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球児激闘 2日目⚾好勝負相次ぐ

 第103回全国高校野球選手権静岡大会は2日目を迎え、22試合が行われました。サヨナラ勝ちや延長にもつれこむ激闘など好勝負が目立ちました。浜松商と聖隷クリストファーの実力校同士の一戦も。1回戦2日目のダイジェストをお届けします。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉

 ⇒大会第2日の試合結果は速報ページでご確認いただけます

サヨナラ突破、1点争う激闘続々

 第103回全国高校野球選手権静岡大会は11日、草薙など10球場で1回戦の残り22試合を行った。1点を争う好勝負が数多く繰り広げられ、島田商は1点を追う最終回に2者連続本塁打で沼津商にサヨナラ勝ち。韮山は焼津中央との延長15回タイブレークの激闘を制し、浜松湖北も延長戦の末、飛龍を撃破した。掛川東は昨夏の代替大会準優勝の浜松開誠館に完封勝ちした。第3日は17日、草薙など10球場で2回戦16試合を行い、シード校が登場する。

浜松開誠館ー掛川東 2回裏掛川東二死満塁、星が右前に先制適時打を放つ=掛川球場
浜松開誠館ー掛川東 2回裏掛川東二死満塁、星が右前に先制適時打を放つ=掛川球場

◇全国高校野球静岡大会1回戦(11日)
▽あしたか球場
御殿場西 4―1 島田工
伊東商 6―5 小笠(延長10回)
▽富士球場
富士 7―0 清水東(7回コールド)
富岳館 8―7 田方農(延長10回)
▽清水庵原球場
清流館 16―2 藤枝東(7回コールド)
静岡大成 3―0 御殿場南
静岡市立 1―0 沼津東
▽草薙球場
駿河総合 7―1 静岡西
東海大翔洋 3―0 裾野
静岡学園 3―1 袋井商
▽焼津球場
韮山 10―8 焼津中央(延長15回)
城南静岡 5―0 伊豆総合
▽島田球場
島田樟誠 12―9 浜松日体
島田商 3―2 沼津商
▽浜岡球場
榛原 8―1 浜松江之島(8回コールド)
浜松湖北 6―5 飛龍(延長13回)
▽掛川球場
常葉大菊川 8―2 浜松湖東
掛川東 4―0 浜松開誠館
▽磐田球場
磐田南 3―1 浜松修学舎
静清 8―1 磐田西(8回コールド)
▽浜松球場
聖隷クリストファー 5―1 浜松商
浜松東 4―1 新居

 

島田商9回の奇跡 「諦めない」野球で2者連続本塁打

島田商-沼津商9回無死、サヨナラ本塁打を放ち、ホームを踏む島田商の太田拓(右)=島田球場
島田商-沼津商9回無死、サヨナラ本塁打を放ち、ホームを踏む島田商の太田拓(右)=島田球場
▽1回戦(島田第2試合)
沼津商
000100100―2
000100002x―3
島田商
▽本塁打 堀(沼)太田光、太田拓(島)
▽二塁打 高木(沼)杉崎(島)
▽試合時間 1時間55分

【評】島田商が二連続本塁打で劇的なサヨナラ勝ちを決めた。
島田商は1点を追う九回、先頭の太田光が初球を捉え、同点。勢いそのままに太田拓も力強いスイングで変化球をスタンドに運び、逆転に成功した。
沼津商は四回に堀の本塁打で先制。先発長島が八回まで2安打に抑える好投を見せるも、最後に力尽きた。

■「諦めない」体現 太田光、太田拓が歓喜
 九回の劇的なドラマに球場全体が沸いた。島田商ナインの〝諦めない野球〟が実を結んだ瞬間だった。
 沼津商の先発長島に苦戦し、八回まで2安打に抑え込まれた。最終回直前のベンチ。横山監督が「心で負けるな」とゲキを飛ばした。一点を追う場面の想定練習を繰り返し行ってきたナインに自信をよみがえらせた。
 「この日のためにバットを振ってきた」。九回先頭の太田光が初球を捉えた。土壇場での同点劇に会場のムードが一変した。続く太田拓も疲れの見え始めた長島のスライダーを上手く捉え、左中間に運んだ。
 「打った瞬間、入ったと思った」と太田拓。もう一度仲間と夏を戦える喜びをかみしめながら、右手を高々と上げ、ダイヤモンドを一周した。ベンチで待つ仲間の姿が目に入り、涙をこらえきれなかった。
 地元の期待を背に戦った初戦。横山監督は「苦しい場面でよく打ってくれた。ありがとう」と二人をねぎらった。

聖隷に軍配 初戦屈指の注目カード

聖隷クリストファー―浜松商 2回表聖隷クリストファー1死満塁、走者一掃の適時三塁打を放つ山田=浜松球場
聖隷クリストファー―浜松商 2回表聖隷クリストファー1死満塁、走者一掃の適時三塁打を放つ山田=浜松球場
▽1回戦(浜松第1試合)
聖隷クリストファー
040000100

000100000―1
浜松商
▽三塁打 山田(聖)▽暴投 柴田(聖)
▽試合時間 2時間17分

【評】聖隷が序盤の好機をものにし、浜松商を寄せ付けなかった。
聖隷は二回、蒔田の適時打で先制した後、一死満塁で山田が走者一掃の三塁打を放ち、この回4点を挙げた。投げては先発柴田が九回1失点と好投した。
浜松商は打線のつながりを欠き、秋山の適時打で1点を返すのが精いっぱいだった。

 ■山田が3点三塁打
 昨夏に頂点に立った聖隷と伝統校浜松商の注目の一戦は、投打がかみ合った聖隷に軍配が上がった。聖隷の上村監督は「今日はいい試合をしてくれた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 試合が大きく動いたのは二回一死満塁の場面だった。「やってやる」と打席に入った山田が甘い直球をとらえて走者一掃の三塁打。一気に主導権を握った。先発の柴田は9回を投げ抜き、1失点と好投。「浜商打線の弱点をうまく突けた」との言葉通り変化球を低めに集め、最後まで的を絞らせなかった。
 次は伊東商との対戦。柴田は「エースを任せてもらった分、その期待に応えたい」と表情を引き締めた。

韮山 中浜、炎天下の奮投 15回187球投げ切る

韮山-焼津中央 187球投げ抜いた中浜投手=焼津球場
韮山-焼津中央 187球投げ抜いた中浜投手=焼津球場
▽1回戦(焼津第1試合)
韮 山
310000000010203―10
000300010010201―8
​焼津中央
(延長15回、13回からタイブレーク)
▽本塁打 増田(韮)
▽二塁打 大橋(韮)▽暴投 曽根(焼)
▽試合時間 3時間35分

【評】韮山がタイブレーク突入後の延長十五回に3点を追加し、焼津中央を振り切った。
韮山は初回に大橋の二塁打や金刺の中前打で2点を先制。延長十五回には、金刺の犠飛や松久保の中前打などで3点を追加し、勝負を決めた。
焼津中央は延長十五回に伊東の適時打で1点を追加したが、及ばなかった。

■炎天下の奮投
 タイブレークに突入した延長十五回、3時間半過ぎに及ぶ激闘を制した韮山。気温30度近くの炎天下の中で、3年生のエース中浜は1人で187球を投げ抜いた。
延長十三回まで焼津中央の曽根との投げ合いが続いた。武井監督は「流れを切らさないためにも代えるわけにはいかない」とエースに託した。
 中浜は練習試合で150~160球投げても「けろっとしている」(武井監督)ほどのスタミナ自慢。試合がもつれるなかで、むしろ自分が抑えてやると闘志を燃やした。味方打線も増田の本塁打などで援護する。中浜は「どうやって打ち取ろうかなと考えながら、投球を楽しむことができた」とさわやかに答える。
 ただ、五つの四死球を出すなど課題も残した。武井監督も「一球一球の大切さを痛感させられた試合だった」としみじみ語った。
地域再生大賞