苦境続く静岡空港
静岡空港は新型コロナウイルスの影響で苦境が続いています。2020年度、「ドル箱」の中国路線を含めて国際線は全便欠航、国内線も搭乗者数が大幅に減少しました。具体的な数値や、今後の展望に関する記事をまとめました。
〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉
静岡空港搭乗11万7240人 2020年度、84%減少
静岡県と富士山静岡空港株式会社が12日に公表した2020年度の利用状況は、新型コロナウイルスの影響による国際線の全便欠航のため、搭乗者数は国内線のみの11万7240人となり、総搭乗者数は19年度から84・1%減少した。09年の開港以来、過去最少。東日本大震災の影響で最も搭乗者数が少なかった11年度よりも約29万人少なかった。

一方、国内線のチャーター便は静岡空港を発着し富士山上空を周遊するプランで学校の修学旅行の需要を取り込み、19年度の9便から50便に増加した。
県空港振興課と同社は21年度、当面は国内線の利用促進に焦点を当て、少人数や分散による新たな旅行形態の需要に対応するキャンペーンに取り組む方針を示した。県内の商業施設で国内線の就航先をPRするなどして、これまで利用が少なかった県東部や西部から利用客の取り込みを図るという。
(2021/04/13)
FDA国内線、4月も苦戦 17日から再び減便 団体客増加見込めず
3月28日に国内を結ぶ全便の運行を再開したフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)は13日、一部路線を再び減便する、と発表した。就航先の新型コロナウイルスの感染拡大にめどが立ったとして全便運航再開を判断したが、当初の予測よりも搭乗者数が伸びず、半月で方針転換した。

担当者によると、大阪などでコロナの感染拡大が続き、当初予想した団体客数の増加が見込めなくなったのが理由という。26日以降の便についても「状況によっては減便する」としている。
(2021/04/14)
静岡県内の観光、経済への影響深刻 県は路線維持に腐心
新型コロナウイルスの世界的な感染流行を受け、静岡空港で続いている国際線の全便欠航は、3月で1年が経過した。開港翌年の2010年度以降、外国人の出入国者数が地方管理空港の中で10年連続1位だっただけに、本県の観光や経済に与える影響は大きい。県は感染収束後の反転攻勢に向け、航空会社への支援などを通じて路線維持に努めている。

新型コロナが流行する前、静岡空港の国際線は中国、韓国、台湾を結ぶ全10路線があった。感染拡大の影響で20年1月後半から航空需要が急減し、航空各社が相次いで運航計画を変更。3月に入ってチェジュ航空のソウル線が運航したのを最後に、同月11日から全便欠航が始まった。
出入国制限の長期化に伴い、静岡空港の国際線は4月29日までの全便欠航が決まっていて、欠航期間のさらなる延長もありうる。「ドル箱」といわれた中国路線を有する中国東方航空は20年2月から運航していない上海、寧波、杭州、南昌の4路線について、3月28日から10月30日までの夏ダイヤ期間中も運休すると決めた。
県空港振興課の石ケ谷彰英課長はワクチン接種の広がりに期待感を示す一方、旅行マインドの回復が前提となる国際線の正常化には相応の時間を要すると分析。「感染収束後、本県が旅行目的地として選ばれ、さらに空港を利用してもらうためには、厳しい欠航状況下の地道な活動がものをいう」と指摘する。
県は静岡空港で定期路線を運航する航空会社のグランドハンドリング(航空機の誘導など)経費について、現行3分の1となっている国際線の補助率を21年度から3分の2に拡充して、国の支援と合わせて無償化する。中国最大手のオンライン旅行会社と連携して主に個人旅行客を対象にしたPR活動を強化する方針を固め、“収束後”に備えている。
■11カ月連続搭乗者ゼロ
県がまとめた静岡空港の2020年度利用状況によると、国際線の搭乗者数(日本人を含む)は2月まで11カ月連続でゼロだった。全便欠航の継続で3月も搭乗者は見込めず、前年度と比べて27万5643人の減になる見通しだ。
20年度の搭乗者数は国内線のみで、2月までの累計で10万4612人にとどまり、国際線を含めた全体で前年同期を約60万人下回っている。
21年度は全日本空輸(ANA)が新千歳と沖縄の2路線を夏ダイヤの期間中、大型連休と夏休みだけの期間運航にする計画のため、搭乗者数の伸び悩みが予想される。
(2021/03/26)
駿河湾フェリーも… 2023年度まで厳しい経営状況続く見込み
県と駿河湾沿岸6市町で構成する一般社団法人ふじさん駿河湾フェリーは8日までに、清水―土肥港間で運航する駿河湾フェリーの経営改善戦略を策定した。駿河湾フェリーを地域経済に効果をもたらす重要な社会資本と位置づけ、県と6市町の負担金を2021年度から3年間で計4億4500万円拡充して運航を継続することを盛り込んだ。

宿泊施設とのセット商品開発や教育旅行の誘致、運賃を大人2300円から2千円に見直す料金改定などの利用促進策を行い、年間で5千万~1億1千万円の改善効果を生み出すとした。協定の負担金を継続し、年間の輸送人員を18万5千人に回復させた場合、24年度までに収支均衡を図れると試算している。
同法人は「県内経済の早期回復や持続的発展のためにはフェリー事業を継続していく必要がある」と強調。経営改善戦略を計画的に進めるため、外部評価者を交えて進捗(しんちょく)状況をチェックする方針。
(2021/03/15)