スズキ 2030年度に向けた成長戦略を発表 目指す姿は
スズキは成長戦略説明会を開き、2030年度までに電気自動車(EV)17モデルを市場投入し、電動化関連に2兆円を投資すると発表しました。成長戦略の詳細に加え、インドで開かれた「オートエキスポ2023」で公開されたEV試作モデル「eVX」について、まとめました。
2030年度までに17モデル投入 電動化関連に2兆円投資
スズキは26日、2030年度までに電気自動車(EV)を日本国内とインドで各6モデル、欧州で5モデルの計17モデルを市場投入し、電動化関連に2兆円を投資すると発表した。このうち5千億円は電池関連に振り向ける。国内外で他メーカーが先行するEVを主要市場で展開し、激化する国際競争の中で巻き返しにつなげる。

乗用車トップシェアを誇るインドの投入時期は24年度を予定。今月、現地モーターショーで公表した小型スポーツ用多目的車(SUV)のEV試作車「eVX」をベースに開発を進め、EVを“世界戦略車”と位置付けて拡販する。ハイブリッド車やCNG(圧縮天然ガス車)などEV以外の多様な選択肢も用意し、EV比率は15%と設定した。EV普及が進む欧州では24年度に販売を開始、比率は最も高い80%とした。
同日都内で開いた成長戦略説明会で公表した。30年度の連結売上高目標は21年度(3・5兆円)の2倍となる7兆円規模を掲げた。鈴木俊宏社長は「インドを中心に世界で(EVを含め)450万から500万台規模の販売を目指す。新興国の成長に貢献してスズキも共に成長し、挑戦を続ける」と述べた。(浜松総局・山本雅子)
〈2023.1.27 あなたの静岡新聞〉
「独自の価値、手の届く価格で」 自社に適したニーズ探る
2030年度に向けた成長戦略の発表でスズキは26日、電気自動車(EV)の投入時期やモデル数、電動化投資額などを掲げ、カーボンニュートラル社会実現に向けた電動化強化の経営方針を明示した。鈴木俊宏社長は各市場で顧客の選択肢を広げる考えを重視し、「独自の価値を手の届く価格で進める」と強調した。

世界の自動車大手は相次いでEVなどへの大型投資を打ち出している。スズキは30年度までに、自動運転などの研究開発に2兆円、バッテリーEV工場建設などの設備投資に2・5兆円と、計4・5兆円規模の投資計画を説明した。EVの電池調達については、EV用の車載電池工場を建設中のインド以外は「明確に決まった状況にはない。パートナーになり得る企業と話をする」と述べるにとどめた。
二輪と船外機もそれぞれ24年度に電動化商品を投入する計画を発表。30年度までに、二輪については通勤通学や“生活の足”として利用される小型・中型のEVを手始めに世界で8モデル、船外機は小型機などの5モデルを販売するとした。
27年度に前倒す浜松をはじめ、相良、磐田、湖西など日本国内の製造工場は35年度のカーボンニュートラル達成を目指す。(浜松総局・山本雅子)
〈2023.1.27 あなたの静岡新聞〉
インドで試作モデルを公開 世界戦略車 第1弾「eVX」
スズキは(※2023年1月)11日、インド・デリー近郊で開催中の「オートエキスポ2023」で、電気自動車(EV)のスポーツ用多目的車(SUV)「eVX」の試作車(コンセプトモデル)を発表した。EV世界戦略車の第1弾と位置付け、同モデルをベースに開発したEVを2025年までに同国と欧州で市販する。同社が市販車に近いEV試作モデルを公開するのは初めて。

EVの市販を巡っては、乗用車トップシェアを誇る主力市場のインド、日本ともに、他メーカーが先行している。スズキは世界的に人気のSUVをEV世界市販の戦略車とし、インドでシェア5割以上確保に向けて巻き返しを図る方針だ。昨年3月には約1500億円を投じ、同国グジャラート州工場のEV生産能力の増強、車載電池工場の建設などを図ると発表した。
オートエキスポ会場で、鈴木俊宏スズキ社長と子会社マルチ・スズキの竹内寿志社長が試作車を発表した。鈴木社長は「地球温暖化への対応は企業活動の最重要課題。各国の状況やユーザーの使い勝手を考慮した本当に価値ある製品を提供し続ける」と強調した。
日本では23年度にトヨタ自動車、ダイハツ工業などと共同開発する商用軽バンEVの発売を計画している。(浜松総局・山本雅子)
〈2023.1.12 あなたの静岡新聞〉