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FDA  静岡-熊本線復活

 静岡空港と熊本空港を結ぶフジドリームエアラインズ(FDA)の定期便が約10年ぶりに復活します。ワクチン接種の広がりを受け、アフターコロナを見据えた就航です。地方空港を取り巻く現状や新たな取り組みなどをまとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

7月16日から毎日1往復 ビジネスと観光利用見込む

 フジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)は24日、静岡空港と熊本空港(熊本県)を結ぶ定期便を7月16日から約10年ぶりに就航させると発表した。ビジネスと観光利用を見込み、毎日1往復する。FDAは7月1日には新型コロナウイルスの感染拡大で減便していた既存路線の全便運航再開も控えていて、ワクチン接種の広がりを好材料とし、コロナ後を見据え“安定飛行”にかじを切る。

FDAの静岡空港発着路線(夏ダイヤ)
FDAの静岡空港発着路線(夏ダイヤ)

 FDAの楠瀬俊一社長は24日県庁で、神戸―青森線の夏期増便も合わせて発表した。静岡発着の新定期便就航は2019年3月の北九州線(ことし3月運休)以来2年3カ月ぶり。FDAの夏ダイヤの運航は23路線45往復(90便)、このうち静岡発着は5路線9往復(18便)になる。
 楠瀬社長は、コロナ禍による需要の落ち込みが続くなか、ワクチン接種の広がりを受け「先の明かりが少しずつ見えてきた。まずは路線を張ってお客さんに知ってもらい、乗ってほしい」と熊本線復活の理由を説明。創業当初の09年7月から約2年間静岡―熊本線を運航していたことから「オリジナル路線」と表現し、マーケットに関する知識の蓄積があることも理由に挙げた。既存の福岡線や鹿児島線と合わせ九州周遊の旅での利用も想定しているという。
 熊本線の静岡空港発は午後3時50分、熊本空港発は午後6時10分を予定している。年間の搭乗率は65%、4万人の利用を見込む。
 楠瀬社長は会見に先立ち、川勝平太知事と県庁内で会談し、熊本線に対する地域のサポートなどを願い出た。川勝知事は「アフターコロナを見据えた素晴らしい贈り物をもらった。山梨や長野にも宣伝し『自分たちの空港だと思って使って』とPRする」と応じた。
 ■元記事=FDA静岡―熊本 復活 10年ぶり、16日から 毎日1往復(「あなたの静岡新聞」2021年6月25日)

熊本線は10年前に運休 搭乗率低迷で大幅赤字

 フジドリームエアラインズ(FDA、静岡市清水区、鈴木与平社長)は31日(※2011年5月31日)、毎日1往復運航している静岡―熊本線を8月から運休することを正式に発表した。同月から、FDAの静岡空港発着便は札幌、福岡、鹿児島の3路線となり、4路線となる小牧空港(愛知県)を下回り、事実上、運航機能は小牧に集約する形となる。

フジドリームエアラインズの機体=静岡空港
フジドリームエアラインズの機体=静岡空港
  FDAは東日本大震災の被災地支援の一環で、小牧から花巻、青森便を定期路線とするため機材繰りが厳しくなるほか、熊本線が搭乗率低迷で収支が大幅赤字となっていることを運休の理由に挙げた。
  FDAによると、運航を始めた2009年7月から今年4月までの熊本線の平均搭乗率は43・8%で、昨年9月以降の平均も30%台に落ち込んでいた。「初期目標の65%に及ばず、これ以上の路線維持は難しい」(企画部)と判断した。
  熊本線の運休について、川勝平太知事は「搭乗率向上の取り組みを重ねていたところで非常に残念。県としても熊本県との交流を積み重ね、防災面での協定締結も含め、今後も交流拡大に努めていく」とコメントしている。
 ■元記事=熊本線8月から運休 FDAが正式発表(静岡新聞2011年6月1日朝刊、肩書など表記はすべて当時)

静岡空港取り巻く環境は? コロナ禍で赤字幅は前年比7・8倍

 富士山静岡空港株式会社(牧之原市)の2021年3月期決算の純損益が5億7800万円の赤字で、赤字額が前年比で7・8倍に膨らんだことが、11日までの同社への取材で分かった。新型コロナウイルス感染症の拡大により、国際線の運航が年間を通じてゼロになるなど、静岡空港発着便の大幅減が直撃した。

富士山静岡空港株式会社の純損益の推移
富士山静岡空港株式会社の純損益の推移
 売上高は8億3500万円で、前年比で69・3%減少。売上高の約6割を占めていた直営事業収入が激減したことが響いた。国際線の運航ストップで、直営事業を支える免税店収入がなくなった。国際線のチェックインカウンターは稼働せず、1年以上にわたり人けのない状態が続いている。
 支出面では、投資の先送りなどでコスト削減を図ったが、滑走路やターミナルビルの維持管理費や人件費といった固定費が多くかかった。
 静岡市内で同日開いた株主総会で決算案を承認した。同社企画管理部の永井啓太部長は取材に対し、赤字額について「小さくはない金額」と述べた上で、「ワクチンの投与が進んでいる。旅客が回復する将来に備えていく」とコロナ禍の収束後を見据えて経営を進める考えを示した。
 静岡空港の20年度の搭乗者数は国内線のみの11万7240人。総搭乗者数は前年比で84%減少し、09年の開港以来、過去最少だった。
 ■元記事=静岡空港赤字 前年比7.8倍に 新型コロナで発着大幅減、直撃(「あなたの静岡新聞」2021年6月12日)

空港やFDAなど連携 上空から夏の富士山楽しむツアーを企画

 富士山静岡空港などは24日、夏の霊峰を上空から楽しむ遊覧フライトツアー商品の申し込み受け付けを始めた。初回は8月21日。コロナ禍による登山ルートの閉鎖を受け実施した2020年夏期の遊覧飛行が好評だったことを受け、ことしも夏の催行を決めた。

夏の霊峰を楽しむ遊覧フライトツアー商品をPRする関係者=静岡空港
夏の霊峰を楽しむ遊覧フライトツアー商品をPRする関係者=静岡空港
 同社と大井川鉄道、フジドリームエアラインズの3社が連携して定期開催している人気ツアー商品。富士山が冠雪している時期が中心だが、昨年に引き続き時期を前倒しして夏場にも開催する。
 催行日は8月21日、9月25日、10月9日の3日間。富士山上空のフライトの後、大鉄のアプト式鉄道の乗車や川根温泉周辺の観光を楽しむ。10月9日は、遊覧飛行後に山梨県の観光を楽しむコースを用意した。旅行代金は3万4800円(12歳以上)から。
 大井川鉄道ホームページから申し込める。問い合わせは大鉄静岡ツアーセンター<電054(204)0512>へ。
 ■元記事=夏の富士山 上空から楽しむ 静岡空港など、遊覧飛行受け付け開始 初回は8月21日(「あなたの静岡新聞」2021年6月25日)
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