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「しずおか遺産」ってなに? 第1弾は3件認定

 静岡県は本年度から、県内の歴史文化を発信する「しずおか遺産」の認定を開始しました。第1弾には3件の遺産が認定され、観光活用の促進を目指します。「しずおか遺産」の意義や第1弾に認定された遺産について詳しく紹介します。

文化庁「日本遺産」制度の静岡県内版 歴史文化資源を発信

洋風校舎の旧見付学校
洋風校舎の旧見付学校
 ※2023年1月26日 あなたの静岡新聞から
 静岡県内の歴史文化資源を発信する「しずおか遺産」制度の第1弾として、県は「近代教育に情熱をかけたしずおか人の結晶」(磐田市など4市町)、「秋葉信仰と街道」(浜松市など8市町)、「文学の聖地『伊豆』と温泉」(伊豆市など5市町)の3件を認定した。川勝平太知事が(1月)24日の定例会見で発表した。
 しずおか遺産は文化庁の「日本遺産」制度の県内版として本年度創設した。県内の有形無形の文化財などを結ぶストーリー(物語)を認定して県内外に発信し、観光活用を促進する。複数市町の連携が要件。初年度は3件の応募があり、有識者による認定審査会でいずれも認められた。
 認定第1号の「近代教育」は旧見付学校(磐田市)、旧岩科学校(松崎町)など明治時代に建築され、文明開化の象徴となった洋風校舎を中心に、森町、菊川市の和風学校も含めた19件の構成資産から成る。校舎建築に向けた指導者の教育への思いをストーリーとした。
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秋葉街道と坂下宿の街並み

 「秋葉信仰」は江戸時代に火伏せを求めた秋葉神社(浜松市天竜区)や可睡斎(袋井市)など48件で構成し、交易も担う秋葉街道の営みを物語に仕立てた。「文学の聖地」は名作「伊豆の踊子」の舞台にもなった旧天城トンネル(伊豆市、河津町)や、執筆された旅館「湯本館」(伊豆市)など、湯の香に引かれて伊豆を訪れた文豪との結びつきを残す文化資源29件をまとめた。
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石積みの旧天城トンネル

 県は2025年まで毎年、しずおか遺産候補を募集する。県担当者は「県内全域にある歴史マニアもうなる知られざる物語が発信できたら」と話す。(政治部・青島栄治)

子どもたちが郷土愛育む契機に 川勝知事が意義強調

 川勝知事は、静岡県内の文化財を地域のストーリーでつなぐ「しずおか遺産」の認定制度を本年度から新たに始めることについて、「地域の将来を担う子どもたちが身近な文化財の価値を知り、郷土愛を育むきっかけになる」と意義を強調した。沢田氏への答弁。

静岡県庁
静岡県庁
 しずおか遺産は、地域に点在する文化財を同一のテーマの“文化財群”としてつなぎ、地域の歴史を再発見する教材や観光資源としての活用を目指す制度。文化財課によると、複数の市町による申請とし、7~8月ごろに募る。秋ごろに文化財関係の有識者や観光関係者でつくる認定審査会を開いて決定する予定だという。認定後、県は共通ロゴマークやPR動画を作るなどして活用を支援する。2025年度までに県内で10件程度の認定を目指す。
 川勝知事は答弁で「県文化財保存活用サポートセンターで複数市町によるストーリーづくりや研修会、観光事業者との連携など、文化財保存と活用の取り組みを支援する」と述べた。
 〈2022.6.21 あなたの静岡新聞〉

「しずおか遺産」共通ロゴ決定 静岡文化芸術大・福本さん作品

 静岡県は、県内の歴史文化資源の発信と観光活用促進のため創設した「しずおか遺産」制度の共通ロゴマークを発表した。静岡文化芸術大デザイン学部4年の福本拓さんの作品を採用した。初認定されたしずおか遺産などの発信に活用する。

 デザインは、真上から見た富士山を直線の集合体で描いた。無数に重なる直線で積み重なる歴史を表したという。太陽をモチーフにした赤い円は自然の恵みを表現し、豊かな歴史文化と自然の調和を発信する。
 しずおか遺産は、文化庁の日本遺産制度の県内版として県が2022年度に創設した。県内の複数市町にまたがる歴史文化資源のストーリーを認定する。22年度に3件が初めて認定され、(1月)24日に発表された。
 県は今後、初認定3件の構成資産やストーリーをホームページに掲載するほか、短編動画を制作して発信を強化する。市町の情報発信も支援する方針。
 〈2022.1.31 あなたの静岡新聞〉