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焼津カツオ窃盗事件 第三者委員会の調査結果が明らかに

 焼津漁港(焼津市)を舞台にした冷凍カツオ窃盗事件を受け、焼津漁業協同組合は、第三者委員会が取りまとめた報告書の要約版を公表しました。事件の背景には、組織の構造的な欠陥があることが明らかになりました。委員会が行った調査の内容や、提案した体質改善策についてまとめます。

被害額最大25億円 職員21人が不正に「関与」

 焼津漁港(焼津市)を舞台にした冷凍カツオ窃盗事件を巡り、焼津漁業協同組合が船主の受けた被害額について、資料で確認できる2015年から7年間で最大25億円と算出していたことが24日までの関係者への取材で分かった。さらに、第三者委員会が全職員に実施したアンケートで、21人の職員が、不正行為に「関与したことがある」と回答していたことも判明した。

焼津漁港に水揚げされるカツオ。過去7年間の推計被害額が判明した=焼津市内
焼津漁港に水揚げされるカツオ。過去7年間の推計被害額が判明した=焼津市内
 これらの内容は焼津漁協が設置した第三者委員会の報告書に盛り込まれているという。報告書は焼津漁協が22年末に同委員会から受け取り、23年1月下旬に静岡県に提出した。
 関係者によると、焼津漁協は被害額の算出に当たって、21年に調査委員会から報告書で指摘された不正行為10事案について、漁協職員から実態を聞き取り調査した。
 さらに、船の乗組員が水揚げ前に報告した魚の量と実際に水揚げされた量の差が、21年4月の再発防止策でどれほど縮まったかを基に、抜かれたとされる魚の量を独自に推計した。これらを合わせて分析した結果、被害額を過去7年間で19億円から25億円と算出し、委員会に報告した。
 一方で、第三者委員会が実施したアンケートは22年10月に全職員119人を対象に実施した。関与の度合いは問わないとした上で、「不正行為に関与したことがあるか」を問う質問に、21人の職員が「ある」と回答した。時期については「30年前から」という記載もあったという。
 焼津漁協は今月、焼津市内の水産加工会社役員などから現金の授受を認めた職員10人に停職、22年3月には職員15人に出勤停止の懲戒処分をそれぞれ下している。(焼津支局・福田雄一)
 〈2023.1.24 あなたの静岡新聞〉

事件の背景に「市場部の閉鎖性」 第三者委、体質改善策を提案

 焼津漁港(焼津市)を舞台にした冷凍カツオ窃盗事件を受け、焼津漁業協同組合は24日、第三者委員会が取りまとめた報告書の要約版を公表した。事件の背景について、魚市場を運営する市場部の閉鎖性といった組織の構造的な欠陥を指摘。取引に市場部外の職員を介在させるといった体質改善策を提案した。

カツオの盗難事件があった焼津漁港=2022年10月
カツオの盗難事件があった焼津漁港=2022年10月
 報告書は焼津漁協が2022年末に同委員会から受け取り、23年1月23日に静岡県に提出した。公表された要約版では、同委員会の調査結果を基に、事件の背景や職員が把握できなかった原因、信頼回復に向けた課題や提言が記されている。
 市場部について「ガバナンス、内部統制が構築できていない」と閉鎖的な組織のあり方に疑問を示した。職場環境についても触れ、配属された新人職員が不正行為に「業務の一環として暗黙の内に従わざるを得ない」と問題視した。
 また、未計量カツオの搬出について、損失補塡(ほてん)や相場維持を理由に「市場部内で格別の疑義が生まれていなかった」と指摘。こうした市場部の隔絶性を不正が把握できなかった原因の一つとして挙げた。
 市場部の閉鎖性を是正するために、取引終了後の会議に市場部外の職員を同席させることや、疑問が生じた取引内容に関する個別調査の導入といった対策を提案した。
 第三者委員会は22年9月に設置。漁協職員(当時)が逮捕された21年10月から22年12月までの期間を対象に、漁協職員や関係者へのアンケートや聞き取り、意見交換などの調査を実施した。(焼津支局・福田雄一)
 〈2023.1.25 あなたの静岡新聞〉

第三者委員会は22年9月に設置 冷蔵庫出入庫記録など調査

 ※2022年12月27日 あなたの静岡新聞

一連の事件についての調査をまとめた第三者委員会の報告書が議題となった理事会=27日午前11時、焼津市の焼津漁協
一連の事件についての調査をまとめた第三者委員会の報告書が議題となった理事会=27日午前11時、焼津市の焼津漁協
 焼津漁港(焼津市)を舞台にした冷凍カツオ窃盗事件を巡り、焼津漁業協同組合が設置した第三者委員会は27日、一連の事件についての調査をまとめた報告書を焼津漁協に提出した。報告書について、焼津漁協は年明けにも静岡県に提出した後、公表する方針。
 第三者委員会で委員長を務めた第一東京弁護士会所属の前田俊房弁護士ら委員が同漁協で開かれた理事会に出席し、橋ケ谷長生組合長ら理事に報告書の内容を説明した。理事会は非公開。
 委員会は9月22日に設置。前田弁護士、宅見誠弁護士、東海大海洋学部の平塚聖一教授が委員として参加し、一連の事件について発生した背景などの事実調査、冷蔵庫出入庫記録に基づいた聞き取り調査を行った。
 事件を巡って、静岡地検は、2021年3月に水揚げした冷凍カツオを盗んだとして窃盗罪で焼津市の水産加工会社元役員ら3人を起訴。さらに、21年3月の別の日に起こしたとする窃盗罪で神奈川県の運送会社元社長ら3人を起訴している。また、別の窃盗事件では、焼津漁協元職員ら6人が有罪判決を受けている。(焼津支局・福田雄一)