサインに首を振る場面も。冷静に打者を分析しつつ、気迫ある投球で強力打線を封じた。
 横山監督も新木の活躍に「本当は100点をあげたいけど、まだ先があるから99点かな」と目を細めた。
 今大会は投球数制限(1週間で500球)が設けられる中、「球の出し入れを工夫し、省エネ投球で臨みたい」と次戦を見据える新木。実力を証明して見せたエースは、今後もマウンドで躍動する。
地域再生大賞