知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

連続入賞なるか 都道府県対抗男子駅伝 静岡県勢注目選手は

 全国都道府県対抗男子駅伝は22日、広島市の平和記念公園を発着点とする7区間48キロで行われます。前回5位と健闘した静岡県は序盤でレースの流れに乗れるかが2大会連続入賞の鍵を握ります。静岡県代表の注目選手や過去の成績など見どころを1ページにまとめます。

高速化必至 高校生エースひしめく1区で流れに乗れるかが鍵

 全国都道府県対抗男子駅伝は22日、広島市の平和記念公園を発着点とする7区間48キロで行われる。新型コロナウイルスによる2年連続中止を経て3年ぶりの開催。前回5位の静岡県は序盤でレースの流れに乗れるかが2大会連続入賞の鍵を握る。

3年ぶりの開催で、2大会連続入賞を目指す本県男子チーム
3年ぶりの開催で、2大会連続入賞を目指す本県男子チーム
 6位までが大会記録を上回った2020年の前回大会からさらなる高速化は必至だろう。特に5000メートル13分台の高校生エースがひしめく1区(7キロ)が浮沈を左右する。本県は同14分10秒台の杉浦(藤枝明誠高)か野中(浜松工高)が食らい付きたい。全国高校駅伝は1区で30位だった杉浦は「先頭争いをして、都大路(京都)のリベンジをしたい」と雪辱に燃える。8・5キロの5区の可能性もある野中は「単独走でも安定してペースを刻めるのが持ち味。どちらの区間でも力を発揮できる」と自信を見せる。
 2区が濃厚な佐藤瑞(浜松南部中)は全国中学校体育大会3000メートル8位のスピードランナー。「(1区は)集団で来るのでどんどん抜いていく」と区間賞を狙う。3区(8・5キロ)予定の太田(トヨタ自動車、浜松日体高出)は1万メートル27分33秒。全日本実業団駅伝は3区で18人抜きの区間賞を獲得した。好位置でエースにつながれば上位が見える。
 13キロのアンカー7区はともに箱根駅伝で好走した横山(創価大、島田高出)か西沢(順大、浜松日体高出)の状態を見極め起用する予定。特に西沢は箱根で10区区間賞と好調だ。清監督(藤枝明誠高教)は「前半の順位次第で入賞争いできる。見応えがあるレースをしたい」と意気込む。
静岡県代表
▽監督
清尊徳(藤枝明誠高)
▽コーチ
渋川努(浜松工高)
北條尚(浜松日体高)
石野竜史(湖西岡崎中)
鈴木雅信(町清水南中)
辻直大(常葉大橘高)
▽トレーナー
小野田敦(おのだ鍼灸院)
▽主務
望月龍之介(御殿場西高)
▽選手
太田智樹(トヨタ自動車)※
横山魁哉(創価大)
西沢侑真(順大)
杉浦柊人(藤枝明誠高)
野中恒亨(浜松工高)
松田拓也(韮山高)
根上和樹(御殿場西高)
辻本桜寿(浜松開誠館高)
佐藤瑞城(浜松南部中)
藤井由輝(浜松北浜中)
佐藤新太(富士岳陽中)
鈴木勇飛(静岡安東中)
※はふるさと選手

静岡県男子代表 過去10大会の成績

(左から)開催年、順位、記録、優勝チーム
2011年 23位 2時間21分52秒 栃木
2012年 17位 2時間23分00秒 兵庫
2013年 11位 2時間21分41秒 兵庫
2014年 11位 2時間20分41秒 長野
2015年  9位 2時間20分59秒 埼玉
2016年  4位 2時間21分03秒 愛知
2017年  5位 2時間20分51秒 長野
2018年 13位 2時間22分02秒 埼玉
2019年 22位 2時間22分39秒 福島
2020年  5位※2時間18分36秒 長野
2021年 中止
2022年 中止
【注】※印は48キロとなった2000年以降の最高記録。順位は1996年第1回大会の3位が最高

箱根10区で3人抜き区間賞 順天堂大・西沢侑真選手

 ※2023年1月4日 あなたの静岡新聞より

10区で区間賞を獲得し、3人を抜いて順大を5位に押し上げた西沢侑真=東京・大手町
10区で区間賞を獲得し、3人を抜いて順大を5位に押し上げた西沢侑真=東京・大手町
 目標の総合優勝にはもう届かない。それでも、順大の西沢には優勝11度の名門を率いてきた意地があった。10区歴代3位の1時間8分42秒で区間賞。1分以上前を行く3校を抜き、チームをトップ5に押し上げた。
 8位でたすきを受けた時、7位とは1分20秒差。背中は遠かったが「前を追えると思っていた」。15キロ過ぎに追い付き、2分近い大差があった創価大も逆転。狙っていた区間新には届かなかったが、最後は両手を広げてフィニッシュし仲間に迎えられた。
 昨年2位のチームを引き継ぎ、主将として総合優勝を目指した1年間。「どこよりも高い意識で取り組まなければならない」と嫌われ役になることをいとわず、自他ともに私生活からチームを引き締めた。重圧を感じることもあったが、4年連続の箱根で初の区間賞を手にし、「チームの結果は悔しいが、個人としては報われた」と振り返った。
 3年連続の1桁順位は前回優勝した2007年(当時は12年連続)以来。名門復活への道筋は付け、後輩に「たすき」を託した。(運動部・山本一真)

県高校総体5000メートル優勝 浜松工高・野中選手

 ※2022年5月23日 あなたの静岡新聞より

男子5000メートル決勝 14分31秒76で優勝した浜松工の野中(手前)=エコパスタジアム
男子5000メートル決勝 14分31秒76で優勝した浜松工の野中(手前)=エコパスタジアム
 何度も屈辱を味わったスパート勝負で、野中が会心の勝利を挙げた。男子5000メートル決勝。残り600メートルで後ろを走るライバル杉浦(藤枝明誠)がわずかに離れた瞬間に野中が仕掛けた。「勝つにはここしかない」とギアを上げ、ラスト400メートルは自己最速を4秒も上回る60秒。一気に後続を引きちぎった。
 14分17秒台の自己記録を持つが、昨年はスプリント力がある上級生ランナーに残り1周で負けてばかり。東海総体は8位で全国を逃し、冬場は課題克服に取り組んだ。長距離の練習後に短距離陣に交ざって8割の力で200メートルを走るペース走をこなし、太ももを上げるスパート仕様のフォームを習得。勝負どころで繰り出した。
 出場選手で最も自己記録が速く、先頭に出される展開は想定内。1000メートルを2分50秒~3分で刻んで主導権を握り、最後の1000メートルで2分45秒に上げて勝ちきるレース運びにこれまでなかった強さがにじむ。(運動部・山本一真)