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〈 浜松まつり 例年通り3日間開催 〉

 2021年の浜松まつりは、例年通り5月3~5日の3日間の開催とする方針が固まりました。コロナの影響で昨年は中止となり、今年も凧揚げのみの縮小開催は決定していましたが、日程については慎重な検討が続いていました。気になる経緯や背景などをまとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・柳沢毅〉

参加分散型の5日間案一転、5月3~5日に

 浜松市で5月1~5日に開催予定の浜松まつりの参加町が新型コロナウイルスの影響で例年の6割程度にとどまる見通しとなったことを受け、浜松まつり組織委員会は30日までに、期間を5日間に延ばして参加者を分散する日程を見直し、例年通り3~5日の3日間とする方針を固めた。4月5日に開く会合で正式に決める。関係者への取材で分かった。

一斉に空に舞い上がる参加各町自慢の大だこ=2019年5月3日、浜松市南区のたこ揚げ会場
一斉に空に舞い上がる参加各町自慢の大だこ=2019年5月3日、浜松市南区のたこ揚げ会場
 今年の祭りは昼の凧(たこ)揚げのみに縮小して実施する。組織委が1月に決めた計画は、例年より2日多い5日間の日程。凧揚げ会場での参加者の密集発生を極力防ぐため、174町を2グループに分け、参加日をずらして運営する予定だった。関係者によると、グループ分けも取りやめる方向で調整しているという。
 3月下旬までに組織委に参加の意向を示したのが100町にとどまったため、組織委は分散開催の必要がなくなったと判断したとみられる。

凧揚げのみ「縮小開催」は1月に決定

 浜松市や浜松商工会議所でつくる浜松まつり組織委員会は1月22日、市役所で会合を開き、今年5月の祭りは新型コロナウイルスの感染防止のため、夜の御殿屋台の引き回しを中止し、昼の凧(たこ)揚げだけに規模を縮小して開催する方針を正式に決めた。ただ、市内や全国各地の感染状況次第では全面中止する。鈴木康友市長は11都府県に緊急事態宣言が出されている現状を踏まえ「今のような状況なら開催できない」との見方を示した。

2021年浜松まつり 開催のポイント
2021年浜松まつり 開催のポイント
 同市の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は6・50人(1月20日現在)。国が示す感染状況分類の中で、イベント開催の見直しを求める「ステージ3」(感染急増)基準の15人を下回っているため、組織委は開催に向けて準備する方針を決めた。鈴木市長は「浜松がステージ3に至らないのが大前提。全国的な状況をみて総合的に判断する」と強調した。東京五輪の動向なども注視する。
 会合後、鈴木市長と記者会見した組織委の広野篤男代表委員長は、参加174町関係者の意見を聞く中で「凧揚げだけでもやってほしいとの声が多く、浜松まつりの伝統を絶やさないようにした」と開催理由を述べた。一方、現時点で5月までの感染状況の推移は見通せないとし「最終的な可否の決定時期は今後も調整する」と説明した。
 実際に開催しても、感染を防ぐため屋台の引き回しに加え激練りは中止する。凧揚げは5月1~5日の間に参加町を分散して無観客で行い、糸切り合戦、ラッパ・笛の使用、飲酒を禁止する。準備期間などに参加者が集まる会場では、利用者の名簿管理の徹底や飲食禁止を求める。同委は順守事項をまとめ、参加町に通知する。

 ■規模縮小「仕方ない」 参加予定者ら慎重意見に理解
 激練りもラッパも屋台も中止、飲酒禁止…。新型コロナウイルスの感染防止策を踏まえ、昼の凧(たこ)揚げだけという大幅縮小での開催が決まった浜松まつり。1月22日、浜松市内の参加予定者などからは2年ぶりの開催への喜びとともに、「本当に大丈夫なのか」と感染拡大を不安視する市民感情に配慮した声も聞かれた。
 「うれしいけど、祭りに慎重な人の気持ちも分かるので複雑」。大凧を製作する同市中区の「伊藤さん家の凧工房」の社長伊藤友岐さん(39)が胸中を明かした。例年は1月から凧の注文が入るが、今年はまだ無い。開催決定を受け、すぐにでも対応できるよう骨組みの準備を進める。
 中止が決まった御殿屋台などの夜の部は、祭り参加者が初子の家で飲食の振る舞いを受けるのが恒例。孫の初子祝いを予定する中区の原野俊郎さん(69)は「昼も夜も祝いたかったが、仕方ない。決められたルールの中で凧揚げだけでも楽しめたらいい」と話す。
 参加町の凧印などをプリントしたまんじゅうが人気の菓子店「秋芳堂」(同区)。藤本桂専務取締役は「大打撃だが仕方ない。この状況で祭りをやるのかという市民もいると思う」と冷静に語った。
 感染症に詳しい浜松医療センターの矢野邦夫院長補佐は凧揚げの際に「屋外でも飛沫(ひまつ)に暴露すれば感染する。マスクの着用や手指消毒は必ずしてほしい」と呼び掛ける。高齢者に向けては、祭り前に始まるとされるワクチン接種を積極的に行うよう求めた。

相次ぐ「不参加」も日程調整に影響か

 新型コロナウイルスの感染防止のため、凧(たこ)揚げだけの開催が決まった浜松市の「浜松まつり」に、例年参加している市内174町のうち、6割弱の100町が参加意向を示したことが3月24日、関係者への取材で分かった。一方で、まだ検討中という町もあり、今後の感染状況などによって参加町数が増減する可能性がある。

凧揚げだけを行う今年の浜松まつり。コロナの影響で不参加を決める町が相次いでいる=浜松市南区の浜松まつり会館
凧揚げだけを行う今年の浜松まつり。コロナの影響で不参加を決める町が相次いでいる=浜松市南区の浜松まつり会館
 ■参加意向は6割弱の100町 
 企画運営を担う浜松まつり組織委員会の会合が同日、市内で開かれ、出席者に伝えられた。
 関係者によると、会合では、今年の祭りは例年の3日間を5月1~5日の5日間に期間を延ばして分散開催する予定だが、参加町が一部にとどまる見通しを踏まえ、期間を短縮する方向で見直す提案も報告されたという。
 今年の祭りを巡っては昨年10月時点で全174町が参加意向を示していた。だが、1月の規模縮小開催の決定後に組織委が改めて意向を確認したところ、「不参加」に転じる町が相次いだ。
 見通しの不透明な感染状況の中で、参加の可否を判断しきれない町も多く、組織委は今月1日までとしていた回答期限を延ばし、各町の意向を確認していた。

GWのビッグイベント 2020年は中止で浜松観光に大打撃

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、閑散としたゴールデンウイーク(GW)を迎えている静岡県内観光地。中でも、主要イベントの「浜松まつり」「観光潮干狩り」などが相次いで中止になった浜松市は深刻な状況だ。関係者は終息後を見据えて新たな誘客戦略を模索する一方、市が観光関連施設などへの休業要請を7日(2020年5月)から解除する方針を示したことで戸惑う声も漏れる。

臨時休業中のため、大型連休中も閑散とした舘山寺温泉街にある遊園地=浜松市西区
臨時休業中のため、大型連休中も閑散とした舘山寺温泉街にある遊園地=浜松市西区
  静岡県西部を代表する観光地、浜名湖畔の舘山寺温泉(浜松市西区)は青空が広がった2日も、人通りはまばらだった。遊園地やロープウエー、動植物園などは休園し、多くの宿泊施設が臨時休業している。同温泉観光協会の金原貴会長は「県外からの観光客が多く、GW中の宿泊予約は断りを入れた」と、肩を落とした。
  アサリの不漁で、浜名漁協と舞阪町観光協会(同区)は浜名湖の潮干狩りを2年連続で中止した。今年は駐車場を閉鎖し、潮干狩りに代わる誘客策の湖上遊覧と磯遊びの受け入れも控える。観光協会の坂本勝事務局長は「終息次第だが、GWと並ぶ繁忙期の海水浴シーズンに向け、マリンスポーツ大会など計画している」と話す。
  浜松市によると、2018年度の観光交流客数は約1881万人。外国人観光客の受け入れ拡大などで、東日本大震災直後の11年度に比べると、44・7%増加した。ただ、年間観光交流客数の1割前後を占める3~5日の浜松まつりが中止になり、影響は宿泊や飲食、土産など広範囲に及ぶ。
  鈴木康友市長は1日、飲食店や遊興施設などを対象にした独自の休業要請を7日から解除する意向を明らかにした。ただ、浜松市内の観光関係者からは「国が緊急事態宣言の今後の方針を示す4日までは、市も流動的と聞いた。営業再開の判断はすぐには下せない」との見方が出ている。
  浜松市は終息後、一時中止した市内宿泊施設利用者への助成を再開する予定。観光・シティプロモーション課の北嶋秀明課長は「延期している浜松城築城450周年記念事業をはじめ、国や県と連携してさまざまなキャンペーンを展開したい」と強調する。
(静岡新聞2020年5月3日朝刊)