写真で見る「熱海土石流」被災地
発生から3日が経過した熱海市伊豆山(いずさん)の大規模土石流現場では6日、警察や消防、自衛隊による懸命な捜索が続きました。二次災害の危険性があり、作業は度々中断。捜索活動は難航を極めています。写真を中心に、現地のいまをお伝えします。
〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉
発生から3日経過 6日の現地状況まとめ
熱海市伊豆山で発生した大規模な土石流で斉藤栄市長は6日、新たに3人の死亡を確認したと発表した。死者は計7人になった。静岡県は、県警や消防に照会があり安否が分かっていない5人の氏名を公表した。市が住民基本台帳を基に確認作業を進めている安否不明者は午後に増減して22人になり、午後10時現在、計27人の安否が分かっていない。
県によると、県警や消防に寄せられた安否不明者5人は同市内外の居住者。市が住民基本台帳を基に調査している人とは重複していない。この5人とは別に、安否に関する通報がある人が6人いて県警が公表に向けた作業を進めている。
土石流発生から3日が経過し、警察や消防、自衛隊などは人員を入れ替えて、7日以降も千人規模での捜索活動を続ける。
市内2カ所のホテルに562人、指定避難所の市立第一小に16人が避難している。県は避難生活の早期解消に向け市営住宅と県営住宅16戸を確保した。被災者の意向を踏まえながら順次、入居を進める。
見えてきた被災状況の全貌 静岡県がマップ公開
静岡県が公開した被害状況マップによると、被災家屋は計122戸で44戸が完全流失した。東海道新幹線線路西側の土石流の幅が狭まった地域に集中していた。
県は「想定を超える大量の土砂が流れ込み、被害が拡大した」と説明した。
写真特集 難航を極める捜索現場 警察、消防、自衛隊など懸命
被災者生活再建支援法適用へ 静岡県、内閣府と調整
熱海市で発生した土石流災害で、静岡県は6日、被災者生活再建支援法の適用に向けた準備を内閣府と進めていると明らかにした。これまでの調査で、「市町村別で全壊10世帯以上の被害」という適用条件を満たす可能性が高くなったため。同法が適用されると、中規模半壊以上の被災世帯を対象に最大で300万円が支給される。県は、支援の前提となる罹災(りさい)証明書の発行を迅速化するため、市の要請に応じた人的支援を行う方針も示した。
県全域が対象にならなかった場合でも、同市以外の被災者は県の被災者自立生活再建制度で同等の支援を受けられる。
同法は、九州などで大規模な被害を出した昨年の7月豪雨を踏まえて同年12月に改正され、半壊のうち被害の程度が大きい「中規模半壊」でも支援金が受け取れるようになった。
既に熱海市が適用対象となった災害救助法には、住宅で居住し続けるために必要な応急修理の費用を補助する制度もある。同市の場合は発生から半年以内の工事を対象に、被害の程度に応じた上限額の範囲で市が修理の費用を支払う。