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河津でワーケーションいかが?

 観光地などで休暇を兼ねながら、仕事をする取り組み「ワーケーション」に注目が集まっています。河津町の町営バラ園「河津バガテル公園」にはテレワーク拠点がオープンしました。コロナ禍で進む働き方の変化に合わせた伊豆南部での受け皿整備の動きを紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

バラ園にテレワーク拠点開業 木々に囲まれた静かな環境で仕事を

 河津町峰の町営バラ園「河津バガテル公園」の遊休施設を改修したテレワーク拠点「ワーキングスペース・バガテル」がこのほど、開業した。旧レストラン棟で、フランスの田舎小屋を再現した建物の2階150平方メートルに、Wi-Fiやコピー機、ワークスペースを備えた。観光地で休暇を兼ねながら仕事をする「ワーケーション」客を誘致する。

レストランだった建物を改修して開業した「ワーキングスペース・バガテル」=河津町峰の河津バガテル公園
レストランだった建物を改修して開業した「ワーキングスペース・バガテル」=河津町峰の河津バガテル公園
 施設は町が約800万円かけて改修した他、クラウドファンディングでも調度品の修繕費として80万円を集めた。レストラン時代のフランス風の机や椅子を生かした会議スペース2カ所や小上がり、カフェスペース、バルコニーを設けた。木々に囲まれた静かな環境で仕事ができる。
 同日は周辺の1市4町をオンラインでつないで式典を開き、岸重宏町長らがオープンを祝った。運営を担う元町地域おこし協力隊の和田佳菜子さん(33)は「町内外を問わず、多くの方が気軽に訪れられる場にしたい」と話した。
 利用料金は1人1時間500円、1日千円。営業時間は午前9時半~午後4時で定休日は木曜日(祝日の場合は翌日休み)。同施設の利用のみの場合、同公園への入園料は不要。問い合わせは和田さん<電090(7309)1864>へ。

 
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フランスの田舎小屋を再現した建物
 

■元記事=バラ香るワークスペース 休暇と仕事、ゆったりと 河津バガテル公園に開業(「あなたの静岡新聞」2021年5月4日)

クラウドファンディングで改修資金集め 地域おこし協力隊の和田さんが奮闘

 河津町峰の町営バラ園「河津バガテル公園」で、空き店舗になっている旧レストラン棟をテレワークやワーケーションの拠点として再生するため、町地域おこし協力隊の和田佳菜子さん(32)が25日(※2月25日、現在は終了)まで、クラウドファンディング(CF)で改修資金の一部を募っている。協力隊の任期満了を控えた和田さんは「活動の集大成」と位置付け、支援を呼び掛けている。

クラウドファンディングで補修する椅子を並べる地域おこし協力隊の和田佳菜子さん=河津町峰の河津バガテル公園
クラウドファンディングで補修する椅子を並べる地域おこし協力隊の和田佳菜子さん=河津町峰の河津バガテル公園

  浜松市中区出身の和田さんは2018年6月、協力隊として同市から移住した。市内の観光施設で勤務した経験を生かし、当初2年間は町観光協会に所属した。昨年からは同公園で情報発信やイベント企画の担当として手腕を発揮してきた。
  レストラン棟は、運営が第三セクターから町に移管された15年に閉店した。活用を模索する中で、町はコロナ禍でテレワークが進み、伊豆南部で需要の高まるワーケーションの際のワークスペースとしての転用を決めた。運営はこれまで共に活用法を検討し、3月末で協力隊の任期満了を迎える和田さんに委託する方針だ。
  計画では、町が公衆無線LANなどの通信環境を整備する。約150平方メートルの2階をワークスペースとして改修する。オープンは、開園20周年の4月28日を予定する。
  CFでは、再利用する調度品の補修費や宣伝用ホームページの制作費70万円の調達を目指す。返礼品には同公園の入園券や町営温泉施設「踊り子温泉会館」の入館券、さらには和田さんのスキルを生かした「集客チラシ作製権」などのユニークな品もある。支援はCFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で受け付けている。和田さんは「バラの季節以外も、公園に多くの人が訪れるようになれば」と期待を込める。
■元記事=河津バガテル公園 空き店舗 仕事場に再生 地域おこし隊・和田さん(浜松出身) テレワーク拠点へ、資金募る(静岡新聞2021年2月8日朝刊、肩書など表記はすべて当時)

伊豆南部はワーケーション先進地 コロナ前から誘致の動き 今後は地域間競争も

 観光地などで休暇を兼ねながら仕事をする取り組み「ワーケーション」の誘致を狙った施設が今年、伊豆南部で相次いで開業する。新型コロナウイルス禍の前から誘致を図り、全国的にも先進地とされてきた伊豆南部だが、テレワークの急速な進展もあり、静岡県内外でライバルとなる施設の整備が進んでいる。地域間競争が始まる今後は、地域全体での連携や人材育成が課題になる。

下田市所有の施設を改修し、三菱地所が運営するワーケーション施設。今年夏の開業に向け、改修作業が進む=下田市三丁目
下田市所有の施設を改修し、三菱地所が運営するワーケーション施設。今年夏の開業に向け、改修作業が進む=下田市三丁目

  ワーケーションは2018年ごろから、テレワークが可能なIT企業や一部大手企業で取り組みが本格化した。伊豆南部では、下田市がコロナ禍前の19年5月に研究会を組織し、早くから誘致を進めてきた。同年には市内に社員寮を改装した民間の施設も開業し、主にフリーランスで働く人たちが利用している。
  21年度は、同市や東伊豆、河津、松崎の各町などで関連施設の開業が予定されている。国の新型コロナウイルス対応臨時交付金などを活用し、所有する遊休施設を改修して開設するケースが多い。国の支援で施設改修に関する自治体負担は軽くなったが、自立的で安定的な運営には一層の誘客や施設へのアクセス網整備が不可欠だ。
  コロナ禍で観光の形態に変化が生まれている。大型ホテルでは、団体客向けの大広間やカラオケルームなどが遊休化し経営を圧迫。宿泊施設の一部をワーケーション施設に転換しようと模索する経営者もいて、民間の動きも活発化しそうだ。
  伊豆南部の1市5町は2月、「伊豆’Sライフスタイル創造エリア推進協議会」を組織。地域全体が連携ししたワーケーションの誘致が進む。協議会には、行政だけでなく民間とも連携し、誘客層や施設の役割を地域全体で分担する調整役を担ってほしい。
  伊豆南部の施設運営者によると、企業による合宿型のワーケーションでは、訪問先の地域課題を解決するプロジェクトの「場」として選ばれることが少なくないという。“一方通行”にならず、来訪者が伊豆に愛着を持った交流人口となるには、地元住民を結びつける場と人が欠かせない。施設整備が進んだ後は、両者を結ぶコーディネーター的存在が重要になる。都会と伊豆を結びつける人材の招聘(しょうへい)や育成が、今後のさらなる誘致の鍵となりそうだ。
 ■元記事=解説・主張 SHIZUOKA=ワーケーション誘致 先進地の伊豆南部 地域全体の連携不可欠 (静岡新聞2021年4月11日朝刊)

河津バガテル公園は20周年 「春バラまつり」も6月末まで開催中

 河津町峰の町営バラ園「河津バガテル公園」で28日、「春バラまつり」が開幕した。同日は開園20周年の記念日で、岸重宏町長や職員が環境に配慮した風船を飛ばし、節目を祝った。記念企画として、20歳の入園者を無料にする他、年間パスポートも販売する。

多くの品種で開花が始まり、来場者を楽しませている「春バラまつり」=河津町の河津バガテル公園
多くの品種で開花が始まり、来場者を楽しませている「春バラまつり」=河津町の河津バガテル公園
 約2万平方メートルのフランス式庭園では、早咲きのつるバラが満開となっている他、多くの品種で開花し、甘い香りを漂わせている。開花状況は例年より10日程度早く、5月上旬に見頃を迎える見込み。担当者は「例年より大輪の花が多く、満開の時期は見応えがあると思う」と話した。
 まつりは6月30日まで。開園20周年記念として2022年3月末まで、20歳(2001年4月1日~02年3月31日生まれ)の人は入園料を無料にする。また、22年3月末まで有効の年間パスポート(大人1人3千円)も販売する。緊急事態宣言発令を受け、予定していた一部イベントは中止、延期する。問い合わせは河津バガテル公園<電0558(34)2200>へ。
 ■元記事=河津バガテル公園「春バラまつり」開幕 開園20周年、20歳の入園者無料(「あなたの静岡新聞」2021年4月29日)
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