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ワクチン接種後 副反応の症状は?

 新型コロナウイルスワクチンの職場接種が始まり、身近でも「ワクチンを打った」という声を耳にするようになりました。いざ自分の身に迫ると接種による痛みは? 発熱は? いろいろ気になりますね。ワクチン接種に関する最近の動きをまとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・村松響子〉

解熱剤アセトアミノフェン品薄に 副反応に備え?

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、静岡県内をはじめ全国の薬局で「アセトアミノフェン」含有の解熱鎮痛剤が品薄になっている。副反応の発熱に備えた購入が拍車をかけているとみられ、薬局などの関係者は「ほかの成分の解熱鎮痛剤でも効果はある」と冷静な行動を呼び掛けている。

「アセトアミノフェン」の解熱鎮痛剤。全国的に品薄になっている=14日午後、浜松市中区の杏林堂薬局城北店
「アセトアミノフェン」の解熱鎮痛剤。全国的に品薄になっている=14日午後、浜松市中区の杏林堂薬局城北店
 アセトアミノフェンは副作用が少なく、妊婦や子どもでも安全に服用できるとされる。代表的な市販薬「タイレノールA」は高齢者ら一般へのワクチン接種が始まった今春以降、全国的に売り上げが急増した。
 県内で87店舗を展開する杏林堂薬局(浜松市中区)では、多くの店でタイレノールAが品切れになった。担当者は「5月に入ってから需要が急激に増えた。供給が不安定で入荷は未定」と説明する。同じくアセトアミノフェンのみの専売薬「セシオン解熱鎮痛薬AP」の販売を今月12日から始め、需要増に対応している。
 県新型コロナウイルス対策課によると、医療従事者への先行接種に伴う国の調査で37・5度以上の発熱者は接種翌日が35%、2日後が7%、3日後が1%確認された。副反応で発熱しても大半は1~2日で回復するケースが多いとみられる。
 県薬剤師会医薬品情報管理センター(静岡市駿河区)の大石順子所長は「アセトアミノフェン単体の薬が最適だが、もともと流通量が多くないため、手に入りにくい状態になっている」と指摘。「イブプロフェンやロキソプロフェンナトリウムなどの薬でも問題はない」と話す。処方薬では「カロナール」というアセトアミノフェンの調剤もあるという。
 県は副反応の相談窓口を設けるとともに、症状が重かったり長引いたりする場合は医療機関を受診するよう推奨している。
 〈2021.6.15 あなたの静岡新聞〉 ⇒元記事

2回目接種で発熱が4割

 新型コロナウイルスワクチンの副反応を巡り、静岡市は接種を受けた市立清水病院の職員らを対象にしたアンケート結果をまとめた。2回目の接種翌日に8割近くが接種部位の痛み、4割超が37・5度以上の発熱を訴えるなど、副反応の症状は1回目より2回目の方が出やすいことが明らかになった。

 29日の市議会6月定例会総括質問で、長谷川誠保健衛生医療統括監が松谷清氏(緑の党)に答えた。アンケートは同病院に勤務する職員約800人と委託業者約200人を対象に実施した。
 副反応の症状が最も多く現れたのは接種翌日だった。2回目の接種翌日の具体的な症状をみると、「接種部位の痛み」が最多の78・5%。「倦怠(けんたい)感」が68・1%、「頭痛」が50・3%、「37・5度以上の発熱」が42・6%で続いた。同病院によると、若い世代の方が副反応症状が出やすかったという。
 長谷川統括監は副反応に伴う発熱などで38人が休暇を取ったと説明。「できる限り休日の前日に接種したり、同じ部署の職員の接種日をずらしたりしたため、業務への大きな支障はなかった」と話した。
 〈2021.6.30 あなたの静岡新聞〉 ⇒元記事

接種後、注射した部分に痛み 軽い副反応も

 厚生労働省などによると、ファイザー社製、モデルナ社製いずれも、安全性を確認した上で承認されているが、接種後は注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢、発熱など、軽い副反応がみられることがある。症状の大部分は接種後数日以内に回復するという。

新型コロナワクチンの瓶と注射器
新型コロナワクチンの瓶と注射器

■ワクチンの安全性と副反応(参考:厚生労働省ホームページ)
Q これまでに認められている副反応は。
 注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み等みられることがあるが、まれな頻度でアナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が発生する。

Q アナフィラキシーではどのような症状が出るか。また、治療法は。
 皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状が急に起こり、血圧低下や意識レベルの低下を伴う場合がある。薬の注射などで治療する。

Q ワクチン接種で新型コロナウイルスに感染することはあるか。
 ワクチンを接種したことが原因で新型コロナウイルスに感染することはない。

進む職場接種 休暇制度設ける企業も

 新型コロナウイルスワクチンの職場接種が21日、静岡県内の一部事業所で始まった。職場接種は医師や看護師、会場を自前で確保し、同一会場で最低千人程度に2回接種するのが基本。県によると、県内では20日までに93会場の申請があった。多業種で準備が進んでいて、接種のペースは今後、加速する見通し。

職域接種で新型コロナウイルスワクチンの接種を受けるJR東海の社員(左)=21日午後、静岡市葵区
職域接種で新型コロナウイルスワクチンの接種を受けるJR東海の社員(左)=21日午後、静岡市葵区
 「名前を確認させてください」「アルコール反応はありませんか」。接種初日のJR東海の静岡健康管理室(静岡市葵区)。打ち手の看護師や保健師が接種を希望する社員に声を掛けた。この日は輸送指令や医療業務に携わる10人が接種を受けた。
 同社は静岡市や名古屋市など4カ所に接種会場を設置した。鉄道事業に従事する全社員約1万7千人が対象で、静岡地区は約3400人。7月以降に接種を本格化させ、4会場合わせて1日約400人ペースで進める。2回目接種は9月中に終了する予定。同社健康管理センター所長で統括産業医の遠田和彦さん(54)は「従業員が安心して働く環境を整え、利用者にも安心してもらえる」と期待する。
 県中部を中心にスーパーを出店する田子重(焼津市)は24日から、医療機関1カ所を会場に接種を始める。希望の従業員と同居家族が対象で、約2千人を想定。8月中に2回目の完了を見込む。
 遠州鉄道(浜松市中区)は電車やバス、タクシー運転手と介護職のグループ従業員約1800人を対象に、7月中旬~9月上旬ごろの実施を計画した。静岡銀行はグループ約6500人のうち、希望者と家族に接種する。月内にも接種を始める予定だ。
 ワクチン接種に絡んで休暇取得制度を設ける企業もある。静銀は接種1回につき最大3日間、田子重も接種者の体調に応じて休暇を取得できるようにした。7月中旬以降に接種を計画するヤマハ(浜松市中区)も休暇制度を検討している。
 県担当者は「早期に集団免疫を獲得するためにも、企業の協力(の意味)は大きい」と歓迎する。
 〈2021.6.22 あなたの静岡新聞〉 ⇒元記事
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