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7月16日 朝の編集長セレクト

 おはようございます。きょうも暑くなりそうです。梅雨明けも近いですかね。室内でも熱中症対策をお忘れなく。このコーナー〈知っとこ〉は今日も4回更新を予定しています。この時間は、注目記事を4本セレクトしてご紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

浜松の自動車フィルターメーカー 高性能マスク販売 俳優要潤さんアンバサダー

 浜松市天竜区の自動車・二輪車用フィルターメーカー「ROKI」(島田貴也社長)は15日、新規参入したマスク事業の第1弾となる高性能フィルター不織布マスク「纏(まとい)」を発表した。専用サイトで同日から販売し、全国の薬局などで9月から店頭販売を始める予定。

マスクの性能や着け心地の良さをPRする要潤さん(右)と川栄李奈さん=15日午前、東京都内
マスクの性能や着け心地の良さをPRする要潤さん(右)と川栄李奈さん=15日午前、東京都内
 新製品は、医療用サージカルマスクの最高性能であるレベル3を満たし、独自形状のデザインでフィット感も高めた。1958年の創業以来のフィルター製造技術を凝縮した。浜松市浜北区に新設した工場で生産する。
 都内で行われた発表会で、新事業本部の池田正寿本部長は「(新型コロナウイルスの影響で)医療現場は苦労している。社会貢献を目指したい」とマスク製造を通じた支援につなげる意向を示した。公式アンバサダーを務める俳優要潤さんとゲストの女優川栄李奈さんも登壇し、性能の高さや着け心地の快適さをPRした。
 価格は7枚入りで税込み498円。

迫力満点 全長2・8メートルのカジキ剥製制作 伊東の工房

 伊東市八幡野の魚類剝製工房「リアルアート岩井」の岩井正さんが、過去最大級の全長2・8メートルのバショウカジキの剝製を制作した。最大の特徴の大きな背びれを丁寧に仕上げ、迫力満点の出来栄えになっている。

岩井さんが制作した中では過去最大級となる全長2・8メートルのバショウカジキの剥製=伊東市八幡野
岩井さんが制作した中では過去最大級となる全長2・8メートルのバショウカジキの剥製=伊東市八幡野
 今回のバショウカジキは2月中旬、横浜市の愛好家が沖縄本島沖で釣り上げた。体重は55キロ。大型のカジキは鋭く伸びた上あごや尾ビレだけを剝製にするケースが多く、今回のように魚体をすべて加工したものは工房を開いて25年目で3匹目、全長は最大という。
 制作は4カ月がかり。外皮だけを残して身をそぎ落とし、芯を入れて3カ月乾燥させた。その後、海で泳いでいた時のような鮮やかなマリンブルーに着色した。岩井さんは「これだけの魚体を加工することはそうそうない。バショウカジキらしく背びれをピンと立たせることを意識した」と振り返った。

新東名120キロ区間、死亡事故ゼロ 静岡県警まとめ 本格運用後の半年間

 新東名高速道の御殿場ジャンクション(JCT)―浜松いなさJCT間(約145キロ)で最高速度規制120キロが本格運用されてから半年間(2020年12月22日~21年6月21日)で、死亡事故の発生が無かったことが15日、静岡県警のまとめで分かった。交通事故全体も本格運用前と比べて大幅に減少した。

最高速度規制120キロの本格運用が始まった新東名高速道=2020年12月22日、沼津市の駿河湾沼津SA付近(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
最高速度規制120キロの本格運用が始まった新東名高速道=2020年12月22日、沼津市の駿河湾沼津SA付近(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 県警によると、本格運用前の半年間(20年6月22日~12月21日)の死亡事故は2件だった。運用後半年間の全事故は、運用前から104件減の273件。重傷・軽傷事故は1件減の25件と横ばいだったが、物損事故が101件減の248件と大幅に減少した。
 最高速度規制が80キロに据え置かれた大型トラックなどとの速度差による事故が懸念されたが、「影響は認められなかった」(三原浩交通部長)という。
 交通違反は213件増の6464件。速度超過が1003件(1075件減)と半減したが、追い越し車線を走行し続けるなどの通行帯違反は3771件(1716件増)と大幅に増加した。
 県警は19年3月から、新静岡インターチェンジ(IC)―森掛川IC(約50キロ)の上下線で最高規制速度120キロの試行運用を実施。その後全線6車線化工事が完了し、本格運用を始めている。

熱海土石流被災者 住宅の悩み深刻 罹災証明手続き始まらず

 熱海市伊豆山で発生した大規模土石流で、静岡県と市が市役所内に15日開設した「住まいの相談窓口」には、被災者のさまざまな悩みが寄せられた。県は公営、民間賃貸住宅への入居時期の目標を「8月いっぱい」としているが、入居に必要な罹災(りさい)証明の手続きが始まっていないのが実情。生活再建の道のりは険しい。

被災者の住宅に関する相談に応じる静岡県職員=15日午後、熱海市役所
被災者の住宅に関する相談に応じる静岡県職員=15日午後、熱海市役所
 県によると、同日訪れた被災者10組のうち9組が住宅の流失や一部損壊などの被害を受けた。「避難所にはいつまでいられるのか」「仮住まいにはいつ入れるのか」。被災者の問いに、県の担当者が今後の流れや各種補助制度などを説明した。
 ただ、実際の被災状況が確認されない限り、公営住宅などに入居することはできない。市によると、罹災証明の手続きが始まるのは7月下旬の見通し。通勤、通学、通院先との兼ね合いや地域コミュニティーの継続に不安を感じる被災者も多いという。
 市によると、15日だけでも52件(午後4時時点)の相談申し込みがあった。県建築住宅局の星野浩二局長は「責任を持って住宅を確保し、被災者の安心につなげたい」と話す。

 苦渋、移住やむなし
 熱海市役所に15日開設された「住まい相談窓口」を訪れた会社員志村信彦さん(40)=同市伊豆山=は、倒壊家屋が密集する岸谷(きだに)地区の自宅が土石流に流された。現在は市内の実家に身を寄せている。妻(39)、長男(7)、長女(4)は市内の妻の実家で暮らしている。
 「家族4人で生活できることが第一。子どもの学校のことも踏まえて、新学期までに決められたら」と今後の生活を見据える。
 土石流発生当時、自身は長男と外出中で、妻と長女が在宅していた。土砂で家に閉じ込められた妻子を助けてくれたのは近所の住民たちだった。
 「感謝しても、しきれない。ばらばらになりたくない思いはある」と話す一方、「今はあそこに住み続ける思いはない」と苦しい胸中を明かした。
地域再生大賞