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⚽藤枝MYFC新体制始動 ポイントは超攻撃的サッカー

 今季J2に昇格した藤枝MYFCは、初のJ2での戦いに向け新体制を発表しました。引き続き指揮を執る須藤大輔監督は「超攻撃的スタイルを貫いてJ1昇格を目指し、プレーオフ圏の6位以内を狙う」と目標を掲げています。今季は清水エスパルス、ジュビロ磐田とともにJ2で戦う藤枝。チームの強みや課題をまとめます。

今季初の練習試合、新戦力の融合に手応え 中盤の展開力に課題も

 J2藤枝は20日、J2甲府と今季初の練習試合を清水ナショナルトレーニングセンターで行い、3-3で引き分けた。須藤監督は「仕上がりは30%」と厳しいが、新戦力と昨季の主力がゴールを奪い、初のJ2での戦いへ手応えをつかんだ。

藤枝―甲府 3本目で積極的にシュートを放つ藤枝のFW矢村(左)=清水ナショナルトレーニングセンター
藤枝―甲府 3本目で積極的にシュートを放つ藤枝のFW矢村(左)=清水ナショナルトレーニングセンター
 ▽練習試合(45分3本)
 藤枝 3(1-2 0-1 2-0)3 甲府
 ▽得点者【藤】山田、矢村、久保

 試合は45分3本で、主力と控えを分けずに臨んだ。1本目は浮足立って2点を失ったが次第にボール保持率を上げ、コーナーキックから新加入のDF山田が得点を挙げた。
 3本目の開始20秒でゴールを奪ったのも新加入選手。FW矢村はGKの頭上をふわりと越す技ありのシュートを見せ「最初の試合にしては周りが見えていた。前線の選手ですり合わせ、もっと流動的にポジションを変えて得点に絡みたい」と意欲を示した。
 3点目は昨季、大卒新人で10得点のMF久保。持ち味の突破力を新しい仲間に見せつけた。ただ、チームが目指す超攻撃的サッカーにはまだ遠く、ボランチの徳永は「中盤で攻撃のテンポが出ず、逆サイドへの大きな展開も足りなかった。開幕までに戦術を浸透させたい」と誓った。(運動部・寺田拓馬)
 〈2023.1.21 あなたの静岡新聞〉

新時代切り開く新体制 全選手31人中、14人が新加入

 今季J2に昇格した藤枝は8日、藤枝総合運動公園サッカー場で新体制会見を開いた。引き続き指揮を執る須藤大輔監督は「超攻撃的スタイルを貫いてJ1昇格を目指し、プレーオフ圏の6位以内を狙う」と目標を掲げた。

J2藤枝に新加入した(前列左から)岡西、山田、新井、大曽根、魚里、平尾(後列左から)小関、工藤、徳永、矢村、上田、北村、アンデルソン=藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・小糸恵介)
J2藤枝に新加入した(前列左から)岡西、山田、新井、大曽根、魚里、平尾(後列左から)小関、工藤、徳永、矢村、上田、北村、アンデルソン=藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・小糸恵介)
 今季のスローガンは昨季に続き「一体感」で、クラブ史上初めてのJ2での戦いを見据えて副題に「新時代」を添えた。徳田航介代表は「昨季の一体感を引き継ぎ、新たな選手を加えて新しい時代を進みたい」と意欲を燃やす。
 全選手31人中、14人が新加入。昨季の主力の多くが残った上で、各ポジションに即戦力の選手を補強し、戦力は確実に上がった。藤枝を選んだ理由について、大宮から加入したDF山田は「魅力的なサッカーをするチームで、自分が入ってプレーするイメージがわいた」と説明する。
 クラブ理念に「激しい攻撃と組織的守備」と明記したぶれない戦い方に共感した選手が集まり、大迫希強化担当は「ハイプレス、ハイラインのサッカーに必要な運動量と技術があり、藤枝で成功しようと野心を持った選手がそろった」と手応えを示す。
 須藤監督は昨季同様、3・4・3の攻撃的布陣で臨む方針。昨季J3でアシスト王に輝いたMF徳永は「2ボランチ、2シャドーのどこでもできる。今季はJ2でアシスト王を取りたい」と誓いを立てた。

早速始動、初日からハードメニュー
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2023シーズンの初練習でダッシュする藤枝MYFCの選手=藤枝総合運動公園サッカー場

 「ボール保持率65%以上で、結果だけじゃなく内容も求めたい」。超攻撃的サッカーを志向する須藤監督の下、藤枝は練習初日から約2時間、パス回しを中心にハードメニューをこなした。
 「止める」「渡す」の基本を重視しながら須藤監督は速いパスを繰り返し要求。昨季主将を務めた杉田は「始動から試合に直結する練習だった。きつかったが、試合でも苦しい時に判断スピードを出せるかがかぎ」とJ2での戦いをイメージする。
 J1を目指し、昨季J3を勝ち抜いたチームをどう進化させるか。指揮官は「相手守備陣形が整う前に縦へ入れるキーパスの量を増やしたい。自分たちの特長を出すため、個の能力を上げることも必要」と開幕に向けた課題を指摘する。
 半数近くの選手が入れ替わり、レギュラー争いは激烈。ブラジルの名門コリンチャンスでのプレー経験があるFWアンデルソンは「初日から各選手の技術の高さとスピードを感じた。ゴール前でのポジショニングと決定力を生かし、J1昇格に貢献したい」と決意を固めた。(運動部・寺田拓馬)
 〈2023.1.9 あなたの静岡新聞〉

メンバー/スタッフ/新加入選手コメント

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2023シーズンの初練習で須藤監督(左手前)の話を聞く藤枝MYFCの選手=藤枝総合運動公園サッカー場
2023年藤枝メンバー

 1 GK 岡西 宏祐
 2 DF 川島  将
 3 DF 鈴木 翔太
 4 DF 山田 将之
 5 DF 小笠原佳祐
 6 MF 新井 泰貴
 7 MF 水野 泰輔
 8 FW 岩渕 良太
 9 FW 渡辺りょう
 10MF 横山 暁之
 11FW アンデルソン
 13MF 大曽根広汰
 14MF 魚里 直哉
 15MF 杉田 真彦
 16DF 山原康太郎
 17FW 平尾拳士朗
 18MF 小関 陽星
 19DF 工藤 孝太
 20FW 中井 崇仁
 21GK 菅原 大道
 22DF 久富 良輔
 23MF 徳永 裕大
 24MF 久保藤次郎
 25DF カウアン
 27MF 榎本 啓吾
 28FW 矢村  健
 29MF ペ ド ロ
 31GK 上田 智輝
 33MF 河上 将平
 41GK 北村海チディ
 42MF 金浦 真樹


2023年 藤枝スタッフ
 監督 須藤大輔▽コーチ 養父雄仁、古泉達也▽GKコーチ 阿部謙作▽フィジカルコーチ 佐藤哲哉▽テクニカルコーチ 清家芳樹▽通訳 堤海音▽チーフトレーナー 秋山良範▽トレーナー 江本賢吾、鈴木一正▽主務 田中凌▽副務 和田伊吹

新加入選手コメント
 GK岡西(J2甲府)
 ビルドアップとシュートストップが自分の特長。出場試合の平均失点を0点台にしたい。

 DF山田(J2大宮)
 サッカー人生を懸ける覚悟。失点0とともに、セットプレーで高さを武器に得点を稼ぎたい。

 MF新井(J3鳥取)
 ハードワークでボールを奪うプレーが持ち味。ボランチで全試合に出場したい。

 FWアンデルソン(ブラジル・モト・クルブ)
 チームのため全力を尽くす。スピードと決定力を生かして得点を奪いたい。

 MF大曽根(J2仙台)
 サイドを打開する推進力を見てほしい。得点とアシスト合計10点が目標。

 MF魚里(J3鳥取)
 一瞬のスピードと運動量に自信がある。自分らしくがむしゃらにプレーしたい。

 FW平尾(中大、藤枝東高出)
 全試合出場と2桁得点が目標。得意のドリブルからチャンスメークや得点を見せたい。

 MF小関(桐蔭横浜大)
前向きな性格で誰よりも情熱を持っている。ゴールとアシスト合わせて10点以上を目指したい。

 DF工藤(J1浦和)
 0点に抑え、ビルドアップでの持ち運びとロングフィードで勝利に貢献したい。

 MF徳永(J3宮崎)
 自分が成長できる環境を選んだ。浮き球のスルーパスで得点をアシストしたい。

 FW矢村(J2新潟)
 攻守の運動量と多彩な得点パターンが自分の長所。ハードワークとゴールで勝利に導きたい。

 GK上田(J2大宮)
 ビルドアップと左足のキックで特長を出し、全試合出場と無失点が目標。

 GK北村(桐蔭横浜大)
 シュートストップとハイボールの対応で得点を防ぎ、ロングパスの質で見せてアシストも決めたい。

 ★DF山原(東京国際大)は都合で欠席。
 ※かっこ内は前所属。

期待のルーキー FW平尾拳士朗 “故郷”に恩返し誓う

 得点感覚に優れたドリブラーが藤枝に帰ってきた。藤枝東高で静岡県総体制覇に貢献したFWは「目の肥えたサポーターが多く、サッカー愛にあふれた街に恩返しがしたい」と決意を示す。

 愛知県出身で高校3年間を藤枝で過ごした。「思い出があるスタジアムで懐かしい」。藤枝総合運動公園サッカー場で行った新体制会見では自然と笑みがこぼれた。
 中大で技術を磨いて一回り成長し、「自分のドリブルを生かせる」と超攻撃的なスタイルを貫く藤枝をプロキャリアのスタートに選んだ。
 狙うシャドーストライカーのポジションには昨季J3ベストイレブンの横山をはじめタレントがそろい、レギュラー争いは激しい。足元の技術だけでなく、「ボールがないところでの位置取りや、相手DFの背後に出るタイミングが重要」と課題を意識して練習に取り組む。
 大学時代までは個人成績で数字を強く意識してこなかったが、「目に見える結果で勝利に貢献したい。全試合出場と2桁得点」。1年目から高い目標を掲げ、活躍を誓う。(運動部・寺田拓馬)
 〈2023.1.22 あなたの静岡新聞〉
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