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富士山 2年ぶり山開き

 富士山の山梨県側の登山道が1日開通し、夏山シーズンの到来を告げる山開きを迎えました。昨年は新型コロナウイルスの影響で山梨、静岡両県側で登山道が閉鎖したため、2年ぶりの開山です。混雑予想や山小屋の感染対策、ウィズコロナ時代の登山マナーをまとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

初日は登山者わずか 山小屋は感染対策を徹底

 富士山は1日、静岡県側に先立って山梨県側の吉田ルートが5合目から山頂まで開通し、山開きした。新型コロナウイルス感染症が収束しない中での2年ぶりの開山初日は荒天に。登山者はわずかで、「密」は見られなかった。コロナ禍前は密状態が当たり前とされた山小屋や行政機関は収容人員の大幅削減、利用者の体調管理の徹底など感染防止対策を施し、安全な夏山の在り方を模索する。前例のない夏山シーズンが始まった。

検温に応じるマスク姿の登山者=1日午前10時半ごろ、富士山吉田ルート6合目
検温に応じるマスク姿の登山者=1日午前10時半ごろ、富士山吉田ルート6合目
 「検温への協力をお願いします」-。吉田ルート6合目に設けられた入山料(保全協力金)の受付所で、スタッフが呼び掛けた。登山客は非接触型の検温器で体温を測り、山頂へと続く道を登り始めた。名古屋市の自営業パオ・ジーホンさん(61)は「開山を楽しみに待っていた。マスクをしながら登りたい」と話した。
 山梨県は今夏、登山者に対して5、6合目で検温を実施する。体調を自己確認する用紙をインターネットに掲載し、持参を促している。発熱や倦怠(けんたい)感、2週間以内の新型コロナ患者・濃厚接触者との接触の有無など、7項目のうち一つでも該当する際は登山や来訪の中止を求めている。
 同県世界遺産富士山課の和泉正剛課長(54)は感染対策として「山頂で混み合う際など、人との距離を確保できない場合はマスクを着用してほしい」と要望した。
 登山道に点在する山小屋も仮眠スペースに仕切り板を設けるなど、受け入れ態勢を整えた。標高約3千メートルにある東洋館は、定員を従来の半数の150人程度に減らした。枕の使用も中止し、不織布の大型シートを提供して各自の衣服を包んでもらうようにした。
 同館の堀内康司社長(53)は「山小屋の組合が定めたガイドラインに従って対応を進めてきた。利用者に安心して登山を楽しんでもらいたい」と期待した。

 ■元記事=コロナ禍 “新様式”富士登山 2年ぶり山開き 検温実施、山小屋の仮眠スペースに仕切り板(「あなたの静岡新聞」2021年7月2日)

静岡県側の3ルートは10日開山

 静岡県は1日、富士山の静岡県側3登山ルート(富士宮、須走、御殿場)で実施していた冬季閉鎖を10日午前9時に全面解除し、山頂まで通行可能にすると正式に発表した。開山は2年ぶり。

上空約4500㍍からの富士山=2019年8月1日午前8時、富士宮市上空(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
上空約4500㍍からの富士山=2019年8月1日午前8時、富士宮市上空(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 冬季閉鎖を解除するのは、富士宮口6合目―山頂、須走口5合目―山頂、御殿場口新5合目―山頂の各ルート。県によると、登山道の案内標識や誘導ロープなどの安全対策が完了する見通しが立った。閉山日はいずれも9月10日。
 県は富士宮口と須走口で10日から始めるマイカー規制の概要も公表した。9月10日までの連続63日間、各5合目に自家用車は進入できない。富士宮口は水ケ塚駐車場(裾野市)に、須走口は道の駅すばしり隣接地(小山町)に、5合目行きシャトルバス・タクシーの乗り換え駐車場が用意される。御殿場口は例年通り規制しない。

 ■元記事=静岡県側「10日開山」発表(「あなたの静岡新聞」2021年7月2日)

週末、お盆中心に混雑か 御来光の時間帯は山頂付近も

 静岡県の富士山混雑予想カレンダーによると、仕事が休みになる週末やお盆を中心に混雑が頻発する。特に御来光の時間帯に山頂付近で密状況の発生が懸念される。県は山梨県と共に広報動画「分散登山のススメ」を配信し、混雑回避を呼び掛ける。

富士山混雑予想カレンダー2021
富士山混雑予想カレンダー2021
 火災のため焼失した富士宮口5合目レストハウスの代替機能については、富士宮市と県が開山期間中、仮設トイレ10基と一時避難・休憩用プレハブ5棟を設ける。
 富士山5合目に通じる県道のマイカー規制は富士宮口と須走口で7月10日~9月10日の連続63日間実施する。山麓のマイカー規制駐車場に自家用車を止め、5合目行きシャトルバス・タクシーに乗り換える。登山者が少ない御殿場口は例年通り規制はない。

 ■元記事=富士山2年ぶり山開き 7月1日山梨側 10日開山の静岡側、山小屋の定員半減【富士山混雑予想カレンダー添付】(「あなたの静岡新聞」2021年6月30日)

山小屋は事前予約、トイレ後は手指消毒…コロナ禍の登山マナー

 国や静岡、山梨両県の関係者でつくる「富士山における適正利用推進協議会」は12日、ウェブ会議を開き、新型コロナウイルス感染症を踏まえて両県が作成した「ウィズコロナ時代の新しい富士登山マナー」を承認した。登山前と登山中に留意すべき感染症対策15項目をまとめた。今夏の富士山開山に向けて周知拡大を図る。

新しい富士登山マナーの主なポイント
新しい富士登山マナーの主なポイント
 登山前の対策では、37・5度以上、または平熱比で1度以上の発熱がある時は登山しない▽週末やお盆を中心とした混雑日、密が発生しやすい御来光の時間帯を避ける▽山小屋は必ず事前に予約する―などを挙げた。
 登山中の対策としては、同行者以外の人とはソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保▽登山道でのすれ違い時、必要に応じてマスクや手ぬぐいで鼻と口を覆う▽トイレや売店を利用した後は必ず手指消毒―などを呼び掛けている。
 両県は国際山岳医の大城和恵さんの助言を得て今回の「マナー」を作成した。環境省と共同で運営しているホームページ富士登山オフィシャルサイトを通じ、国内外に情報発信する。

 ■元記事=富士山「コロナ禍の登山マナー」承認 適正利用推進協議会(「あなたの静岡新聞」2021年3月15日)
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